ひつじに出会った(2)
「おーい、大丈夫っ?」
目の前で羊が宙に浮いて喋っている。
羊が
宙に浮いて
喋っている…
頭の処理が追いつかない。
「おーいってばっ、聞こえてる?」
ほっぺたをつねってみる。痛い。
「ねぇねぇっ、目を開けて寝る特技でもあるのーっ?」
「っだーーーーーうるさぁい!!」
状況をまとめようと思ったのに、こんの羊は!
そんな羊は驚いて半歩程度後ろに飛んで行ってブツブツ言っている。
「うわぁ、びっくりした!聞こえてるなら返事してよねっ!そもそも君に呼ばれて出てきたのにさぁ〜」
(え?)
「私に呼ばれたってどういうこと?」
「そのままの意味だよっ!君の人より秀でた才能に憧れる気持ちが僕を呼んだの。」
「憧れの、気持ち…」
確かにそれはあった。何か一つでも秀でた才能が欲しい、持っている人が羨ましい、と。
ただ一つ言えることは。
「でも、なんで羊?」
率直な感想を伝えたつもりだが、羊はむきーっと怒っている。
「酷いなぁっ!君の願いを叶えに来たのに、ひつじ羊ってさ!僕には、ボウっていうちゃんとした名前があるんだぞっ!」
そう言ってしゅんと落ち込む様子を見て、少しずつ私も冷静さを取り戻してきた。
「ごめんごめん、私は陽。私の願いを叶えてくれるっていうのは、その、何か一つ秀でた才能を与えてくれるってこと?」
ちゃんとした反応が帰ってきたのが嬉しかったのか、ボウは意気揚々と喋り始めた。
「うん!君が望む才能を与えることが出来るよっ!但し、タダとは言わない。あることをしてくれることが約束。」
(あること…?)
首をかしげて考えようとしたその時。
「良さそうだね!それじゃ、行こうかっ!」
「へっ!?」
詳細説明無し、承諾も得ないまま突然ボウは呪文を唱えだした。
しばらくすると陽の真下にブラックホールみたいな穴が空いており。
「えっ、これっておt」
落ちるんじゃない?という言葉も発する間もないまま、陽はブラックホールみたいな穴へ落ちていったのであった。