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閃く星は空を翔ける  作者: 武尾 さぬき
第2章 始まりの朝
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第8話 陽を浴びて

 アトリアさんは木剣を持って外へ出掛けました。あたしと同じように毎朝の習慣で素振りをしているそうです。きっと将来は立派な剣士になれますね! ここは魔法学校ですけど……?




 8時なるとお掃除の時間になります。あたしとアトリアさんは初めてなので、3回生女子寮の寮長ウェズンさんから指示を受けました。


 ウェズンさんは、どこかふわふわした雰囲気のある可愛らしい人です。雪のように真っ白な髪を短く内巻きにしています。




「編入生にはしばらく校内のゴミ拾いをしてもらってるの。ついでに校舎の場所とか道も覚えられるでしょう?」




 彼女はゴミ入れの麻袋と火ばさみ、それと一緒に2つ折りにした魔法学校の地図を手渡してくれました。開いてみると、いくつかの色で道に色付けがされています。




「ゴミ拾いの巡回ルートは3つあるの。今日は赤色の道ね。明日は青、その次が緑。その次はまた赤色の道を回ってもらうわ」




 ウェズンさんからの説明を受けた後、あたしたちは笑顔で見送られました。あたしとアトリアさん、2人でゴミ拾い開始です。


 朝日を体いっぱいに浴びて、とても清々しくて気持ちがいいです。





 あたしは、視界に入るゴミを片っ端から拾ってアトリアさんの持つ麻袋に突っ込んでいきました。




「お掃除は人の心もキレイにするとお母ちゃんが言っていました! みんなが気持ち良く過ごせるようにがんばりますよ!」




 たくさん動いたらきっとお腹も減って、その後の朝食もよりおいしく感じられるはずです。たかがゴミ拾い……、されどゴミ拾い! 一切手を抜くつもりはありません!




「……あなた、朝から本当に元気ね?」




 後ろを歩くアトリアさんから声をかけられました。彼女はずっと地図と校舎の位置を見比べながら歩いています。ウェズンさんの助言通り、学内の施設とか道を覚えているに違いありません。さすがの一言です。




「お家にいるときから、朝は掃除と食事の準備をしていました! それから家族を順番に起こしていくんです! 静かで空気も澄んでいますから朝はとっても好きなんです!」




「……そう、とても働き者なのね」





 地図のルートを一周しましたが、それほどゴミは落ちていませんでした。きっと、みなさんが毎日掃除しているからでしょう。ですが、アトリアさんと朝の散歩をしたようでとても楽しかったです。





「おかえりなさい。道具は私が預かるわ。2人は食堂で朝食をもらってきなさい」




 女子寮に戻ってくると、笑顔のウェズンさんが待っていました。彼女が麻袋と火ばさみを預かってくれたので、あたしたち2人はそのまま食堂へ向かいます。


 いっぱい歩いたので、お腹もちょうどいいくらいに減っていました。お食事はいつも自分で準備していましたから、支度してもらえるだけでも感激です。




 さて……、どんなお食事が待っているのでしょうか。楽しみで仕方ありません、くふふ。

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