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「俺の名前は…。」
と、ムキムキの青年が自己紹介を始めた。
正直、抵抗してもよかったんだが、声を掛けてきた以上、事情を多少は知っているのでは?と思い、大人しく付いてきたというわけだ。
そんなわけで、アギトが興味を持っているのは、その情報。
要するに、他人の自己紹介はサラッと聞き流していたわけだが、そんなことをしている間に、どうやら彼の順番になってしまったらしい。
「アギト。」
「「「「……。」」」」
ディスコミュニケーション。
アギトのコミュニケーションを取る気があまりにもない自己紹介に、冒険者たちは面を食らったらしく、彼らはしばらく黙っていたのだが、誰も尋ねないからか、それともいち早く立ち直ったのが彼女だったからか、そこにいた女性のうち美人な青いほうが聴いてきた。
「あの…それだけ…ですか?」
「?ダメか?」
「いえいえ!ダメ…というわけでは…警戒心の強い方もいらっしゃいますし…その…。」
アギトの嫌味など全くない心からの返答に、青美人がたじろいでいると、ようやく立ち直ったのか、赤いちびっ子が2人へと噛み付いてきた。
「ああ!もう!セリアは気を遣い過ぎ!!ほら!前衛とか、後衛とか!職業とか色々あるでしょ!それくらい教えなさいよ!!」
「ちょ、ちょっと!アーニャちゃん!!それは失礼じゃ…。」
「いや、構わない。しかし…前衛か後衛か…か…。」
前衛と後衛。
アギトは果たしてどちらにカテゴライズされるのだろう。
なんとなく真面目に思考を始めると、悩みの坩堝に嵌まる気がする。
そんな時、彼の視線に生まれかけの子鹿の如き歩みでプルプル震えながらやってくるスケルトンが目に入り、答えを決めた。
「あれがうちの囮…もとい前衛だ。」
アギトが答えたのは、前衛があの骨勇者だということ。しかし、それは同時に彼の職業を示す結果もまた彼女たちへともたらしていた。
すると、彼女たちはアギトの指さした先を見て固まり…。
「プッ!アハハハッ!!マジ?ネクロマンサーとかマジかよ!!」
と、ムキムキじゃないロン毛の奴が笑い、他の3人は気不味そうに苦笑を浮かべた。
はて?ネクロマンサーになにか問題でもあるのだろうか?
そう、アギトが顎に手を当て考えごとをしようとしたところ、ホイッとなにやら放られ、思わずそれを受け取った。
そして、「おい!荷物持ち!落とすんじゃねぇぞ!!」と、吐き捨て、外へと出て行ってしまった。
「?」と、アギトが少し範囲を広げて周りを見渡すと、一部を除き全員が全員、こちらへ馬鹿にするような視線や、可哀想なものを見るようなそれを送っている。
本当になんなのだろう?




