録音テープと橋と虹※
※不快な描写があります。お気をつけください。
カセットテープに母の声。
再生スピードはメトロノームでいうと80。
テープを発見したのは「めいつまこ」
私にテープを渡してくれたのは別の人だ。
男の人。
その人に名前を告げられた時「ああ、あの人」と思うが顔が浮かばない。
知り合い程度の関係の人。
(起きてみると名前にも印象にも思い当たる人などいなかった)
どんな印象だったか抱いたはずだけど思い出せない。
悪い印象はない。
私にテープをくれた人も全くの影法師みたいでもう顔がわからない。
カセットテープは茶封筒に入れられている。
ちょうどそう、「めいつまこ」は茶封筒のシワでできた影みたいな感じの人。
陽炎の先の方みたいな人。
テープは左側の丸い穴が煤けた赤いラインで縁取られている。
とても古い。
テープそのものも傷んでいて所々折れて再生した音も昔のレコードみたいに揺らいでいる。
いつでもちぎれてしまうことができると思う。
例えば再生を止めた瞬間の力なんかで。
いつのまにか私は電車をまたぐ橋の入り口に立っている。
そこで生の塊肉をスライスしている。
使っているのはピアノ線で、とても綺麗に薄切りすることができる。
肉は新鮮だけれど少し汁が出る。
水っぽい桃色。
橋のアーチに綺麗に重ならないように干していく。
橋は車が渋滞している。
立ち並ぶマンションの間から虹が見える。
空にほとんど溶けているうっすらした虹なので、手を額にかざし目を凝らさないと確認できない。
手から肉汁が伝う。
目の横を通り頬を流れた。
5月30日のメモからでした
お返事に至っていませんが感想が励みになっています。
とても。
あなたに写ったもの、感じたものを返してくれること。
誰かの描いたものを覗くこと。
活動報告などでやり取りを見るのも幸せに感じます。




