山田雄介3
山田が目を覚ますとソファの上に寝転んでいた。どこかはわからないが三人掛けのソファと長細いテーブル、バカでかいたくさんのモニターがあったので部屋だと認識したのだがその部屋は壁がなく四方見渡してもどこまでも広がっているのである。感覚的にこれは夢なんだと思った。
「夢じゃないよ」
山田が横になっているソファの後ろから声が聞こえた。背もたれ所に神さんが寄っかかっていた。
「夢以外ありえないですよ、ここ僕の部屋じやないし。なんかフワフワして気持ち良いんですよね」
そんな事をいいながら三人掛けのソファの上でゴロゴロしている山田に神さんは「ほらあそこのモニター」と指差した。
そのモニターには廃墟になったどこかの町が映っている。草も木も家も人もいなくなった町の映像が。それを見た山田は「これはひどいねぇ」と他人事のように呟いた。
「山田はさ、死んだんだよ」
神さんは表情を変えずに言う。
「何を言ってるんですか? これは僕の夢の中ですよ。なら僕は自分の部屋で寝てるって事です」
自信満々に返す山田。
「まあ、ここにある限りは満たされているだろうから」
そう言うと、神さんはため息をついて「それじゃ私はこれで」と言ってどこかへ行ってしまった。
「だってありえないだろ。これが夢じゃなかったらなんだって言うんだよ」
山田は三人掛けのソファの上に横になったまま夢なら早く覚めろと自分に言い聞かせ、目を閉じるが覚める事はなかった。どれぐらいの時間がたったかもわからないまま山田はずっとそこにいた。神さんの言葉がいまさら山田の心に響いてくる。目を開けソファから立ち上がりバカでかいモニターに近づいてさっきの映像が映るモニターを探す。
「あ、これ」
山田は見覚えのある町が一瞬で吹き飛ぶ映像を見た。見知った顔の人や建物、そして、床の上で眠っている自分が燃え尽きる瞬間を。
「嘘だろ?」
その場にうずくまって動かなくなった山田の頭の中に神さんの言葉が響く。
「イメージ」
そうこれは僕のイメージだ。ならこっちに映っているのは誰のイメージだ? 楽しそうに笑って水遊びしてるのは? 旨そうな料理を食っているのは? 金をばらまいているのは? 誰の? 何で僕じゃない? 何で?
おかしいだろう? おかしいだろう。
諦めるように山田はまた三人掛けのソファの上に腰掛けた。夢は覚めなかった。
いつか名前すら忘れたころ、また誰かがイメージするその時まで。




