歯科医師の部屋には屋根がない
ある屋敷で歯医者にかかる。
顎の右半分は硬く、左半分は液状だから。
左半分は慎重に。
左頬に空の色が映る。
水溜りのように。
歯医者の部屋には屋根がないから。
映る。
そこにはある兄弟がいる。
弟はスナイパー。
弟は幼なじみの女と共に兄を追っている。
何も知らない兄は、ある組織を追っている。
兄は透明なアクリルでできた部屋の中に敵を追い詰め、組織の一人を刺している。
刃の短いナイフで首の根元をえぐるように。
弟は兄に自分の存在を知らせるように、アクリルの部屋に弾を打ち込み穴を開ける。
弾は床を貫通し天井へ。
兄は足元を見下ろし弟の存在を視認するも逃亡してしまう。
刺した相手が絶命するより前に。
アクリルは水溜りのように揺らぎ、部屋を写さなくなる。
兄が戦っているのはどこの世界だろうか?
弟と女の世界とは層の違う世界。
兄さん……。
兄を見失うと同時に世界の繋がりは切れ、弟と女は自分たちの世界の側へ落ちてしまう。
屋敷。
弟と女には大きな屋敷で見守る仲間がついている。
兄をこちら側へと連れ戻すためにそこにいる人たち。
歯科医師はなんでもしっている。
兄弟の間では見えているもの全くが違っていて、誤解とすれ違いがたくさんがあることも。
20191227




