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焼き魚を食べていたはずが<FA:萩尾滋さんから>
※大変不快な描写があります。ご注意ください。
卵を持った魚を食べる。
ししゃものような味と卵だが、鮎くらいのしっかりした美人な魚。
尻尾からいただくと不思議と身じろぎしているように思う。
もう一度ホクホクした身を大きくかじる。
腹からぬるりと卵がはみ出す。
大きな袋でエラ側にも押し出されはみ出ている。
カズノコのように膜に包まれている卵は少し生っぽく見える。
目が合う。
ああ、この子はまだ生きていたのか。
苦しみを与えてしまった責任は、私が覚悟を決めてとらなくてはならない。
震える小さな頭にかぶりつき、かじりとる。
骨を砕く。
咀嚼し飲み込む。
小さな脳。
視神経。
舌に鈍いざらつきと苦みを感じる。
喉を通り熱い私の内側へ。
もう痛くないかな。
まだ小さく身じろぎする体。
私はこの子をかけらも残すわけにはいかない。




