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転倒!

新年、明けましておめでとうございます!

昨年は自分の作品をご愛読頂きまして真にありがとうございました。


大変お待たせいたして申し訳有りませんでしたが、本日から復帰いたします。

ただ、ほぼ一ヶ月間留守にしていたので、やる事や片付ける事が山積みとなっていて

中々更新は出来ないと思いますが、出来る限り頻繁な更新を心掛けて頑張りますので、

どうぞ暖かく見守って頂ければ幸いです。

また、評価/感想への返信は順次行わせて頂きますので、少々お時間を下さいませ。


それでは、本年もどうぞよろしくお願い致します!


2009年1月10日          羽沢 将吾

「くそっ!」

先ほどまでの事を思い出し、俺は自分のバカさ加減に毒づきながらDT50を加速させる。

と、その時、突然道路に飛び出して来た猫を認め、

「うわっ!!」

慌てて急ブレーキを掛けた!

が、次の瞬間視界が反転し、全身に強い衝撃を感じながら世界が回転する。


ガッシャーン!ギャギャギャ……!


俺の目に、火花を散らしながら道路の上を滑って行く愛車の姿が一瞬だけ映り、

背中にドン!という衝撃を受けて悶絶した。

「ぐはっ!」

痛いというより、息が出来ない苦しさに悶えながら倒れたまま必死に口をパクパクさせる。

だが、呼吸が戻って来ず、意識が遠のき始め、

ヤバイ、このまま死ぬのか……?

一瞬そんな思いに囚われ、

こんなめんどくさい状況にいる位なら死んじまった方が良いかもな……などと思った時。


”ショウ!このバカやろう!!”


突然、凄まじい勢いで誰かに怒鳴られて

「か……かはっ!」

驚きの余り意識が一瞬で覚醒し、

「はっ、はっ……がはっ!げほげほっ!」

なんとか呼吸を再開する事が出来た。

「はっ、はっ……今の声は……」

一瞬だが、確かに聞こえたあの声。

あれは、親父……?

そんなまさか……な。

混乱する思考を必死で落ち着けながらガードレールにもたれる様にして起き上がり、

なかなか上手く行かずに荒れる呼吸を整えていると

「オイお前、大丈夫か?」

ボボボボボ、と言う集合マフラーの重低音を響かせながら

俺の前に止まったバイクのライダーが声を掛けて来た。

「げほげほっ!……は、はい、何とか……」

俺はまだフラつく頭をヘルメットの上から手で押さえながら、そのライダーに視線を向け、

「GPz400F……」

ライダーの下で図太い排気音を奏でているバイクの名前を呟く。

黒いボディに赤いストライプが走り、シャープな造形の大柄なハーフカウルを持つそのバイクは、

Kawasakiのエンブレムを誇らしげに光らせている。

「人のバイクの車種を気にする位なら、大丈夫そうだな」

全身を黒い革のツナギで固めたライダーは苦笑しながらそう言うと、

バイクのエンジンを停めて降車してスタスタとどこかに歩いて行ってしまう。

「…………?」

ようやく息が整ってきた俺が、痺れている手足の感覚を持て余しながら見ていると、

ライダーは俺のDT50を引き起こしてこちらへと引いて来てくれた。

「思ったより壊れてないぞ、オフロードバイクで良かったな。

 ロードスポーツだったらヤバかったかもな」

そう言いながらライダーがDTのキックを数回蹴ると、

ビィィィィン!と元気良くエンジンが始動する。

「あ、ありがとうございました」

手足の痺れが段々と痛みに変わっていくのを感じながら俺がフラフラと頭を下げると

「気にすんな。それより早く病院に行った方が良いぞ。

見た所高校生っぽいが、保険はちゃんと入ってんのか?

学校にはバレない方が良いなら、警察には知らせられんから保険は使えんかもしれんが」

ライダーは俺の体をざっと確認しながらそう言うと

「うん、どこも折れては無さそうだ。

 だがヘルメット越しとは言え頭も打ってるから病院には行っとけよ。

 出来れば今日中にな。市立病院なら救急受けてくれるだろ」

ポン、と俺の肩を叩きながらヘルメット越しにニヤッと笑い掛けてくれた。

「っ!」

だが、俺は叩かれた肩から始まった激痛に顔をしかめ、声にならない悲鳴を上げてしまう。

「お?痛かったか?

 ははははは!その痛みは生きてる証拠だ!

 じゃあな、ボウズ!」

そんな俺を見て豪快に笑いながらGPzに跨り、

キュル、ボウン!とエンジンを掛けてゆっくりとスタートさせる。

「あ、ありがとうございました!」

痛みを堪え、俺が走り出した男に向かって声を掛けると、

男は左手をぐいっとサムアップしてからコォーーーン!

と抜けの良い排気音を響かせて夜の街の光の中に溶けて行った。

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