山
私は今、山を登っている。
仕事と恋に疲れ果て何もかも忘れたく、知り合いに話したら登山を進められた。
ハァハァ、、、やっと山頂だ。
私は山頂に辿り着くとあまりの絶景に息を飲む。
晴れ渡る空、何処までも見渡せる地平線、体を突き抜ける風。
「最高ー!来て良かった!」
私はモヤモヤしていた物がスーっと消えて行くのを全身で感じながら目を閉じて深呼吸をする。
ふと人の気配に気づく。私の横に一人の老人が座っている。なんだろう違和感を感じる。
老人は登山をするには あまりに軽装で荷物も持たず腰は曲がっている。
私は少し気味が悪くなり下山する事にした。
後から「帰りは右に行きなさい。」
老人は私に言った。
私が振り返えるとそこには誰もいない。
私は恐怖を覚えて足早に山を降りた。
帰りは右と、言われても私は一本道を登ってきたから別れ道なんてあるわけ、、、
「うそ、道が二股に別れている。」
私は少し混乱したが老人の言葉を思い出した。
結局わたしは左の道を選んで降りた。
少し歩くと上りにあった休憩所が見えてきた。
「良かった。こっちが正解だ。」
「、、、チッ。」
誰かが舌打ちした。
私は全身に冷や汗を感じると急いで休憩所に逃げ込んだ。
「ふぅ。気持ち悪かった。」
私は椅子に腰掛けると周りを見渡す。
誰もいない。
コップは蜘蛛の巣。
カレンダーは30年前の。
カウンターにメモ。「店番をお願いします。」
やはり右だった。




