表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巡る世界  作者: 東亭和子
PR
12/12

最終話

 約束通りに凛は次の日から働き始めた。

 夢中になって働けば、辛い気持ちを忘れる事が出来た。

 そうして一年後、凛は男の子を出産した。

 大好きな人にそっくりの赤子を見て、凛は久しぶりに泣いた。

「…翠、頑張るよ。

 私、頑張るから早く会いに来て…」

 時々とても悲しくなる。

 翠に会いたくなる。

 凛は赤子を抱きしめてその気持ちを紛らわせた。

 赤子は順調に育っている。

「ふふ、可愛いわね」

 戒がふわりと現れて赤子の世話をしてくれるようになった。

 まるでもう一人の母親のように。

 だから凛は安心して働いた。

 そうしてずっと王宮で働き続けた。


「凛」

 名前を呼ばれて振り返ると若い男が微笑んでいた。

「凛。会いにきたよ。

 ほら、俺たちはまた出会えただろう?」

 また出会える、という翠の言葉が脳裏に浮かぶ。

 さまか!

 本当にそんなことが?

「あれ、もしかして忘れちゃった?」

 不安そうな男の表情に首を横に振る。

「貴方のことを忘れた日はなかったわ。

 おかえりなさい」

「ふふ、ただいま」

 男はそっと凛を抱きしめる。

 懐かしい翠の温もりだ。

「貴方の名前を教えて」

「俺の名前は翠だよ。

 それは変わることはない」

 確かに、髪と目の色が違うだけで翠と同じ顔立ちをしている。


「ねぇ、私はこんなに歳をとってしまったわ。

 貴方は変わらず素敵だけど」

「でも凛に変わりはないよ」

「そうかしら?」

「大丈夫。今度は俺が最後まで一緒にいてあげるから」

 翠の言葉に深く安堵する。

 家族でもなく恋人に看取ってもらう。

 それはなんて魅力的なのだろう。

「大丈夫。俺らはまた出会えるよ。

 今度は俺が待つ番かな」

 優しい翠の微笑み。

 世界は巡る。

 ぐるぐる廻り続ける。

 そうしてまた二人は出会うだろう。

 それは永遠に続く輪廻なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