表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と彼女の三年日記  作者: 名もなき光
4/8

出会いと別れ 後編

いやぁ自分で読み直しとかしてるんですけど、ここいいな!って場所もあっていいんですけど全体を見るとん?なんかおかしくねってなるところとかもあるんですよ。自分で書いてる分場面場面での情景や情報が頭の中に入っててすらすらと内容が入ってくるのはいいんですが、読者側?から見てみた時のことを考えると本当にこの内容で相手に伝わるのかとかいろいろ不安になるんですよね。

自分の思い描いている内容をすべて書き出すのは自分好きじゃないんで(小説を読むときもあまり事細かに書いてあるのは好きじゃない)パッと想像できるような書き方をしているんですが、あまりにもパッとしすぎじゃないか?ってところありませんかね。

もしよろしければ改善点やもろもろアドバイスをいただければと思っています。

以上では楽しんでいただければと思います

そう悟って数分か数十分が経った後、こつこつと階段を下る二つの足音が聞こえてきた。当然ながらまだ俺は地面に引っ付いたまま動けていない。腰の痛さとこの恥ずかしい状況から早く抜け出したい、できれば次はさっきの三人とは違う別の誰かがいいと心から思った。

響く足音が少しずつ近くなる、そろそろ一階が見えてくるところだろうか。

聴覚は人一倍優れているとは思ってもいたが、自分はもしかして天才なんじゃないかと思うほどのタイミングで驚いた声が聞こえた。

「なんだ、あんなところで寝てるのか」

驚いた声とは別の太い声が聞こえる。どこかで聞いたことがある声なのだが思い出せない。

「あ、あの助けてくれませんか」

下ってきた人が誰だかなんてどうでもいい。顔を上げて助けが必要だと求める。

、、、

「空?」

目の前には昨夜、俺の頭を悩ませた張本人が立っていた。隣には彼女の頭二、三個分高い大人の男性が立っている。

あの声はそっか昨日の電話で聞こえてきた、早紀のお父さんだったのか。

そんなことを頭の端で考える。それよりも今は彼女らに救急車でも保健室の先生でも呼んでもらうことが第一だ。

「あの、恥ずかしながら。腰を痛めてしまって動けないんですよね」

目の前までやってきた二人に恥ずかしそうに話す。彼女らは「分かった」とすぐ返し救急車を呼んでくれた。幸いお父さんが携帯電話を持っていてすぐに呼ぶことができた。十分くらいたった後救急車が来て救急車の中へと俺は運ばれていった。

何人かの先生もすぐに駆け付けてくれた、先生たちには申し訳ないからとすぐに業務に戻ってもらうように言う。

彼女にも別に大丈夫だといった、けれども彼女は一緒に救急車の中についてきてくれた。

「あーこれぎっくり腰ですね」

「と、言いますと。」

白色のベットにうつぶせで眠る俺の腰を医者が触ったり見たりと色々した結果診断結果は当然ながらぎっくり腰。あれだけの痛みと恥を味わせてくれるだなんて、ぎっくり腰恐るべし。

「原因は飛び起きた反動ですが、まだお若いのに。ほかにも原因があると思うのですが、心当たりはありますか?」

心当たり。心当たりしかない。まさか先生も俺がクローゼットで寝てるなんて思ってもいないだろうし。

「あー、寝相ですか、ね?」

濁しながら伝える、単に先生に怒られたり、小ばかにされるのが嫌なのではなく。今この空間に気になる彼女が居るのが一番だった。

「どういった寝方をされてるんですか?」

これは根掘り葉掘り聞いてくる、そう悟った彼はもう恥などを捨てて一から説明をすることにした。


「まぁ一週間すれば痛みも引くとは思いますが、入院されるのもいいと思いますがどうされます?」

結局最後の最後まで話し終わった後、しっかりとベットで寝なさいと注意された。くすくすと笑う彼女の声がちょっとだけ嬉しいような恥ずかしいようななんとも言えない感情だった。

「念のため入院した方がいいんじゃないかな」

心配をしてくれる彼女を横目に家でゆっくりしますと答えた俺は先生が呼んでくれた母さんの車に乗って帰宅することになった。

最近さぼり気味だった部活動も一週間行えないと思うと嬉しいというかなんというか複雑な気持ちになった。


「だからあんたあんなとこで寝てたら体悪くするって言ったでしょ」

「は、はい」

運転席でうるさいと言いたくなるほどの声量の母に悉く叱られる。

「そんなこと言ったって、やっちゃたんだから今更だろ」

「そんなことばっかり言ってるから、こんな事になるんでしょ」

しっかりと論破される。いつも母さんとはこんな会話ばっかり。確かに母さんの言うことは正しいし、聞いとくべきだったと後々思うけど、どうしても反論したくなってしまう。反論した後にいつも俺が萎れるまでこっぴどく言われるのだけれども。

