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7番くん

作者: アルミ缶

6番の僕と7番の彼の戦いはまさに死闘だった。7番くんが最終的に必殺の素因数分解をしてきて惜しくも破れてしまったけど、かなりいいところまでは戦えたと思う。序盤に平方根をお互いにかけて泥仕合に持ち込んだのがよかったのかもしれない。


戦いを挑んだのは僕の方からだった。7番くんは簡単に言ってしまえば不良だ。いつもいろんな人と喧嘩をしている。こないだは14番の先輩に「所詮俺の倍数でしょ」とかなんとか言ってつっかかっていた。

そして今日は1番くんを「お前、1番なのに八方美人で気に食わねえんだよ」とか言っていじめていた。僕はそれが許せなかった。だって、1番くんは僕にとって仲の良い約数ともだちなんだから。だから僕は7番くんに決闘を挑んだ。結果はさっき言った通り、負けてしまったけど。


今日の戦いの反省点をいろいろ考えながら布団に横になっていると、戦いの疲れからいつの間にか寝落ちてしまった。もちろん目覚ましなんてかけずに。


次の日、朝の点呼に僕は案の定寝坊した。


「…54番!55番!」


僕が集合場所の原点Oに着いたときにはすでに50番台の先輩たちが呼ばれていて、僕の順番はとっくに過ぎていた。


「6番!遅刻だぞ!罰として原点中心半径3の円周上を10周!」


N先生に鬼の形相で怒られる。しょうがないや。僕はおとなしく走ることにする。すると7番くんも同じ場所を走らされていた。


「7番くんも遅刻したの?」と聞くと彼はふん、とそっぽを向いて走り去って行ってしまった。まだ昨日のことを怒っているんだろうか。

なんとか10周を走りきると8番くんが近づいてきて僕にこう言った。


「7番のやつ、お前の番号の点呼の時にわざとお前のふりをして返事したんだぜ。でもそれがばれちまってお前みたいに走らされているんだよ。しかもお前の10倍以上の周回数さ。きっと昨日のことを反省してるんだろうな。1番にもさっき謝ってたし」


僕はそれを聞いてなんだか胸がジーンとなってしまった。その様子を見て察してくれたのか、8番くんは僕の肩に手を置いて言う。


「ほんっと、あいつはロクでもねえやつだよな」


僕はぶんぶん頷いた。


8番くんに肩に手を置かれた6番くんは、その後6^8=1679616番となって最強となりましたとさ。

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