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姉妹校!?

西園学園の校門の手前で岬を下ろし、そこからは自転車を引いて歩く。

名門女子校に男女の二人乗り自転車で乗り付けるワケにはいかないからな……

並んで歩き出した岬が、背負っていたデイバックから何かを取り出して

「ショウくん、コレ着けて」

と俺に渡してきた。

「ん?なんだこれ?」

受け取りながら見てみると、緑色の腕章と水色の名札だ。

「なになに、入園許可証と、交流委員証、ね……」

緑色の腕章には交流委員証、水色の名札には入園許可証と書いてある。

「そ!なんて言っても名門女子校だからね。

 こう言うアイテムが無いと、門前払い喰らっちゃうのよ」

へええ、と感心しながら二つのアイテムを身に着ける俺と岬。

「なあ、そう言えば前から疑問だったんだが、

 なんでとても名門だなんて言えないウチの学校と

 この近辺では最高クラスの名門女子校の西園が姉妹校なんだろうな?」

おそらく、岬も知らないだろうなと思いながら、なんとなく質問してみる。

「それはね、西園学園の創始である神崎清臣(かんざききよおみ)さんと、

 ウチの創始者が親友だったからなんですって」

「……」

まさか答えが返ってくるとは思っていなかった俺は絶句しながら、思わずマジマジと岬を見詰めてしまう。

「…?どうしたの?黙っちゃって?」

「あ、ああ、悪い。まさかホントに知ってるとは思わなかったんだ」

俺の言葉にプッと噴き出しつつ、俺を色っぽい表情で眺める岬。

「やだぁ!ショウくん、生徒手帳読んだこと無いの?

 最後の方の姉妹学校紹介、って所に小さくだけど書いてあるよ」


いや、普通そんなのマトモに読むヤツ居ないって。


神崎清臣さんねえ…なんだか、高貴そうな御名前だこと。

ちなみにウチの学校の創始者の名前は山田喜兵衛だったか?

「なんでも、神崎家って結構大きな財閥らしいわ。

 あまり一般的な知名度は無いけれど、世界中にいろんな会社とか持ってるんだって」

なんでそんな事に詳しいんだ、お前は?

「え?それはね、私のお父さんがそう言う方面に関わる仕事をしてるのと、

 実はね……内緒なんだけど、私、西園も受験して落ちちゃったんだ」


っと!また考えが口に出ちまってたか!

って……


「え!マジか?」

岬の思わぬカミングアウトに驚く俺。

「うん、マジ。だから、西園学園に入場するの、ちょっとトラウマなんだ」

何ともいえない表情で微笑む岬に、何て声を掛けて良いか迷ってしまう。

「あ、でもね!今の学校はとても好きだし、後悔なんて全然無いの!

 でも、なんだか昔フラれた人に会うみたいな感じがしちゃってね」

明るい微笑みに戻りながら言う岬。

そう言えば、亜由美も西園受けたって話しを聞いた覚えが有るな。

亜由美も落ちたんだろうか……?


「さ、とりあえず守衛さんに挨拶しないと!」

岬の声にはっと我に返ると、いつの間にか西園の校門前に辿り着いていた。

しかし、すげぇ校門だな……

入って直ぐ右に受付の建物が有って、守衛さんがこっちを訝しげに見ているぜ。

「ちょっと待っててね!」

岬はそう言うとタタタ、と守衛所に掛けて行き説明をし出す。

下校する生徒達が俺の方を見ながら、なにやらきゃいきゃいと騒いでいる様だが、

まあ女子校だけに男が珍しいのだろう。

「ショウくん!自転車は守衛所の横に置いてくれって!」

岬に呼ばれて自転車を置きに行き、一応俺も守衛さんに挨拶する。

「校内では騒いだりしないで下さい」

守衛さんから幾つかの注意事項と、西園の委員会が指定してきた会議場の場所を聞いて

俺と岬は西園学園高等部の敷地内へと入園した。


…………………


しかし……どんだけ広いんだ、この学校は。

「校舎、っていうか建物が一杯有るね」

岬が感心した様な声で呟く。

「一体、どれが実際の授業をしている校舎なんだ?さっぱり解らん」

確か、西園の生徒数とウチの生徒数はそんなに変わらないか、

ヘタすりゃウチの方が生徒数自体は多いのに、

敷地面積はウチの三倍、建物の数は数倍有りそうだ。

オマケに、同じ頃に創立された筈なのに、建物が妙に新しい。

ウチのボロ校舎とは雲泥の差だな。

「ここは元からお金持ちな上に、生徒の家庭もみんなお金持ちだからね。

 寄付やら何やらでお金には絶対困ってないから、

 改築とか増築とかしょっちゅうしてるって聞くわ」

さすが元志望校の事だけあって、詳しいな岬。

「えと、この校舎の四階に文化祭企画委員会室があるみたい」

って、この校舎そのものが「委員会棟」とか書いてあるぞ。

こういう委員会の為の建物が有るなんてウソみたいだな。

ウチの委員会は、授業後の教室に適当に割り振られて会議するけどな。


「ね!男よ男!」

「そう言えば、交流委員会が有るって言ってたわね!」


委員会棟から出てきた生徒が興味津々、といった呈で俺を見て行く、

何か、動物園の珍獣にでもなった気分だな……

「ショウくん、行きましょ!」

すれ違った生徒の美形度チェックをしていた俺の手首をぎゅっと握り、

ズンズンと建物内に入っていく岬。

「お、おいおい岬!そんなに引っ張るなって!!」

俺は岬に手首を掴まれ、つんのめる様にして校舎内へ入った。

 

 

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