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星空……

こんにちは、作者です。

いつもご愛読ありがとうございます。


さて、大変申し訳ないのですが、しばらくの間、投稿と執筆が出来ない状況になってしまいました。

何とか年内には片付けて復帰したいと思っておりますが、まだなんとも言えません。

楽しみにしていて下さる皆様には本当に申し訳無く心苦しいのですが、

出来る限り早く復帰出来る様に努力いたしますのでどうぞご容赦下さいませ。


それでは、続きをお届けできる日まで、皆様も健康にお気を付けてお過ごし下さい。


2008年12月2日  羽沢 将吾

ざっと暖まって風呂から出た俺は、服をさっさと着てから頭も乾かさずに遥の家に向う。


ピンポーン


「はい、どちら様?」

「ショウです!」

おばさんの声に俺が名乗ると、すぐにドアがガチャ、と開いた。

「おばさん、遥が……」

俺が息を整えつつおばさんに言い掛けると

「まあ落ち着いて、ショウくん。上がってちょうだい」

と、俺を招き入れてくれたので、

「はい、お邪魔します」

俺はおばさんの後について玄関に入り、持って来た遥のサンダルを玄関に置いた。

「あら、持って来てくれたのね、ありがとう。

 あの子、裸足で駆け込んで来てそのまま自分の部屋に上がっちゃったから、

 廊下も階段も砂だらけになっちゃったわよ」

くすり、と笑いながらおばさんが言った言葉に胸がズキン、と痛む。

「すみません、俺が……」

にっこりと微笑んだおばさんの顔から微妙に目を逸らしながら口を開いたが、

「俺が」の後になんと言って良いのか解らずに口篭ってしまう。

「とりあえずお茶でも飲んで落ち着いて、ね。

 遥は帰って来てるんだから心配無いわ」

「……はい」

しかし、お茶を飲んで、その後どうするべきだろう……

おばさんにも、亜由美との事を話さない方が良いのだろうか……

由香里先生は、若宮さんのお宅にも内緒にしておけ、と言っていたよな……

「どうしたの、ショウくん。早くおいでなさいな」

リビングの入り口からおばさんの声が掛かり、はっと我に返った俺は

おばさんの後を追ってリビングに入る。と、

「ショウ兄ちゃん、いらっしゃい」

嬉しそうに微笑んだ沙里が、すっと俺の腰に抱き付いて来た。

「やあ沙里、こんばんは」「こんばんは」

俺が沙里を抱き上げると、沙里が俺のほっぺたにちゅっと軽くキスをしてくれる。

俺も沙里のつやつやした可愛らしいほっぺたにキスを返した。

「えへへ、大好き」

俺の首に手を廻してぎゅうと抱き付く沙里の暖かい体の感触が、

ささくれ立った神経をスーッと楽にしてくれた気がして、一気に体が弛緩する。

「ショウくん、コーヒーで良いかしら?

 ソファにでも座って楽にしてね」

おばさんの声に「あ、はい」と答え、俺は沙里を抱いたままソファに身を沈めた。

「香奈はもう寝ちゃってるの。パパはまだ会社よ」

俺の横にとす、と座ったおばさんが、俺の聞きたい事を先読みしたかのように教えてくれ、

「コーヒー、飲んでね。

 あら、沙里ったら甘えちゃって」

と苦笑しながら沙里の頭をこつん、と軽く叩く。

「だって、沙里はショウ兄ちゃんが大好きなんだもん。

 今日は香奈もハル姉も居ないから、ショウ兄ちゃんを独り占めするの」

俺は、抱きついたまま嬉しそうに言う沙里の頭を優しく撫でながら

「ごめん、沙里。ちょっとおばさんと話が有るんだけど、部屋に行っててくれないかな?」

とお願いする。

「ええ〜っ!?せっかくショウ兄ちゃんに抱っこしてて貰えると思ったのに……」

くしゃ、と可愛い顔を歪める沙里のおでこにちゅっとキスをして

「ごめんね。今度、必ず埋め合わせするから」

と言うと「……うん、解った。今度また抱っこしてね」と

哀しそうに答え、沙里は俺の膝から下りてくれた。

「いい子ね、沙里。ご褒美にあなたの欲しがってた筆箱買ってあげるから」

「ほんと!わあい!!」

おばさんの声に嬉しそうに喜んだ沙里は、

「それじゃ、もう歯を磨いてお部屋行くね。おやすみなさい」

ペコリ、と俺に向かって一礼してから洗面所へ向った。


「さて、ショウくん。

 遥が泣きながら帰って来た理由(わけ)、聞かせてもらえるのかしら?」

コーヒーをくいっと飲み干し、ソーサーにカップをカチャ、と戻したおばさんが

ついっと俺の方へ寄りながら聞いて来たのに、

「……俺の帰りが遅かったんで、遥がカンカンに怒ってて……

 それで、俺も今日ちょっと嫌な事が有ったから、つい売り言葉に買い言葉になっちゃって……」

もぐもぐと不明瞭な言葉で、しどろもどろに説明するが……

「今日のショウくん、何かおかしいわね。

 いつものまっすぐなショウくんじゃないみたい」

ズバッと抉るようなおばさんの言葉に、ぐう、と言葉が出なくなってしまう。

「ショウくん、私はあなたの事を本当の息子だと思ってるわ。

 だから、何か心配事が有るのなら隠さずに話して。

 それとも、私の事は信じられない?息子だなんて思って欲しくないのかしら?」

「!そんな事無いよ!俺だっておばさんの事は母さんだと思ってる……けど……」

「けど、なあに?」

じっと俺を見詰めるおばさんの大きな瞳から、すっと目を逸らしてしまう俺。

と、ふう、と溜息をついたおばさんが

「今日は話せないみたいね……ショウくん、今日はひとまず遥には会わずに帰って。

 二人とももうちょっと頭を冷やしてから様子を見ましょう。ね?」

と、俺の手を握りながら諭すように言う。

「……はい、解りました……」

俺はそれ以上、何も言う事が出来ずにソファから立ち上がり、玄関へと向う。

「ショウくん、待って」

靴を履いて立ち上がり、ドアに手を掛けた時におばさんから呼び止められ

「はい?」と振り向くと、

「あ……」

おばさんが俺の体に手を廻し、俺をぎゅうっと抱き締めてくれた。

俺もおばさんも何も言わず、玄関の時計の針の音だけがコチコチと響いている。

抱き締められていたのは五分ほどだったろうか、すっと俺から離れたおばさんが

「お休み、ショウくん」

と微笑みながら言ってくれた。


おばさんに見送られ、部屋へと帰る道で見上げた空は、満天の星空だった。




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