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二歳、厨房、初製作

更新が間に合いませんですいません。

思ったより時間が取れませんでした……



 二歳になった。

 俺は一年間あのクソ不味い離乳食生活を耐え抜いた。

 不味すぎて何回寝込んだかわからない……

 本当に地獄の日々だった。


 それも今日で終わりだ。

 ついに離乳食から卒業することになったのだ!

 始めからみんなと同じ物を食べるわけじゃないが、あの離乳食よりはマシなはずだ。

 親たちのの話しを聞くに、最初は柔らかく煮込んだ野菜や小さく刻んだ肉とかが食事になるらしい。


 それだけでもやっぱり、あのゴチャ混ぜ離乳食よりは百倍マシだ!

 ホントにあれは食べられるレベルを超越していた!

 よく一年もあの食事に耐えられたもんだ……

 こればかりは自分を誉めてやりたいと思う。



 そして二歳になったタイミングで厨房への出入りが解禁された。

 今までは危ないからと入れなかったが、メイドさん同伴なら入ってもいいことになった。


 俺は解禁されたその日に、すぐ厨房へと突撃した。

 厨房の広さは大体、たたみ十畳くらいで割と広かった。

 厨房には前世にあったような蛇口やコンロがあった。

 前世とは違い蛇口を捻ったり、スイッチ一つで火が付く訳ではなく、魔石による魔力で水を出したり火を点けたりするらしい。

 この辺は本当にファンタジー世界に来たんだと何故か納得してしまった。


 この魔石の機能はよくできており、子どもが間違って使えないようになっている。

 例えば危険がある火や水を使う際には、子どもでは起動できないように使用魔力が多めに設定されていて、電気やトイレなど使わないといけない物は低めに設定されている。

 二年ちょっと魔力の訓練をしてきた俺は普通に使えるとは思うが、一般的には五歳くらいにならないと使える魔力量には達しないらしい。


 行った時間は夕食前、そのため男女二人が食事の準備をしている最中だった。

 二人はうちの料理番で、いつも俺たちに食事を作ってくれている。

 あのクソマズい離乳食を作っていたのも、この二人だ。


 料理番の名前は男性がクエトロ、女性がミカエラ。

 話を聞くと二人は夫婦だそうだ。

 王城の食堂で働いていた時に出会い、お互いそこで修行して結婚する時に独立して家に雇われた。


 少しの間二人の作業を見させてもらったが、包丁などの技術はあるが調理法が思っていた通り、焼く煮る茹でるだけだった。

 調味料も見た感じあるのは、塩と胡椒あとは砂糖くらいで他のスパイスなどは見つからなかった。

 栄養面は問題ないだろうがこれから出されるのは、これだけじゃ味に深みは出ないだろう……


 これは外に出歩けるようになったらまずは、調味料探しが優先だな。

 まだ三年くらいは自分で買い物なんかさせて貰えないとは思うが、前以て探しておくのは重要だろう。

 それまでは今ある調味料を工夫してなんとか凌ぐしかないな。



 それで今回の厨房見学中に、調味料三種を無限収納で一キロずつこっそり貰ってきた。

 厨房の隅に革袋で積んであったので中身だけ抜いてきた。

 三十キロ以上は積んであったから、これぐらいは貰ってもわからないと思う。

 あとリビングのテーブルの籠に入ってた、リンゴっぽいのとオレンジっぽいフルーツを何個か頂いてきた。

 こちらの方は普通に誰かが食べたと思われて終わりだろう。


 今日は貰ってきた砂糖とリンゴっぽいヤツで飴を作ろうと思う。

 最近は自分の部屋にいる時は基本的に一人になれる。

 今まではエミラかカミラのどちらかがそばにいたが、二歳になったら俺から離れる時間ができた。

 それが自分の部屋にいる時と言う訳だ。


 飴を作るにあたって温めは火魔法を使い、型枠とか鍋っぽいのは土魔法で作れる。

 作り方だがいたって簡単。

 小学校の理科の授業で作った人もいると思うが単純に、砂糖に果汁を入れて混ぜながら溶かし、熱して少し水気を飛ばし冷まして固めるだけの簡単な作業だ。

