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初心者女子  作者: nim
吸収期女子編
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第七話  女子の待ち時間

市内のショッピングモール、ボクは紗良と女子の買い物に付きあわされて仕方なくここに来ていた


学校に初登校するまで、もうちょっと日があるから家で寝転んで、うまし棒をつまみながらマンガでも嗜もうと、ウキウキでキッチンにお菓子を取りに行ったところでボクは紗良に拿捕(だほ)されてしまった


あまりに腹が立ったから、こないだのお返しに紗良の飲みかけのオレンジジュースにボクのマンガのお供、うまし棒を半分粉々にして浮かべてやったら本気で胸を揉まれて気を失いかけたんだ


半殺しにされた挙げ句の、女子の買い物付き合い・・拷問だ・・

更に追い打ちをかけるかのように今日の服装・・

ジーパン生地のこれまたスカートだが、今までとは拷問の度合いが違う・・

丈が圧倒的に短い、何ならパンツでも同じなんじゃないか?と思わせるような短さ


やはりこんなものは不要の長物だな、なんにも機能を果たしていないじゃないか?

着るやつの気がしれんな!


その不要の長物をボクはしっかりと身に着け、上には肩口が寒そうな女子が好きなハート柄のプリントシャツ


これでは完全体の女子ではないか・・


まぁ最近は女子であることを仕方なく容認してはいるのだが・・

ボクの男のプライドだけはどうにもならんぞ!


無言一人芝居をしていると、男が広場のベンチに座るボクをチラ見していく


気づかないとでも思っているのか?

本来なら目を合わせてやって、手を振ってやれば怖気(おじけ)づいてあっちから逃げていくのだが、今日は紗良に「絶対ここではやるなよ?」と座った目で念を押して言われているから、光る才能を発揮出来ないで目を()らして仕方なく、ツヤツヤになった髪を指でくるくるとしてやり過ごす

その度に腹が立って男がチラ見した回数分脚を左右交互に組み直して、見るなアピールをしている


しかしなんだこの胸騒ぎは・・

才能が封印されたとしても、足を蹴り上げて見るんじゃねぇって圧力を送ってやってるのに、一向に男のチラ見からのガン見が止まねぇ


ここで1つ思い当たる事を思い出したボク


もしかして・・女神様効果なのか・・?

だとすればまずい・・さすがのボクでも女神様に抗う術は持ち合わせてない・・!


ベンチに両手を後ろでついてショッピングモールの天井を仰ぎ脳内でこれは負け戦だと悟った所で、ボクを戦場にポイ捨てしていった紗良がやってきた


「ちょっと千秋?こんなとこで何やってんの?一緒に服見てたでしょ?あんたにも選ばそうと思って連れてきてるのに!」


ふん・・1時間も同じところを見るほどボクは馬鹿じゃないぞ?

何度も見て飽きない紗良がイカれてやがるんだ

そう思ったがお口はチャックにしておく


「紗良選んでも悩むじゃん?遅いし、暑いし、疲れるし、ここ涼しいんだよ〜?座る?」


チョイチョイとボクの隣を譲ってやることにする

そんなボクを見て、紗良のおでこから角が出てくる感覚を覚える


あれ?・・なんか怒ってるじゃん・・

ボク何もしてないよね?疲れたから座るのは当たり前だよね?

怖い目でボクを見ないで・・

いじめちゃ・・いやぁ・・


男のプライドも影を潜め脳内で、か弱い女子全開のボク


「千秋?さっき男にまた色目使ってたでしょ?そんな格好であんな仕草されたら男も見逃さないよ?」


いつの間にかボクの横に座る紗良に意味不明な事で説教されているボク


そんな格好で、だと・・?

どの口がそんな戯言を吐いているんだ?

そもそもこの布を履けと命令したのはお前じゃねぇか!

と空想の世界でボクは紗良に伝えている


「これ紗良が履いてって言ったよね?それとボクは脚を組んでただけだよ?」


と紗良が可愛そうなのでヤンワリと伝えてやると不敵な笑みをして僕の肩に手を廻してくる紗良

ボクは胸を揉まれるんじゃないかと、無意識に手を胸の前でクロスしてガードをしていたが、予想に反してボクの耳元で紗良が吐息をかけるように話し始めた


「反抗ばっかで困った千秋だね?忠告してやってるのに、男にお持ち帰りされるのも時間の問題かな?千秋、さっきから多分男に誘ってくれって思われてるよ?まぁ、そのほうが色々手っ取り早いから私はそれでもいいけど?」


紗良がサラッとサラサラと凄いことを言った気がする

お・・男にお持ち帰り?それはゲームとかマンガを一緒に家でやろうよって事か??

それは凄い!わざわざ声に出さなくとも服装と脚組で意思が伝わるとは!!

そう考えるとスカートもなかなかに・・

小学生張りの妄想力で興奮しだすボク

だがすぐにその興奮は紗良の一言で恐怖に変わることになる


「なんか嬉しそうだね?そんなに男にやられたいの?そんな格好で脚組んで髪の毛くるくるして目を逸らしてたら誘惑してるも同然だぞ?まぁ、千秋が胸モミよりも、もっと過激なことしたいって言うなら私も止めないけど?」


な・・なんですって・・?!

胸モミも過激だよ?それより過激・・?

そ・・そんなことしたら・・

孫が出来ちゃうじゃん・・!?

紗良よりも先にママになっちゃう!

そんなのダメ!ママになるのは紗良が先なのに!


千秋ママと紗良ママが仲良く孫を連れて実家に帰るというおぞましい光景がボクの頭を支配していく


ヤバい・・脚組は直せ・・目を逸らしてクルクルするな・・やられる・・やられてしまうぞ・・

と人前で脚組髪の毛クルクルの封印を誓うボクに紗良が余計な一言も付け足してきた


「ほらみて!あの男、さっき千秋の前通っていった人じゃない?もしかして千秋の事お持ち帰りしに戻ってきたんじゃない?」


それを聞いたボクは慌てて紗良の手を掴んでその場を離れる


「紗良・・!ほらほら!服選びにいこーよ・・!たしかいいのあったんだよ〜?女王さま・・じゃなくて・・紗良に似合いそうなやつ!」


ボクは紗良の手を引きながら、そそくさと人混みに紛れていった







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