死んだら巨乳が待っている3
私が課長になって半年が経つ。まさか、その間に戦務課が完全に粉砕されて、ブラックホールにされるような屈辱を味わうとは思ってもいませんでした。それも、NTRて逆上した結果だ、なんてことがあっていいはずもないのに、実行者はランキング一位からランキング最下位へ転落という処罰だけで、他にお咎めなしとは・・・。もっとも、この世界で処罰というような処罰はそもそも存在しないので、仕方がないといえば仕方ありませんが。
戦場で戦い、殺されたら、霊子界に戻ってきて、時間が経ったら、また戦場に戻る。好きなだけ殺し、好きなだけ遊び、の繰り返しが私たちに与えられた世界ですから、その何処にも「罪」とか「罰」が入り込むような余地もなければ、そもそも、先ほど騒いでいた筋肉女と牛女にしてからは、そんな概念すら持ち合わせていないでしょう。
私ですらも、課長になった結果として、上位構造への接続許可が拡大した結果、思うようになっただけで、ただの戦士のままであれば、彼らと同じく、相変わらず自分の戦技や性欲、食欲だけを追求していたことでしょう。ただ、今の私は三ヶ月前の屈辱と、そこから戦務課を再生させる過程で得た情報によって、少なからずこの世界に対する考えが改まっています。
衣食住が完璧に保たれた世界で、私たちは戦い死に再生し戦い死にを繰り返し、より強くなり、誰よりも優れた戦士になることを目標にしているのです。そうした中で、最大の目標は、十三人之悪魔になることです。
一年間、ランキング1位を守り続けた時、その挑戦権を得ることができますが、ここ十年で、一番、近づいたのが、あの牛女の夫、グレイバードだったのですが、奴は嫁の浮気で激怒した結果、自ら敗死して、霊子界に舞い戻り、戦務課を文字通りチリも残さず消滅させた迄は大目にみるとしても、その後の奴の堕落ぶりは目に余るものがあります。
戦場に戻ってはすぐに死に、の繰り返し。それも、ここ三回は仲間といっていい相手によって自殺的に敗北して舞い戻っている。この世界でそんなことが許されるべきではない、と私は考え霊務局局長に上申書を提出しました。その返事が今日あたりあるはずなのですが
「うし、いや、麗子くん、局長から私宛に書類は届いていないかね?」
「ええと、ちょっと待ってくださいね」
相変わらずとろい。
なぜ、こんなのろまがあのランキング1位で、十三人之悪魔入りが確実だと皆が確信していた戦士の妻だったんだ?
「あ、あ、ありました」
揺れる胸が歩いてきて、私に書類を渡した。
「ありがとう」
私は中身を確認した。
「麗子くん、元夫くんに赤紙を届けてくれたまえ」
「赤紙?」
ぼけた顔をしている牛女に私は言った。
「最後通牒だ、はやく渡してきたまえ」