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No. 6 図書館の彼女

光が収まると、何故か周りはいくつもの本棚が並び立つ場所にいた。

いや、いくつものという表現は的確では無いだろう。

本棚は一つだけだ。

ただ、高すぎて天上が見えないほどの高さの本棚にぐるっと囲まれている場所だった。



「ようこそ。私の図書館へ」



楽しげな口調の声が掛けられる。

オレは、声のした方向に目を向ける。

部屋の中心。

ポツンと一つだけ置かれた大きな机の上に彼女は座っていた。



「……キミは?」



正直、見惚れた。

綺麗な白銀の髪。

紅と金のオッドアイ。

そしてーー背中に付いてる天使のような白い翼が特徴的な美少女だった。

……翼に関してはノーコメント。



「ふふっ、君からその言葉を聞くのは三度目(・・・)だな。最早、お約束だね」



彼女は微笑みながら、よくわからないことを言った。

三度目?

オレ達は、初対面じゃないのか?

何かが、引っかかる。

初めて会ったはずなのに、何故かとても懐かしい。

いや、この娘誰かに似てる……?



「まぁ、いい。今後はずっと一緒だからな。その内思い出すだろう」



「ずっと一緒?」



「ああ、そうだ。それより、これで君に自己紹介するのは四度目(・・・)になるが、改めて名乗ろうじゃないか」



本当にどういうことなんだ?

頭が?で埋め尽くされる。

そんなオレに構わず、彼女は嬉しそうに笑いながら冗談交じりに続ける。



「私はリオンだ。苗字はまだ無い。どこで生まれたかは知っている」



お前は何処の夏目さんだ。

なんでいきなりそのセリフ……。

と、思ったら奴が座っている机の上に置いてあった。



「このセリフを君に言ったのは初めてだな」



偶然置いてたわけじゃないのかよ。



「オレ達は知り合いなのか?」



気になりすぎたのでストレートに聞いてみる。



「さあ、どうだろうね。ところで今日は何月の何日だ?」



露骨に話題を逸らされた。

てか、何月何日って……。



「はぁ、今日は10月の30……いや、10月の31日だろ」



オレが学校から帰った時間は10月の30日の十五時過ぎだ。

そして、草原で目覚めた時、朝のように明るかったことからそれより一日は経過してるだろう。

そう思ったのだが。



「残念。今日は11月の3日だ」



「え?」



11月の3日?



「そう。さて、君の記憶に無い日の間、何があっただろうね?」



「……」



駄目だ、全然思い出せない。



「まぁ、すぐに思い出す必要は無い。それと先程の質問に答えると私たちは知り合いだ。それもかなり深い仲だ。一緒に寝るくらいの、ね」



「い、一緒に寝る!?」



何だそれは?

オレはこの美少女と一緒に寝たと?

うおお、全力で思い出せ!オレ!

てか、もしやオレは卒業式をーー



「あー、一応言っておくと、えっちぃことはしてないからな。君はまだピカピカのDTだ」



「誰がDTだッ!」



いや、まぁ経験無いですけどね!

でも、男なら見栄を張りたいじゃないですか!



「安心したまえ。私も経験は無い」



「そんなこと言われても気まずくなるだけなんですけど!」



リアルでそんなこと言われても対応に困る。

喜べばいいのか?

いや、スルーしよう。



「それでここは何処なんだ?」



「ああ」



オレの露骨な話題逸らしに、彼女は嫌な顔をせずに答えてくれた。



「ここは図書館だ。私が管理する、無限の図書館。”無限(アンリミテッド)図書館(ライブラリー)”と呼ばれている。私は長いんでリミブラと端折って呼んでいる」



略し方……。

いや、それはどうでもいいか。



「オレをここに連れてきたわけは?」



「言っただろ?君には生きてもらわないといけないと。それが理由だ」



「そういえば……それじゃ、時間を止めたのもお前か」



「そうだ。ここにある本の力を使わせて貰ってな」



「スピカは無事なのか?てか、今はどうなっている?オレはどうやってここに来たんだ?」



疑問が膨れ上がる。



「質問が多いな……まぁ、いい。他の女の心配なんかするのは気に食わないが、それもキミのいいところだと目を瞑ろう」



はぁ、と彼女は一度ため息をついてから一つずつ答えてくれた。



「あの緑は無事だ。今も時間が止まっているからな。そして、キミは精神だけこの図書館に引き摺り込んだ」



なるほど、ひとまずは安心……したのか?



「それで、現実に戻って時間が動き出したら、オレ達はキメラに挽肉にされると思うんだが、どうする?」



「いや、挽肉にはならないだろ。首を噛みちぎられてチェックメイトだ」



「どっちにしろアウトじゃないか」



殺され方なんてどうでもいいんだよ!

オレは助かる方法が知りたいんだ!



「君は欲張りだな。死に方なんて選べるだけマシだぞ?」



「生憎、まだ若いオレはもう少し生きたいんだ」



「先程まで諦めていたクセに?」



「錯覚だ」



ちょっとだけ弱気になっただけだ。

……本当だぞ?



「まぁ、そういうことにしておこうか」



楽しそうに笑う。

そして、彼女は言った。



「さて、本題だ」



変わらず、楽しそうに。

そう言った。














・魔術

スキル。魔術には様々な種類があり、とりあえず後ろに術がついてれば魔術。でも、武器の名前+術の場合は違う。召喚術も一応魔術。


・体力回復+

体力の回復速度を速める。ちなみにHPは体力では無く生命力。体力の表記は無い。



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