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夢を飲み込んで
夢を全部飲みこみなさいと言われる。
誰だろう。天の声。
闇の中、夢で見たものが何処からともなく眼前に浮かび上がる。
かいわれ大根みたいな集合した芽の束。
上から見ると輝くような葉をしているのに、下からみあげあると黒いカビのような、黒土のような、排気ガスのような点がこびりついている。
この点も払わず全て食べるべきなのか?
洗うこともせずに。
躊躇する。
むしろその黒点こそおまえだ。
含めなくてはいけないと声が神々しく重々しく流れる。
私はさっきのような浮かび上がる闇の中ではなく、スーパーからの帰り道にいた。
線路沿いの高架を眺められる歩道を歩いていた。
現実世界。
まるで世界中に空からというように放送される声。
私に聞こえる。
街はいつも通りなのに人は感じられない。
20191216




