No. 1 気付いたら草原
「……何処だ、ココ」
辺りを見回して呆然とする。
見渡す限りの広大な草原。
視界には、時より見たことのない種類の謎の動物が映る。
「あれ?目が覚めたの?」
ふと、右隣りの方から女の子の声が聞こえる。
そちらを見ると、綺麗な緑色の髪の少女がオレの顔を覗き込んでいた。
オレと同い年くらいだろうか?
「大丈夫?キミ、何でこんなとこで寝てたの?」
少し大きめのバッチリとした目で心配そうにオレを見て問いかけてくる。
「こんなとこ?」
とりあえず、オレはもう一度辺りを見回してみる。
……うん、見事な草原だ。
そういえば、何でこんなとこにいるんだろう?
「なんでオレはここにいるんだ?」
「いや、それをわたしに聞かれても知らないよ」
「チッ、使えねぇ」
「何でいきなり怒られてるの!?」
「すまない、あまりのわけのわからなさについな。おかげで少し落ち着いた」
「えっと、それは良かったね?」
言葉通り、少し余裕を取り戻したオレは、落ち着いて記憶を回想する。
まず、いつも通り学校に行って授業を受けた。
終わり。
終わりかい!と思うかもしれないが、これ以上何を言えと?
その後、家に帰ってゲームだヒャッホイ!って感じで最高に高ぶりながら帰ったはずなんだが……。
あれ?その後のことが思い出せない。
何かあったっけ?
確か、とても大切な何かがあったはずなんだが……。
「……何だ、何があった……全然わからない」
思わず頭を抑える。
一体、オレに何があったんだ?
「キミ、本当に大丈夫なの?」
オレが突然頭を抑え出したからだろう。
先程よりも心配の色を濃くし尋ねてくる。
失礼だが、ポニーテールがフリフリと揺れて面白い。
……そういえばこの子は何でココにいるのだろう?
「キミは?」
自分のことを考えてもこれ以上はわからないだろうから、わかりそうなことから聞いていこう。
と、いうか……この娘、何処かで見たことがある?
いや、リアルで緑色の髪の少女にはあったことは無いはずなんだけど……何でかな?
「わたし?あ、そういえばお互い自己紹介もしてなかったね」
あはは、と笑いながら頬をかいて彼女は続ける。
「わたしは、スピカ・デルタ・フォルティシモ。よろしくね」
彼女、改めスピカは、銀色のカードを取り出しながらそう名乗った。
「それは?」
謎の銀色カードについて聞いてみると、スピカは不思議そうに首を傾げた。
「ステータスカードだよ。キミも持ってるでしょ?」
ステータスカード?
何かゲームにありそうなアイテムだな。
しかし、持ってるでしょ?と言われても……。
持ってるはずはないが、一応学ランやズボンを漁ってみる。
いや、しつこいようだが、そんな謎のカードなんて持ってるわけが……。
「……あった」
何故に?
こんなカード、所有していた記憶なんて無いぞ?
いくら首を捻って考えてもまったくわからない。
てか、ステータスカード以外の物が無いんだけど、オレのスマホン様やゲーム機の皆さんは何処へ?
「……ねぇ、もしかしてキミって記憶喪失なの?」
ステータスカードを見たときの反応が変だったのだろう。
スピカは深刻そうにオレを見ている。
「んーもしかしたらそうなのかもな」
騙すようで悪いが、今はそう認識してもらった方がいい。
「でも、その割りには平然としてるよね?記憶が無いって怖くなったりしないの?」
「記憶が無いからこそ怖くないんじゃないか?状況がイマイチ理解出来てないからな」
「そうなんだ……でも、このままってわけにはいかないし、とりあえずステータスカードを確認してみたらどうかな?」
……なんだろ、何かデジャブった。
最近、似たようなセリフを聞いたような……。
「どうしたの?」
スピカの顔をジッと見つめていると、彼女はキョトンとした顔をした。
「なんでもない」
それだけ言って、言われた通りステータスカードを見る。
名前からしてオレのステータスでも書いてあるのか?
そう思いながらカードを見ると……。
[ シュウヤ・ホシミズ ]
LV. 1
Class:召喚士
HP:100/100
MP:200/200
ATK:35
DEF:25
MAT:40
MDE:25
STR:30
VIT:15
SPD:40
保有スキル
・強化召喚 LV. 1
・武装召喚 LV. 1
・制限解除 LV. 1
・魔力回復+ LV. 1
・経験値+ LV. 1
・魔力消費軽減 LV. 1
・幸運補正 LV. 1
・器用度補正 LV. 1
Oh...何のゲームだ、コレは?
気まぐれにこの話の用語解説をしてみたいと思います。毎回書くつもりだけど数は適当。意味☆不明なこともあるかもしれないけど、気にしない気にしない。
・ステータスカード
名前の通りである。この小説内の世界では、生まれた時に貰うものなので、基本的に持ってることが当たり前。
・LV
ゲームと同じく、魔物を倒すと上がる。他に、レアな食材で作った料理を食べても、ホンの少しだが、経験値が入り上がることがある。でも、基本は魔物を倒さないと上がらない。
・Class
天職。とはいえ、別に強制ではなく、その職に着くと補正が掛かる程度のもの。