 これなら非力な二歳児な俺でも作ることができる。

 まずは大きめの平皿っぽい物を土魔法で二枚作り、無限収納からリンゴっぽいのを取り出し間に挟む。


 この時気が付いたが無限収納に入れた物は、ステータス画面から一覧で確認できるようで、物の名前もその一覧に書いてあった。

 このリンゴっぽいのは、アプルと言うらしい。

 小さい『っ』はどこへ行った……

 オレンジっぽいのはオンジかと思ったがオレジだった。

 解せぬ……


 脱線したがそのアプルを挟んだ下に先ほどより深い皿を敷き、上の皿から体重をかけて押しつぶす。

 すると下の深皿に潰れた時に出た果汁が溜まる寸法だ。

 多少果肉が入るのはご愛敬ということで、それもまたよし!

 その果汁の分量に合わせて砂糖を入れて適度に熱する。

 一応話しておくが、こちらの世界でも砂糖は砂糖だった。


 熱するときに使ったのも、皿と同じく薄く作った三センチくらいの土器だ。

 土魔法で作ってあるので表面は加工したようにツルツルで、水を入れても土が溶け出さない優れモノだ!

 その辺の土から鉄が取れればフライパンもどきとかも作れただろうけど、全く混ざっていなかったので諦めた。

 鉄製品はいずれ作る日が絶対くるから、今は土器で我慢だ。


 その三センチ土器に原液を流し込み、火魔法で沸騰するまで熱してその後冷ます。

 完成した第一号を口に入れ舐めてみると……

 ちゃんとリンゴ風味……いやアプル風味の飴になっていた。

 まだ改善点もあるが、この世界の食文明レベルで作ったにしては上出来だと思う。

 これでおいしくない食事が出てきても口直しができるようになった。 


 そんなことを考えていると……


「はやと? なにしてるの?」


 ちょっと集中しすぎていたのか、気が付くとクレア姉さんが後ろから俺を覗き込んでいた。

 ヤバイなんとか誤魔化さないと……


「……?」


 二歳児らしく首を傾げてわからないアピールをする。


「なにかあまいにおいがする!」


 甘い匂いに引き寄せられてきたということか……明らかに視線が鋭くなっている……

 クレア姉さんが五歳児だとしても女は女。

 やはりスイーツには敏感に反応するようだ。

 前世の経験からこれは逃げられないのを察して、俺は観念して無限収納から先ほど作ったアプル味の飴を取り出しクレア姉さんに差し出す。


「どうぞ……」

「なにこれ?」


 クレア姉さんは俺の手のひらから飴を摘まむ。


「飴だよ」


 俺は簡潔にそう伝えた。


「あめ?」


 クレア姉さんは俺の言ったことが理解できなかったのか、俺の言った言葉をそのまま繰り返した。


「食べてみて?」


 そう言うとクレア姉さんをなんの疑問も持たず、そのまま飴を口へと入れた。

 口に入れて数秒、目を見開いたと思ったらすぐに満面の笑みを浮かべた。


「あま~い! アプルのあじがしておいしー!」


 調味料があれだけしかないということは、甘味も大体が大味なんだと思う。

 基本がそうなら飴とは逆で果物を砂糖漬けにするのが支流で、果汁を入れて砂糖で固めるとかはあまりやらないんだろう。

 人間固定観念があると中々同じ物を使っていても、別の物を作るのが難しくなるからな。

 俺は料理関係は前世の記憶がある分、食の進んでいないこの世界ではある意味チートだな。

 それよりまずは姉さんの口止めだ。


「またあげるから、みんなには内緒にしてね?」


 俺は交換条件を提示しながら、クレア姉さんにお願いする。


「わかった! 内緒にする!」


 笑顔でクレア姉さんはそう返事をした。

 五歳だし約束を守ってくれるかは怪しいけど、俺が作った物で久しぶりに笑顔を見れたし、それだけでも良しとするか。

 まあ、バレたらバレたでその時考えよ…… 



なるべく早めに更新できるよう頑張りますので、よろしくお願いします。

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