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初心者女子  作者: nim
吸収期女子編
11/61

第十一話  ボクはピカピカの高校2年生

「今日は転校生を紹介するぞ、みんな席につけ」


今日のボクは制服に身を包む

相変わらずこのツヤツヤストレートの髪はどんな服装にもマッチする


クラスメイトに向け一礼するボク

チェックの水色のスカートがフワッと舞い真っ青なブレザーと薄茶色のストライプネクタイにサラッと髪が流れて、着地する

身を起こすと、触るまでもなくしなやかそうな髪が制服の上で踊った


初日はフル装備で登校し暑くて後悔したが後で上は脱ぐ予定だからそれまでの辛抱だ


そんなボクの隣りにいる担任の先生はボクの事情を知っている、教員みんながボクの事は知っているようだ

気を使ってくれてボクを転校生と初めに紹介してくれた


男子も女子も半々くらいか・・

ボクが教室に視線を向けるとそれぞれと目が合う

男子は嬉しそうなやつが大半、女子はニコニコ営業スマイルなのか愛想が良さそうな娘が大半

その中に知ってる顔が3人・・

学校側の意向で事情を知る3人と同じクラスにしてくれたようだ


紗良に智秋にリキ・・

知ってる顔があるとはなんと心強いことか!

ニマニマと顔が緩くなるのを感じて一生懸命我慢してみた

その我慢の反動なのか、自然と瞳が大きくなり、クラスメイトにはボクが爽やか100%女子に見えているであろう

その証拠にヒソヒソと友達申請の声が密かに聴こえる

その声を先生が制すると、ボクは一人自己紹介を始めた


「転校してきました松元千秋です、クラスに早く馴染めるように努力します、今日から皆さんよろしくお願いします」


当たり障りのないように自己紹介が終わると質問タイムに入る


どことなく、吊るし上げられた気分になったボクだったが、そこはピカピカの高校2年生、グッと我慢をした


ボクが髪をサラッとかけ上げたところで一人の男子が質問をしてくる


「松元さん、オレ(やなぎ)っていいます!噂で聞いたんですけど、松元さんはうちにいる松元智秋とは兄弟なんですか?」


緊張気味に話をする柳君、どこから漏れたのか、それとも苗字が同じだから気になったのか、なかなかに一発目から確信をついた質問である


ボクは智秋と兄弟だという事実は変えられないので正直に答えてあげる


「うん、ボクが姉で智秋は弟、ボク達双子なんです、見て分かる通り全然似てないですけど・・」


ボクの答えにどよめきが起こる教室

そんなに驚くことじゃねぇだろと男のプライドが見え隠れしたが急成長したボク女子がそれを制止する

そんなことを考えていたら、またヒソヒソと話す声が教室でしていた

何やらボクっ娘というワードで盛り上がってるらしい

これはボクの最後のプライドなんだと背筋を伸ばし胸を張ったところで一番前の女子が質問をしてきた


「あの、稲里恵美(いなさとめぐみ)です、松元さん肌がとてもキレイだなって思って、なにかケアとかあとお化粧とかしてるんですか?」


なかなかに女子な質問だ

だがボクはそんなことではもう怯まないぞ!

なにせ最近は最強の男、兼女子を目指すことに目標を変えたからな

自信満々にニヤッとした笑顔でボクは稲里さんの質問に答えてやった


「ケアは特にしてないですよ?しっかり洗顔して保湿するくらいかなぁ?お化粧は最低限ですけど、今日もしてないです」


その答えに更にどよめきが大きくなる教室

耳を澄ましてみると、「アレがスッピンだと!?」とか、「ヤベェもうすでにオレ千秋ちゃんの虜だわ」とか「後で肌触らせてもらおうよ!」とかボクにとってはいささかどうでも良い内容だったが、第一印象が大事だと躾の良いボク女子が脳内で指令を送るものだからニコッと満面の笑みをクラスメイトに向けてやることにする


ふとボクの目がリキに焦点が合うと、周りの話が迷惑そうに足を揺らして少ししかめっ面をしていた

そして何を思ったのかリキは突然スッと立ち上がってクラスメイトに話しを始めた


「おい、男子の諸君、よく聞いてくれ、お前らが松元さんにちょっかい出す前に先に言っとくが、オレと千秋さんは幼馴染だ!もうお付き合いの約束もしてるんだぞ?張り切ってるとこ悪いが、余計な手出しは駄目だからな!」


と言い切ってリキはドンッと椅子に座った


それを聞いて何故か少し嬉しくなる反面

公開処刑じゃねぇかと思ってしまったボク

クラスメイトはシ~ンと静まり返る・・

ボクが苦笑いしているとザワザワと騒ぎ、クラスメイトがリキに鋭い眼光を送っていたそして突然怒涛の反撃に打って出る


「うるせーぞリキ!そんなのかんけーねぇ!松元さんは男子みんなの物だぞ!独り占めすんな!」

「そうだそうだ!お付き合いの約束なんかクソ喰らえ!まだ約束のくせに偉そうなこと言うな!」

「付き合ってもいないのに松元さんの肌には絶対私達が触らせないんだから!ていうか松元さんの気持ちもわからないのに勝手なこと言わないで!」


いつボクが男子達の物に・・

ていうか、ボク物じゃないのに・・

それと・・あんまりリキの事悪く言わないでよ・・

約束した身としてはなんだかいい気分はしないし・・なんでかな?とっても辛い・・


ボクは笑顔を作っていたが、無意識に瞳からツーっと一筋の涙がこぼれ落ちるのがわかった


それを見て教室中が静まり返る

暫くの静粛の時・・・次の瞬間、泣かしたのは誰だと罪のなすりつけ合いが始まるクラスメイト達


皆が騒ぎ出す中、紗良と智秋がボクをなだめに近寄ってくる


ボクの高校生活はどうなることやら・・





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