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第1話 仮想空間

フルダイブ型のVRグラスを強制的に使用しないといけなくなった。

しかも、倫理スコアと言うものが計られ、低いものは隔離される。

隔離された者の中には死人もでた。


政府がフルダイブ型のVRグラスを開発したらしい。


このVRグラスは水泳のゴーグルぐらいのサイズであり、

グラスをかけて、体を横にして目をつむると、仮想空間へダイブすることができるようだ。


さっき知ったのだが、

政府はこのVRグラスについて、全国民に強制的に使用させることを決定したらしい。



俺は『大泉おおいずみ) 秋紀あきのり)

この街に住む、高校生だ。


学校ではもちろん、VRグラスの事が話題になっていた。


「VRグラス、興味深いけど、強制って言うのがちょっと怖いよな。」

にこやかだけど、ちょっと引いた顔で直之(なおゆき)が言った。


「VRグラスだったからよかったけど、もっと変なことを強制されていたら嫌だったな。」

英雄ひでおはそう言っていたが、変なことってなんだろうって思いながら、突っ込まないでいた。



学校の授業が終わり、家へ帰ってみると、すでにVRグラスが届いていた。

質素なダンボールで梱包ではなく、箱にはVRグラスの写真が印刷されたような感じで、

なかなかカラフルでおしゃれな感じだった。


VRグラスには反対の者もいるだろうから、その人たちの不満を解消するためだろうか。

まあ、それほど効果もないと思うが。



箱を開けてみると、噂通り水泳のゴーグルサイズであり、説明書はペラペラの紙が

1枚入っていただけだった。


なんでも、寝転んでグラスをかけ、グラスの横のスイッチを押すだけいいらしい。



……


就寝時刻が来た。


俺はベッドに入って、コロンと寝転がったグラスをかけた。

かけた状態だと、普通のゴーグルのように周りの風景が見られる。


とりあえず、スイッチを押した。


……


いつの間にか寝ていたようだ。


無人島のような風景が見える。

よく見ると、人がたくさん歩いている。

なので、無人島風と言うべきであろうか。


俺はグラスを外し、行動し始めた。


周りは砂浜のような感じだったが、遠くに見える森に行ってみた。

みんなテレビで観るような、木の実が上のほうにみえる。

登って取るのは難しいので、気を思いっきり揺らしてみると、

実が落ちてきた。


大きな赤い実でちょっと食べるのは怖かったけど、仮想空間だと、

多分、何を食べても平気だろうと思って、その木の実を口にした。


……ん、うまい。うますぎる。


「この実、美味しいですか?」

後ろから、若い男に話しかけられた。


「美味しいですよ。気を揺らしたら、採れますよ。」


「そうですか。美味しいのですか。私も採ってみます。はい。採ってみます。採ります。」

その若い男はちょっと言動が変だった。


「その男はNPC(ノンプレイヤーキャラクター)ですよ。」

横から、自分よりは年上そうな男性が話しかけてきた。


「僕は高田たかだ 敏夫としおだ。少し前から、ここに来ている。君は?」


大泉おおいずみ) 秋紀あきのり)と言います。」


その男性が言うには、この島にはNPCがたくさんいるらしい。

なので、普通の人間?は貴重らしい。


しばらく一緒に行動したが、無人島をモチーフにしたのか、

建物のようなものは見つからなかった。


ただ、よく探すと強そうな布があったり、杭などが転がっていた。

ナイフなんかも転がっていた。


布にはフレームを通す穴もあった。


周りと見渡すと、丸太なんかも積んであるのがわかった。



俺は、テントを張る準備をした。


丸太を細く切り、フレームを作り、布に通した。

ペグのようなものも落ちており、いろいろやってテントっぽいものを固定した。


仮想空間だし、睡眠時間のみの活動のため、こんなことは必要ないと思ったが、

どうも目の前に道具があるとやりたくなってくる。


現実世界でテントなど作ったことないので、この方法で良かったのかは分からないが。


とりあえず、テントが出来上がったので、座ってゆっくりとしていると、

後ろから肩を叩かれた。


トントン。


後ろを振り返ると、女の子がいた。

黒髪でロングの女の子だ。


「あの~。人間ですか?」


「人間ですが。」

と私は不審そうに女の子を見た。


「すみません。NPCかどうか聞きたかったんです。」


「そういうことか。」


NPCが多いとは聞いたが、ひょっとして仮想空間に入っているリアル人間はすごく少ないのか。


女の子は、『柳沢やぎさわ 春子はるこ』という名前らしい。

黒い長い髪をしていた。


「まだ来たばっかりなのですが、NPCばかりで不安だったんです。」


「そうですか。」


女の子はきらきらとした目でこちらを見ていた。


そのとき、島のどこからか『うぅ~~』とサイレンが鳴った。


この合図は夢から覚めよ、と言うことだった。

確か、VRグラスの説明書に書いてあったと思う。


俺はVRグラスをかけ、ボタン押した。



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