13 宇宙からのメッセージ
私と昴くんも飛行場をあとにした。その日だけオアフ島に滞在して、明日マウイ島に向かう。
今日、泊まるホテルに直行した。
早めにチェックインできるよう、頼んでおいて良かった。荷物をホテルの部屋に置き、夏の服に着替えると、私たちは早速、ホノルルの街に繰り出した。
「あったかい!暑いってほどじゃないし、ちょうどいいね」
昴くんがそう言った。
「でも、海に入るのは涼しくない?」
「うん、そうかも。どうする?この辺ぶらついてみる?」
「うん」
私たちは、地図を片手に歩き出した。いろんなお店があり、空が青く、気持ちがよくって、すっかり二人してハイテンションになった。
「おみやげ買おうか!あ、これなんてお父さんにどう?このアロハ!」
「派手だよ。着ないよ、こんなの…。あ!このサングラス、昴くんのお父さんにどう?」
「あはは。なんか怪しいおっさんになりそう~~」
二人で手をつなぎ、しばらくその辺のお店をぶらついた。日本人観光客も多かったが、買い物に夢中だからか、こっちを気にする人はいなかった。
買い物の途中に、ジュースを買って飲んだり、アイスを食べた。
それから、だんだんと日がかげってきて、私たちは浜辺へと移動した。
「すげえ、夕日!」
まず夕日に感動した。海の中にじゅ…って日が沈む。そのあとの空の色がものすごく奇麗だった。
青でもない。黒でもない。その中間の色。その中にやしの木があり、まるで絵に描いたような、そんな風景。
『ひかり…。なんだか、時間が止まってない?』
『うん。止まってるみたいに、感じるね』
昴くんと手をつなぎ、その美しい絵の中に自分たちも入っていった。
海を見た。だんだんと星空に移り変わる空も見ていた。
「すげえ…。静かで、壮大だ…」
昴くんは天を仰ぎながら、そうつぶやいた。私も顔を空に向けた。
時が完全に止まった。
ピタ……。時間の流れが止まり、風も止まった。そこにはただただ、広く広がる壮大な意識だけ…。
波が寄せては返すが、その波の音も遠くで聞こえるだけだった。
「……」
昴くんも私も、頭の中が空白になった。何も考えていない。それどころか、自分という意識が消えてしまった。
『地球にいるあなたへ…』
昴くんと私の声があわさった、そして澄んでいて透明な声が、体の中から聞こえだした。
『あなたたちは、かけがえのない存在です』
「…高い次元の私たち?」
『私は宇宙です…』
「え?」
『完璧な存在として、あなたたちを創りました』
「……」
昴くんの方を向くと、昴くんも私を見た。
『あなたたちが生まれたときから、私は見守ってきました。何をしていても、どんなあなたでも、愛していました。そしてこれからも…』
「……」
自然と涙がこぼれていた。
『そして、あなたたちは私です』
「はい…」
そうだ…。私たちは宇宙そのもの。
『どんな存在も、例外はなく、宇宙そのものです』
「……」
『いまここに、私はいます。いつでもいます。どうぞそのことを、人々に伝え続けてください』
「はい…」
私たちは、ものすごい光に包まれていることに、その時気がついた。
『いつでも、安心して今を生きてください…。そのことも伝えてください』
「はい」
昴くんは目を閉じた。私も目を閉じた。光の中に、すっぽりと包まれているのを実感した。心地がよく、あったかかった。
目を同時に開けた。もう、光は消えていた。空には満天の星。海はすごく静かで、波の音が心地よかった。
「……」
私と昴くんは、言葉がなかった。でも、雄大で永遠で、遥かなる愛を感じて感動していた。
この地球上のすべての存在が目覚めて、自分が愛の存在だと思い出すように、私たちはこれからも光を出し、そして伝えていこう…。昴くんと同時に、そう思っていた。
昴くんと黙って、手をつないで砂浜を歩いた。心地のいい風が、優しく頬をなででいった。
夜、夕飯を終え、ホテルの部屋に戻ると、二人でバルコニーに出た。
「気持ちがいいね」
「うん」
「なんだか、不思議」
「え?」
「昴くんとこうして、ハワイにいるなんて」
「だね」
「それも新婚旅行なんだよね?」
「うん」
昴くんは口数が少ない。どうしたのかなって、エネルギーを合わせると、胸がいっぱいになっているようだった。
『なんか、嬉しいんだ。ひかりとこうして、ここにいられることが…』
『昴くん…』
昴くんがキスをしてきた。
『あ、こんなとこでしてたら、写真撮られちゃうかな?』
昴くんはそう言って、くすって笑った。
それから、先に私がシャワーを浴び髪を乾かしている間に、昴くんがシャワーを浴びに行った。
『ひかり、先寝たら駄目だよ』
『なんで?』
『Hできないじゃん』
『Hって言うなってば』
バスタオルを頭に乗せ、はぶらしを口につっこみ、昴くんはバスルームから出てきた。私はほとんど髪が乾いたので、ベッドに潜り込んだ。
「ひかり?寝ちゃうの?」
「う~~ん。もう、限界かも。眠いよ…」
「だから、飛行機で寝たら良かったのに」
「あんなに短い時間じゃ、寝れないよ。昴くんはほんと、寝付きいいしどこでも寝れるよね」
「じゃなきゃ、芸能界で生きていけないって…。移動時間にどれだけ寝れるかが勝負なんだよ」
「……」
「ひかり?」
遠くに昴くんの声が聞こえた。どうやら私は、話の途中で寝てしまったようだ。
夢の中で満天の星空の下に、私はいた。しばらくして、昴くんが隣に来た。そしてそっと、私を抱きしめた。
「待ってた?」
「ううん。すぐに昴くんも寝たでしょ?」
「うん。髪、半分乾かしてる間に、眠くなっちゃった」
「ベッドに倒れこんで、バタンキュー?」
「ううん。ひかりの隣に潜り込んで、ひっついて寝た」
「え?私のベッド?狭くない?」
「ちょっと狭い」
あはは…。もう~~~。またベッドから落ちるんじゃないの?
