死んだら巨乳が待っている
頸部をふき飛ばされた。
これ、頭が残っている分、意識がすぐに飛ばないから、面倒なんだよな。
なんて思っていたら、
「だったら、これでいいわよね」
と、アライザが僕の頭を真横に串刺しにしてくれた。
そのかわいい右手で。
「さすがに結婚指輪は汚したくないのよね」
これで何度目の死亡かな。
まぁ、死んだとしても、また、生まれ変わってしまう。
次は何時だろうか?
昔は「死」というのがあったらしいけど、それはもう一世紀近く昔のことだ。僕が生まれた時には、もう、そんなのは昔話で、そもそも、僕自身が誰かの生まれ変わりらしいが、その辺は誰もよく知らない。百年前、空の上の親切な誰かさんが、僕らに再生能力を与えてくれたらしい。
以来、僕らはなぜか戦い続けている。それこそ、古の神話の世界のようにだ。
死んだ僕は霊子界に吸引されて、そこでしばらくはハーレム状態だ。
僕の好みは色白巨乳で優しい娘だ。
決して、
また、死んだのね、とか意地悪を言わない娘だ。
「また、死んだのかい、あんたは」
そう思っている矢先にいやな奴がきた。
「こんなのが昔の亭主だと思うと、私の格までさがる」
餅のような白い巨乳たちに埋もれているのを見下げられながら、猫蚤を潰す前のような両目で蔑まれると、背筋がゾゾッとする。
「あいかわらずの被虐趣味かい」
真上から見さげられると巨乳で顔が見えないのが、元妻の魅力だな。
「あんた、わざと負けるのもいい加減にしないと、アライザにだって殺してもらえなくなるよ」
と、元妻は吐き捨てて去っていった。
「怖い人」
左腕に抱いている巨乳ちゃんが言った。
「爆乳だったね、まけちっゃた」
右腕に抱いている巨乳ちゃんが言った。
「それにしても、弱いよね」
2人が僕を嘲笑った。
今度は股間がゾゾッとした。
あー、僕は幸せだ。
強くて戦い続けるなんて、なんて愚かなんだろう。そりゃ、強くなれば超一流の女性や超一流の車、家などなど、確かに手に入るかもしれないけれど、強ければ強いほど、戦えば戦うほど、楽しむ時間は減っていく。そんな馬鹿馬鹿しいこと、やってられるか。