第一話 倒れた
2000文字前後で話を進めています
話数が多くなりますがご容赦ください
まだまだヒヨッコのnimですが温かい声援よろしくお願いします
あの日・・僕は・・私になった・・
中2の春、僕は妙な脱力感の中目が覚める
体中に力が入らない・・
無理やりベッドから起き上がり部屋を出ると、視界がユラユラと揺れている
熱もあるかも・・
壁伝いに階段を降り、リビングの扉を開けると、双子の弟智秋と目があった
「千秋?どうした?」
様子がおかしい僕に気づいて声を掛けてきた
その声に反応して、キッチンからお母さんも出てくる
「ちょっと!?千秋?大丈夫?凄い汗だけど!?」
尋常じゃないほど流れ出てくる汗
よく見ると、寝間着も透けてしまうほど汗をかいていた
「大丈夫・・じゃないかも・・なんかさ身体が・・・おかしいんだ・・・」
自分の体は自分が一番良くわかっている
まず普通に立てない事自体、緊急事態だ
僕の話を聞くなり、お母さんは慌ててどこかに電話をする
聴いていると多分相手は救急の電話
ヤバい・・初めて救急車に乗れるかも・・
緊急事態なのに、そんなことを考えてしまう僕
暫くすると遠くからサイレンの音が聞こえた
本当に運ばれるのか・・
そう思った瞬間、僕の意識は暗闇に落ちた
どのくらい眠っていたのか・・
目の前には白衣を着たおじさんと看護師のお姉さんが見えた
「聞こえるかな?松元さん?松元千秋さん?」
聴こえているけど声が出ない、それになんだか身体が痺れて言うことを全く聞いてくれない
なんとか声だけでも出そうと頑張ったけど次第に意識が薄れていく・・
僕、死ぬのか・・?
「千秋・・!ねえ、千秋!」
お母さんの声が聞こえる・・
僕は力を振り絞って身体を起こす
「ん・・お母さん・・おはよう・・」
僕の声に反応して、何故かお母さんが泣いてしまう
「起きたぁ!良かった・・!良かったよぅ!」
ギュッといきなり抱きしめられ戸惑う僕
「どうしたの?泣くほどの事じゃないだろ?ちょっと具合が悪くなっただけだよ」
そう言う僕に、涙でくしゃくしゃになった顔のお母さんは言った
「泣くほどのことだよ?千秋・・あなたニ年間も寝てたのよ・・?」
その言葉に僕は頭が真っ白になる
二年?嘘だ・・だって倒れたのは今日だぞ?
頭が混乱する中、病室に人が入ってくる気配を感じた
「よう!目が覚めて良かったな!心配したよ」
気配の元は弟の智秋だった
朝見たときよりなんか身長伸びてない?と思ったがひとまず聞かずに黙り込む
「母さん、ちゃんと兄貴に伝えたか?」
智秋が母さんに言うと、少し間を空けてお母さんが話し出す
「あのね千秋、驚かないでね・・まずは立てるかしら?」
そういきなり促され、とりあえず力が抜けていた身体に力を込めるとすんなりと動く
改めてベッドから足をだし、力を込める
フラフラと無重力のような感覚が体に伝わったがなんとか立てた
ホントに二年が経っているのか?体の反応がとても鈍い
その姿を見て、お母さんが手を貸してくれた
そしてそのまま病室の鏡の前まで連れて行かれる
「説明はまたゆっくり話すから・・まずは自分の姿を見て」
そうお母さんは僕に言うと手を離し、一歩後ろへ下がった
仕方なくおぼつかない足取りで僕は鏡の前に立つ
特に変わったところは・・・
あれっ・・?髪が長い・・それとなんか弟に比べて小さくない?それと胸が少し張ってるような・・
僕はハッと思い、自分の股間に手を当てて見る
無い・・僕の僕が・・無い・・・
何度まさぐってもそこにあったものの感触がない
確かに歩いたとき違和感はあったが・・
何だよこれ!!
現実についていけずその場に崩れ落ちた僕
鏡には可憐な少女のような僕がこちらを見ていた・・・