二人で、星空をずっと眺めた。
「あの声、心に響いたね」
「うん。感動した」
今日聞いた、宇宙のメッセージを思い出した。そして、昴くんは満天の星空の下、私を押し倒して、キスをしてきた。
「夢の中なら、大丈夫でしょ?寝たりしないよね?」
「くす…。うん」
昴くんは、ちょっと強引。夢の中じゃ、ワイルドにもなる。
ドスン!
「いたた…。あ…」
私がベッドから落ちていた。隣で昴くんはぐーすか寝てるけど、
『ひかり?!』
と、どうやら、夢の中からいきなり私が消えたんで、驚いてるようだ。
「あ~~あ…。夢に昴くん一人、おいてきちゃった」
また、ベッドに潜り込み、昴くんの胸に顔をうずめて、すぐに眠りについた。
「ひかり!何してるんだよ?いきなり消えたからびっくりした」
「ベッドから落ちて、目が覚めちゃった」
「ええ?ひかりの方がベッドから落ちたの?あはははは」
もう、そんなに笑うな~~。
「さ。続きね!」
え?……。昴くんはまた、私に抱きついてきた。そして満天の星空の下で、抱き合った。
翌朝、早くに起きて朝食を取り、飛行機に乗りマウイ島に向かった。マウイ島のホテルに着くと、ホテルには大きなプールもあり、豪華だった。
でも、肌寒くて、入れそうもなかった。
私たちは、自然を満喫した。緑、空、海、景色だけでも満足だった。太陽、雲、風、すべてが気持ちいい。
すべてから、愛のエネルギーを感じ取れた。
「宇宙の愛を感じるね…」
「うん」
「このすばらしい景色、これも全部、自分なんだよね」
「うん……」
昴くんの言葉に、私はうなづいた。
部屋に戻ると、昴くんは持ってきた小さなパソコンを開いた。マウイで撮った写真をブログにアップして、
>今、ハワイに新婚旅行で来ています。
と、コメントも載せた。
>自然がものすごく奇麗で、感動です。空も雲も、太陽も、木も、風も、緑も、それらすべてから、エネルギーを感じます。この宇宙のすべてが、一つの大きな命で出来ている…。そんな感じがしています。
昴くんはブログに、そう書いていた。
私も、昴くんのパソコンを借りて、自分のブログにメッセージを書いた。
>私は、宇宙です。みんな、私が創った完璧で、かけがえのない存在です。例外など一人もいません。すべての人が、すべての命が、大事で貴重で、素晴らしい命です。
>そしてあなたたちは、私です。すべての存在はつながっていて、すべてが私なのです。
>私はいつでも、あなたを愛しています。生まれたときから、あなたのそばをかたときも離れたことはありません。いつも、いまここで、あなたを見守ってきました。
>あなたはひとりでは在りません。この宇宙すべてがあなたとつながっているのです。
>あなたは、壮大で、完璧な存在です。あなたは、宇宙そのものなのですから。
>どんなことも、創造できる神でもあるのです。
>存在そのものが素晴らしい。何かになろうとしなくても、もうすでに完璧なのですから。
>そのままのあなたでいてください。変わろうとしないでも、いいのです。あなたがあなたでいるとき、完璧なのです。
>どうぞ、いまに戻ってきてください。そこには、いつも私がいます。そして私はあなたなのです。
>素晴らしい、いまここを楽しんでください。
>宇宙を信じてください。もうこのままで、完璧なのです。
それは何も考えなくても、手が勝手にキーボードを押していた。
きっと、私を通しての、宇宙からのメッセージだったんだろう。
最後に、
>宇宙より、あなたへ
と書き加え、更新した。
「宇宙のメッセージそのものだね」
「うん」
「これも、ミッションだね」
「うん」
昴くんは後ろから、ぎゅって抱きしめてきた。
2010年がもうすぐ、終わろうとしている。
2011年はもっと、多くの人が目覚めるだろう。
自分が本当は、宇宙そのもので、すべてはつながっていると。自分は愛と光の存在なのだということを、思い出すだろう。
そして、現実だと思っていたものは、幻想であり、本当の自分は、それを創造していた神だったということも。
自分だと思い込んでいた自分すら、幻想の産物だったということも…。
それを思い出したうえで、この地球で、素晴らしい今を、一瞬一瞬を送っていくのだろう。
愛と光の存在で……。