「てか、何しに学校来てたんだろう」

「ん?なんて」

ふと口に出してしまった独り言に母さんが反応をする。

「いや、友達がお父さんと一緒に学校に来てたんだけどどうしたのかなって」

いつもの坂道を眺めながら答える。ふと坂を下る彼女が目に入る。

「いや、何でもない」

少し裏声が混じりながら会話の終止符を打つ。

「ふぅーん好きなんだ」

突かれてはいけない場所を的確に突かれる。前を向かないまま口を尖らせ「そうゆう訳では、ない」と答え会話を終わらせる。


「静かに寝てなさいよ」

車から母さんの手を借りてやっと自分の部屋に行けた。布団を敷いてくれた母さんにありがとうと伝えスマホ片手に横になる。

先生が塗ってくれた薬のおかげか多少腰の痛みは引いたもののまだ痛い。一週間で痛みが引いてくるとは言っていたが逆を言うと一週間はこの痛みが続くってことなのか。はぁとため息をつきながらインターネットを開く。

「なんか早く痛み引く方法ないかな」

検索結果一番上に出てきた「ぎっくり腰にはこれしかない!最近話題の簡単ストレッチ!」と見出しが付いた記事を開く。

説明文と動画のセットで丁寧に説明はしてくれているのだが、どう考えてもこの痛みでこんなポーズ出来るはずがないと思うようなストレッチしか記載されていなかった。

こりゃだめだとスマホをスリープ状態に戻し机の上に置いたままの携帯ゲーム機を手に取る。

「起き上がるのも精一杯だな」

ぎっくり腰になったのも自分が悪いとはわかっているが、痛みに対し愚痴を吐く。

ゲームをやること三十分かそこら、横になっていたからか沢山寝たはずなのに眠気が襲ってくる。

何時間寝れば俺の体は気が済むのかと心で思った彼が目を瞑った時。

「ん、早紀じゃん」

とぅるるとスマホが鳴った。 そこで昨夜不在着信があったことを確認して今朝思い出せなかったことを思い出した。

「もしもし早紀どしたの」

すぐさま応答ボタンを押してスピーカーに切り替える。

「あの、昨日伝えようと思ったことなんだけど」

確か昨日何か話さなくちゃいけないと言っていた気がしなくもない。

少し間をおいてから彼女が続ける。

「実は転校することになったの」

えっと声に出してしまう。

「だって転校してきたばっかりだよ?もうほかの学校行っちゃうの?」

「お母さんのところに行こうと思って」

確か彼女のお父さんとお母さんは離婚したって言っていたけれど。お母さんの方に行くってことは。いやないか

「実はお母さんが先週あたりに泣きながらお父さんに戻ってきてって、電話したみたいなの」

「え?再婚するってこと?」

ないだろうと思っていたことがぴたりと当たる。

「いや、離婚はしてなかったんだ。別居してただけで」

スマホから聞こえる寂しそうな声を黙って聞く。

「それでその電話で仲直りしたみたいで。前の中学校に戻ることになったの。」

泣いているのが分かる。一度鼻を啜る彼女はきっと前の学校には戻りたくない、嫌だと言いたいと分かる。それでも戻らない選択肢は彼女にはなかった。

「そう、なんだ」

俺が何か言ったところで変わらないと分かっている、けれども俺だって寂しいしどうにかしてあげたいって気持ちがある。

知り合ってまだ一カ月が経ったかそのぐらいでしかない、ずかずかと割って入ってしまったら彼女が悲しむかもしれない。それに彼女も両親が仲直りできて、お母さんとまたあえて嬉しいのも嘘ではない。

「早紀がどう思うかわからないけれど。」

「うん」と小さく返ってくる。

「俺は、早紀と逢えて良かったなって思ってる」

最後のほうには聞こえないほど小さな声になっていく。少し薄情かもしれない、早紀は止めてほしかったのかもしれない。でもこう言う以外の答えが見つからなかった。

「うん私も。空色々ありがとう。またね」

そう言い残した彼女との通話が終わる。

最近の俺はなんだか悪いことばっかりを考えてしまっている。それは正夢のように真実に変わっている。早紀が居なくなるとこないだ思ってしまったのも。絶対にありえないとあの時はそんな風におもっていたけれど。実際居なくならないと保証はなかった。

悔しかった。やっと明るい世界に来れたんだと笑顔を見せてくれた彼女がまた暗闇に戻ってしまうこと。

暗い過去を隠さず「相談してくれ!」その言葉を信じてくれた彼女に何もできなかったこと。

一目見た時から好きだと思った彼女が遠くに行ってしまうこと。

何もかも無くなってしまうのではないかと。俺はそんな情けない人間なのかと。結局自己満の世界で生きている、俺はヒーローになりたがっているただのクズなのかと。そう思った時だった。

