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初心者女子  作者: nim
吸収期女子編
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第十三話  放課後のボク

赤い夕日の鮮やかな日に照らされ、ボクの男子に向けられた艷やかな表情は一層引き立てられ、女神の如く安寧の眼差しでボクはその場を見守る

赤ら顔の上級生の男子、そんな妖艶なボクを見る表情が一層赤くなり意を決したのかボクに語りかける


「千秋さん!あなたを初めて見た時から僕は運命を感じていました!絶対幸せにしますから!僕とお付き合いしてください!」


言い切った上級生の男子をいまだ女神スマイルで見守るボク

ボクの脳内ではまた男子処理の案件でせわしく男のプライドとボク女子の討論会が開催されていた


こんなやつ激しく断っちまえ!キモい!


駄目だよ、ボクのこと好いてくれてるみたいだし・・ちゃんと女子の対応でやんわり断らないと・・


そんな甘いこと言ってるとまたスケベ男子に襲われるじゃねぇか!


男子みんながあの時みたいにはならないと思うよ?リキだって話したらちゃんとボクの言うこと聞いてくれたし・・


要するに、変化球でやさしくストライクを取って、強烈ストレートで三振を取れということか・・


ボクは女神スマイルそのままに、上級生男子に向けて口を開く


「先輩?顔上げてください、ボクに想いをぶつけてくれて嬉しいです

でもボク、約束した男子がいて・・だから先輩とは付き合えないです、ごめんなさい」


それを聞いて崩れ落ちる先輩

今日3人目の告白をこっ酷く振ってやった

これならもうボクにちょっかいをださないだろ?

へこまないようにワザワザ嬉しいですって付け加えてやったしな


女神スマイルの裏でニヤッと勝利の笑みをして先輩男子を見下ろしてやる

そんなボクの笑顔を見て、先輩も諦めて立ち上がり「キミに好かれるなんてその男子は羨ましいね」とか捨て台詞をはいて健やかな顔で立ち去っていった


今日も全勝だぜ!流石ボク!プライドもそのままに女子力を見せつけてやったわ!


脳内で祝杯を挙げていると、陰で見ていた紗良が呆れた顔でボクに寄ってくる


「あんたまた振ったの・・?よくもまぁ飽きずに告白されるもんだよね?千秋あんた隙だらけなんじゃないの?」


そう言われ少しボクはムッとして紗良に言い返してやる


「しょうがないじゃん、あっちからくるんだもん、ボクは悪くないよ?それに隙なんか見せてないし、やんわり断ってるから大丈夫だよ」


と紗良を見ようとするといつの間にかボクの後ろから腕を回して耳元でわざと息がかかるように話し始める


「ん〜・・千秋の匂いは甘くてフローラルな香りだね?ほら?やっぱり隙だらけ・・千秋の身体こうやって男子は狙ってるかもよ?それにさっきの笑顔・・誰にでも愛想振りまくのは止めたほうがいいよって忠告しなかったっけ?」


いちいち語尾で息を吹きかけてくる紗良

だんだんとボクの身体の力が勝手に抜けてその場にボクは座り込んでしまった


こないだのリキとのにゃんにゃん事件もそうだが、息を吹きかけられてこんなにも身体から力が抜けるなんて・・

最近のボクの身体はなにかおかしい・・

これはまるで・・・


ご主人様にじゃらされてる猫そのものじゃないか!

ボクは女子を飛び越えて猫になってしまうのか!?

いや・・違う・・!

これは完全体女子になる過程の進化だ!

ボクはこれまで色々な進化を遂げてきたんだ!

今回だってそのはず・・・


そんな夢見がちおバカ女子全開のボクを間近で見ていた紗良はため息をつくと、ボクに説教を始めた


「あんたそのうち男にやられてもホントに知らないからね?わかってる?男子に無闇やたらに笑顔振りまくな!その天使の笑顔見せていいのは気の許してる相手だけにしといたほうが身のためだよ?」


そう言われて病院を退院した日のことを思い出すボク


そうだった・・ついみんなに好かれたい一心で男も女も愛想振りまき過ぎたかも・・

沙良の言うとおり・・気をつけないと・・

でも気の許してる相手って誰のこと?

そんなやつ居たっけ?

眉間にシワを寄せてボクは考え出す

そんなボクを見て紗良が呆れてまた説教をしだす


「ホントにアホな子だね千秋は!気の許してる相手考えてるでしょ?ホントに心当たりないの?うちのクラスのみんなあんたが誰が好きなのかもうわかってるのに!この鈍感!アホな子!エセ八方美人!」


言い過ぎなくらいの紗良にボクは腹が立ってスッと立ち上がり一言物申そうと口を開きかけたところで声を掛けられた


「いたいた!千秋さん!オレと一緒に帰らないか?うまいかき氷屋見つけたから一緒に食べに行くか?」


その声に反応して勝手に声の主にとびきりの笑顔を向けてしまうボク


リキ君!少し強引な言い回しが素敵!

もっとボクに話しかけて!

また手繋いで欲しいな!

リキ君の為ならボクなんでも言うこと聞いちゃうよ?


周りが見えなくなり、いつの間にかボクはリキの胸元目掛け飛び込んでいた

上目遣いでリキを見上げているボク


いつもなら男のプライドが邪魔するのだが、リキの声にはもうボク女子しか反応しないようだ

それを遠目で見てほくそ笑んでる紗良


「身体は正直なのに・・心がなぁ・・まだまだ成長の余地ありか・・」


このあとボクはリキと二人でかき氷屋でいちごミルク味を堪能してやった

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