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【夢日記】内側を旅しても(stray thoughts.)  作者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
2020年の夢

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ゾンビの子供を追って

 エレベーターで地下に向かった。

 乗員は三名。

 角にはささくれだった木製の丸椅子が二脚置いてあり、私はその一つに腰掛けている。



 エレベーターの白い扉は錆びていて、何度も浴びたのだろう血飛沫で黒ずんでいる。

 扉を開けた先に迎えているものが何か。私たちは理解している。

 エレベーターの扉は自動では開閉しない。

 学校や公共施設の非常扉みたいに自分で押し開けなければならない。


 エレベーターが止まってすぐに掃除機の先に吸い込まれるような勢いで、最初の一人がひゅっと飛び出した。

 叫び声がして非常扉がガンガン揺れる。

 ゾンビに襲われたのだ。

 きっと何度も背中を打ちつけられながら、食い散らかされているのだろう。

 にしにしと嫌な音がする。


 扉が静かになり、次に降りるのはどっちだと言葉を交わした。

 スキンヘッドの男が話すのはどこの言葉かわからない。

 彼は私の返事を聞かずに飛び出した。


 このまま袋小路にいても負け戦だ。彼が飛び出すと同時に私も意を決して外へ出た。

 わずかにも明かりがあったエレベーターと違い、通路には明かりがない。

 出た時爪先に触れたのは最初に飛び出た男の死体だろう。

 二人目の彼は左に行ったのか。

 音でゾンビは皆そちらに向かっているとわかる。

 右の通路にはゾンビがの気配がない。


 私は右の通路を走り抜ける。

 おそらくさらに降りていっているのだと感覚しながら。

 足音に気が付いたのだろう。

 大勢のゾンビが振り返り、追ってくる。


 その中にひとり子どものゾンビがいる。

 暗がりの中浮かび上がるように見えて、あの子は他の連中と違うとすぐにわかった。

 意思的な赤い瞳。


 ゾンビの子どもは私に気づかれたことを悟ったのだろう。

 踵を返し逃げ出してしまう。

 彼を逃すわけにはいかない。

 わざわざゾンビたちの中に飛び込むことになるのにも構わず、私は子どもの後を追った。


 夢中で追っているうちに光がさし、地上に抜けていた。

 助かったのだ。

 抜けた先は球場のようだ。


 私は場違いにも白衣を身に纏っていた。

 暗がりでは自分の姿に気がつかなかったが、かなり長身の青年だったらしい。

 科学者、もしくは医師なのかもしれない。


 ゾンビの子どもは、普通の子供と混じって三人並んで球場の最後尾の席に座っていた。

 紙風船のようなカラーの帽子をかぶっている。

 一緒にいるのは息子と知らない女の子だ。

 息子に話しかけると、隣にいたはずのゾンビの男の子は風に吹かれた砂のようにサァっと消えてしまった。

 二人に一緒にいたゾンビの彼のことを尋ねる。

 ついさっきまでここにいただろう? と。

 二人は、確かに一緒に話してはいたけど、実は彼は今あったばかりの知らない奴だ。

 行き先はわからない、と言う。




 球場を出て「伽藍」という名の定食屋の扉を開いた。


 調理場でゾンビの子どもは大人のゾンビから「邪魔をするな」と叱られている。

「邪魔なんかしてない」と子どものゾンビは反発し、外へ飛び出す。


「行くな!」と叫び追いかけるも、子どものゾンビはもう一度地下へ向かう通路へ向かい降りて行ってしまう。

 彼を追いかけるがそこは青白い蛍光灯が灯るただの地下通路で、さっきのゾンビだらけの通路ではなかった。



 子どものゾンビを追っていくと球場の下にある大ホールにつながっていた。

 ステージではマーチングバンドがバトンを振り、演技している。

 客席に私と同じ白衣を身に纏った女性が審査員として座っていた。

 ゾンビの子供は彼女の膝に甘えたようにもたれかかる。

 彼女はあのゾンビの子供の姉らしい。


 彼女もゾンビなのだろうか?

 信じがたい。

 熟れた白桃のような頬。

 目の輝き。

 青白く今にも溶け落ちてしまいそうなゾンビの子どもの頬とは似ても似つかない。


 私は彼女に挨拶をした。



 20200222

 彼女は綾瀬はるかにそっくりなのでした。

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