また頬に流れる雫。最近は涙袋が消滅したのではないかと思うほど涙をしなかった俺がほんの一、二週間で彼女の事を思って涙を流した。

それが何を意味するか、それが分かった。今ここで彼女にすべきことを。

「こんな痛みどうにでもなれ」

多少痛みが引いたとは言えずきずきと痛む腰に躊躇なく立ち上がる。

「なにが逢えて良かっただ馬鹿これじゃあなんの意味もないじゃないか」

沈んでいた気持ちを戻すために発した大きな声は自然と腰の痛みを和らげる。

「空!なに大きな声出してるの!」

下の階から聞こえてくる母さんの声に反応するように階段を下る。一段一段踏みしめる。

「なんのこれしき」

一歩前に出るたびに痛む腰を気合で耐える。階段を下り終えると母さんが「寝てなさいって言ったでしょ」と怒鳴った。俺はリビングのドアから顔を出す母さんに涙をこらえた全力の笑顔で「行かなきゃいけない場所。やらなきゃいけないことを思い出したんだ」と伝え玄関に座り靴ひもを結ぶ。

「そう、今じゃなきゃダメ、なのね」

察しがいいやっぱりいつまで経っても俺の母さんは、母さんなんだ。

そこで早紀の母さんのことが頭に浮かぶ。

「ちょっと行ってくるわ」

頭を二回左右に振って、俺の意思は曲がっていないと自分に言い聞かせる。

今までで見たことのない力強い背中を母さんは黙って見送る。

「よし、行くか」

先日一緒に帰ったときに早紀の家まで一緒に歩いたから場所はわかる。あとはそこまで自力で行けるかどうか。

照りつける太陽、そんなもの知らないし興味がない。痛む腰も今となっては天罰としか思えない。三人組に馬鹿にされたことも考えれば早紀が今まで受けてきたいじめと比べれば。

心で何度も言い聞かせながら早紀の家へと一歩ずつ歩みを進める。


「お父さん本当に行くの?」

私物を段ボールに詰める彼女の眼にはまだ涙が溜まっていた。

「学校にも挨拶したじゃないか」

あまりにも急すぎだった、仲直りをしたのは一週間前だったけれども彼女に伝えるのは引っ越す二日前だった。どうしても納得がいかない。

「私、」

「早紀こっちも手伝え」

言い終える前にお父さんに遮られる。

「う、うん分かった」

今まで受けてきたいじめの中で彼女は自信、勇気、そして自分自身の気持ちすらも失ってしまった。まるで命令に従うだけのロボットのように彼女は言われたことを素直に行うことしかできなくなってしまっていた。

業者が来るまで残り三十分程度。どうしても早紀は「行きたくない」そう伝えたかった。

今まで失っていた自分の気持ちを蘇らせてくれた彼は、彼女にとってかけがえのない友達。自分の気持ちを今言わないと彼に失礼だし、自分自身納得がいかない。そんな気持ちがあった。

業者到着まであと数分、やっと荷物をまとめ終わり、少し休憩が出来る時間があった。

「お父さん聞いて。」

奇麗に物が無くなったリビングに直で座るお父さんに真剣なまなざしを送る。

「ん、なんだ」

胡坐をかく足を延ばしながら早紀のほうに視線を送っている。

ぎゅっと不安が過る。私は素直に言えるのか。言ってしまったら悲しむのか。今更無理だと怒鳴られるのか。いくつもの嫌な予感がする。

ぐっと握り拳を作る。

「私、行きたくない」

言いたかった気持ちがパッと破裂したように彼女は顔を上げる。

「それは、無理かもしれないな」

と、同時にインターホンが鳴った。


はぁはぁ。太陽が彼の呼吸を荒くさせる。歩き出して三十分腰さえ普段通り使えれば十分で行ける道のりを、歩く止まるを繰り返している間にかなりの時間を使っていた。

「もう少しだ頑張れ俺」

あと少しで到着、そう思うと自然と足が軽くなるような気がする。当然まだ半分を過ぎたほどの地点ではある。

腰が痛いだけでこんなに不自由になるのか。今度からは体に気を使おうと再度思い直す。

ちょうど往復地点に到着したとき。

「あれ?空部活どうしたんだ?」

聞き覚えのある声が耳に入る。聞こえた方に顔を動かすと立っていたのは小学校で仲の良かった友達神埼しんざき さとるだった。

「悟か。ちょっと用事があってね」

友達は彼が腰を気にしていることにすぐに気が付いた。

時間が空いてるしちょうどそっちに用事があるんだ。よかったら肩貸すけどとほほ笑む友達に俺は「悪いね」と言いながら腕を回した。

雑談をしながら五分ほど歩いたところで友達とは別れあとほんのちょっとというところまできた。

「あとは素直になるだけ。それでいい」

最後の曲がり角を曲がる前に呟く。曲がった後正面に建つアパートの二番目の部屋、確認を終えた後。曲がり角を曲がった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