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【夢日記】内側を旅しても(stray thoughts.)  作者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
2020年の夢

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画鋲のピアスとパンクな流行り

 Uさんがピアスを作ってくれる。

 宇宙を模した不思議なガラスのピアスだ。


 しかしなぜか片方は画鋲である。

 さっき受け取った時もそうだったから、頼んでなおしてもらったはずなのに。

 これでは耳に留められないし、留めたくもない。

 再度「片方画鋲だよ!」と伝えにUさんちへむかった。




 剥げかけた木の扉を叩くとUさんが顔を出した。

 画鋲ピアスを差し出して事情を述べると修理に引き取ってくれる。


 気がつくとUさんの前に立つわたしは自分の掛け布団を抱えていた。

 わたしの家では布団が外に干せないのでベランダを借りに来たのだ。

 そして、いつのまにか尋ねた理由が、彼女の家の布団干しを手伝いにきたことになっている。

 借りるから、手伝うということらしい。

 なるほど。




 ボロくて暗い玄関をくぐると、Uさんの部屋の中は一つの天井を持つ八つもの部屋にわかれていた。

 外観からは想像できない広さだ。


 異様に高い天井の下に、広めのロフトがいくつも段違いにあって、それぞれ別の家族が暮らしている。

 各ロフトは玄関のある階のフロアにのみ梯子でつながっている。


 一つ一つのロフトは八〜十二条ほどだろうか。

 住人は、玄関の階のフロアに冷蔵庫とか洗濯機とか風呂とかを共有しているらしい。



 中には白人の家族もアジア系の外国人もいる。

 Uさんのロフトは最上段にあって、下の人の生活がすべて見渡せるようになっている。

 つまり管理者はUさんなんだね。

 ここの住人にプライベートはまるでなしってわけだ。



 わたしはこの住人の掛け布団を全て集めて干さないといけないようだ。

 同じ階に思える隣のロフトでもつながりがないので、面倒だが一度下まで梯子を降りてからしかいけない。

 しかも一件一件事情を話して布団を預からないといけない。

 各々が干せばいいのに厄介だな。



 中でなぜか印象に残ったのはUさんの息子の持ち物だった。

 彼女の息子は白いクロスステッチの生地の枕カバーを大事にしているようだ。

 ピカチュウとニンフィアのデザイン。

 手作りなのかな。

 特別な思い入れがあるのか、引き取る時視線を強く感じた。




 最後に訪ねた中国人留学生の部屋には、壁一面にコレクションボックスが貼り付けてあった。

 中には精巧な細工のボタンみたいなパーツがにいっぱい飾ってある。

 どうやら彼がピアスのデザイナーのようだ。

 Uさんはわたしの持ち込んだ画鋲を巡って、彼となにやら話し込んでいる。



 不良品のお詫びに、と留学生はわたしに置物を手渡した。

 置物というか、壁飾りというか……。

 それは大理石を模した材質のメデューサの顔で、時々目を見開き雷色に光らせる悪趣味なものだ。

 心の底からいらねーなと思うが、言葉が通じず、面倒を避けるために結局もらって帰ることにした。




 持ち帰ったメデューサは家の洗面台の横の棚に置かれた。

 洗顔していると、視線を感じるようで気が散ってしょうがないのでひっくり返す。

 すると裏側のくぼみにごっつい水晶をたくさん通したネックレスがはまっているのをみつけた。

 これもまた届けねばなるまい。





 うちの外に出ると青々とした芝生の庭が広がっている。

 芝生では小学生の子供たちが何をするでもなく集まっていて、きゃあきゃあ楽しそうだ。


 小学生ギャルの間では今パンクが流行っているらしい。

 歩いていると寄ってきて、尋ねてもいないのに「皮膚を貫通して見えるシルバーのトゲトゲは首に貼り付けているアクセサリーで、スイッチを押すと血糊が垂れるしくみになっているんだ」ということを教えてくれる。


 請われるがままに押して見ると、グジュっと音を立てて血糊が吹きだした。

 なんとも物騒な感じだ。

 ギャル子ちゃんは服や頬が血糊で汚れたまま「ね、いいでしょ?」と笑いながら去っていく。


 さっき留学生にもらったキッチュなメデューサといい、若者の間ではちょっと不気味なのが流行なんだな。

 おばちゃんにはよくわからんよ。




 同じ芝生の離れた場所では学生がチラシを配っている。

 文庫本大の小さなもので、二つ折りした外側が表紙。中に記事があるみたいだ。


 白いコピー用紙のものは「かがやき」

 緑のものが「野性」だったか、とにかく「野」がついた漢字のタイトル。

 あとピンク色のがひと種類ある。

 タイトルは忘れてしまった。

 どれもやけに昭和感があるタイトルとデザインだ。

 センスがいいんかどうかがわからん。




 白いバンに乗って仕事に出る。

 運転席と助手席に二人男が乗り込み。わたしは後部座席だ。

 見知らぬ三人の子供と一緒。

 なぜかわたしが真ん中に座ることになる。

 つまり子守要因なんだな。


 子供らのシートベルトを確認し出発する。

 大人三人に子供三人。

 違反になるのでは? と思いながら。




 出かけた先でわたしは一人下される。

 潮の匂いがする港町だ。

 寂れた不動産屋のようなところを訪ねると、赤い扉に321と書かれた部屋に連れて行かれる。

 321という番号だが、別に三階ではない。

 マンションと言うわけでもない。

 一戸建て平家だ。



 赤い扉を開けると、パッツンと前髪を切りそろえた重く長い黒髪をたたえた女性が出てくる。

 彼女がわたしにこの部屋の掃除を依頼した、ということのようだ。


 部屋にはどこもかしこもミルクをこぼして雑に拭き取ったような跡がある。

 ドアノブもそうだ。

 絞り足りない雑巾をかけたようにミルクが白く浮きあがっている。

 そもそも「絞る」ということを知らないんじゃないか?

 はて。



 寡黙な女性はただただ頭を下げる。

 物凄い小声で喋るので何を言っているかわからない。

 真っ白でタイトなニットのロングワンピースをぎゅっと握りしめ、申し訳なさそうに縮こまっている。



 机の上には大量の冊子が置いてある。

 さっき配られていた文庫本大のチラシだったかもしれない。

 濡れたのか少しふやけている。


 それにしても奇妙な部屋だな。

 壁や床のみならず、机までみんな玄関扉と同じ真っ赤な色をしている。



20200220



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