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果たし状!

こんばんは、作者です。

大変お待たせいたしました!

この一週間、思いっきり充電して参りました!

読者の皆様の暖かいお言葉は本当に嬉しく、思わず涙が出て来ました。

ここの所仕事のストレスも溜まっていたので、先週末の草津行きの後、思い切って有給を使い水曜から今日まで車中泊しながら東北地方をブラブラして来ました。

夜間、キーンと静まる山の中のパーキングで寝ていると、様々なモノの声が聞こえて来た様にも思え、恐ろしくも感動しました。

また、草津での友人カップルの話で良いネタを仕入れましたので、短編を一つ書こうかと思います。

ま、それはさておき。

お待たせしていました「それすらもまた、平穏なる日々」、再開させて頂きます。

これからも皆様に楽しんで頂ける作品創りを頑張っていきますので、よろしくご愛読下さいませ!


羽沢 将吾


「お?」

弁当を食い終わり、袋に弁当箱をしまおうとした時、袋の中に封筒が有る事に気付いた。

「ん?なんだ…?」

封筒を取り出して見ると、

「ショウ兄ちゃんへ   サリ」

と書いてある。

そういえば、カナサリは昨日の林間学校から今朝早く帰って来て、

今日は学校が休みだって言ってたな。

しかし、林間学校って言う位だからもっと山の中に行くのかと思ってたら、

バスで十分程のキャンプ場とは、俺たちの頃とは時代が違うって奴か。

そのうち、遠足行くのにバスとか電車とか使う様になるんじゃないだろーな?


……それにしても、俺、最近良く手紙もらうよな…


あ!そうだ!

今朝、涼から渡されたラブレターモドキ、まだ読んでねえな。

昼休みはもう終わるから…次の授業は英語か。

って事は、由香里先生の授業だから…ま、ちょっと位余所見して手紙読んでても大丈夫だろ。

授業寸前はみんながわらわら通るから、気付かれてもイヤだしな…


キーンコーンカーンコーン…


「さて、諸君!楽しいイングリッシュの時間だぞ」

来た来た、由香里先生。

「起立!礼!」

「よーし、今日は前回の続きから行こうか…」


さて、どれどれ、と…

え〜と、親愛なるショウ先輩、お元気ですか?

本日はお日柄も良く…


…何書いてんだ、あのオンナモドキめ。

結婚式のスピーチじゃ無ぇっての。

しかし、前置きだけで一枚使うなよ…ってか、四百字詰め原稿用紙で手紙書くなよ…


え〜と、本題は、と。

お、二枚目の半分くらいからが本題の開始だな。

なになに…


僕は先輩にお話した通り、西村亜里沙さんに恋しています。ブッ

しかし、西村さんのスイートハーツは先輩の方を向いていて、ウプププ…スイートハーツ…

僕のセンシティヴハートはザックリとブレイク…ク、ククク…クヒャッ!

「わはは!!」

ダメだ!限界だ!

俺は我慢できずに笑い出してしまった!


「そこォ!何笑ってんだ!?」


由香里先生の手からチョークが飛び、俺の額に見事にヒットする。

「痛っ!!」

椅子を後ろ向きに斜めにしていた俺は、見事に椅子ごとひっくり返ってしまった。

ガッターン!どってん!

「あいたたたた……」

急いで起き上がると、

「ショウ!キミ今内職してたろ?」

ツカツカと教壇から俺の方へやってきつつ、由香里先生がキツイ調子で言う。

内職とは、授業中に他の勉強や宿題をする事だ。

「と、とんでもないです!そんな甲斐性有りません!!」

急いで起きながら手紙を机の中に隠す!が!!


バッ!


「これは何かね?ショウ」

俺が机の中に隠すより一瞬早く、由香里先生の手に手紙を奪われてしまった。

「ほう、これはこれは…」

クラス全員が固唾を呑んで見守る中、由香里先生が手紙をさっと一瞥する。


「……プッ」


表情を全く変えずに小さく噴出した由香里先生は、

「あー、これは私が預かる。異存は無いな、ショウ?」

とニヤニヤしながら俺を見る。

「…はい、有りません…」

まあ、この状態で返してもらったら、授業終了後にまたクラス全員から追われるハメになるだろうしな……


「よーし、授業を続ける。ショウ、キミは授業後に職員室へ来たまえ」

ツカツカと教壇に戻りつつ由香里先生が言う。

そして、何事も無かったかの様に授業が続いた。


キーンコーンカーンコーン……


「よし、今日はここまで!」

「起立!礼!」


由香里先生がカツカツと出て行った後。

「おいショウ!!なんだあの手紙!!」

「誰だ!相手は誰だ!!」

「うひえくほっうう!!」


…来ると思ったぜ三バカトリオめ…


「ああ、一年生から今朝もらったんだ。果たし状さ」

「ふざけるな!どんな果たし合いをするんだ!Aか!Bか!!Cか!!!」

お前…古いな、鈴木。

「弓道対空手の異種格闘技戦だ」

俺の言葉にポカン、とする三バカ。


しかし、俺はまんざら冗談だけで言ったのではない。

涼からの手紙には、確かに書いてあったのだ。


「西村さんを賭けて、僕と勝負して下さい」

と……

何を考えてるんだか、あの小僧は。


さて、とりあえずは職員室へ行かんとね。

ほけっと立ち尽くす三バカを放っといて教室を出る。

ああ…タダでさえ昨日の弁当を見られた件で頭痛いのに、

さらに追い撃ち掛けられるとは思わなかったぜ……

職員室のドアをノックし、入室すると昨日と同じ席に由香里先生が座っていた。

「おう、ショウ。こっちだ」

由香里先生が手を振りながら俺を呼ぶ。

「まあ、座りたまえ」

椅子を勧められ、「失礼します」と言いつつ座る。

「さて、さっきキミが授業中に読んでいたこの手紙、一年の川浪(かわなみ)涼からのモノだね。

 確かに彼はヘタな女の子よりも可愛い美少年だが、

 ショウにはそんな趣味まで有ったのか?

 遥が浮気するな、とまた怒るのでは無いかね?」

ニヤニヤしながら言い放つ由香里先生。


…ああ、どうせそう来ると思ってましたとも。ええ。


俺は予想通り過ぎる展開に大きく溜息をつき、なんと答えようかと迷った。

「……えー、その件につきましては……」

「ああ、冗談だから気にするな。

 で、だ。悪いが授業中にチラ、と見た時、西村を賭けて勝負がどうこう、という件りが

 見えてしまってな、なにやら穏やかじゃ無さそうなのでスマンとは思ったが読ませてもらった。

 この西村、と言うのは一年の西村亜里沙嬢の事だな。

 で、だ。

 …キミは遥と西村の二股を掛けているのか?それとも、亜由美を含めて三股か?」

息を潜め、テーブル越しに俺の顔を見詰めながら聞いてくる。

「…えー。

 俺は二股も三股も掛けていませんし、掛ける積りも有りません。

 俺の愛しているのは遥だけですから」

俺は由香里先生の瞳をしっかりと見詰めながら、大真面目に宣言した。


……しーん……


ぷぺ。


「…由香里先生、ヘンな音立てて噴き出すのは止めて下さい」


「………!!くはっ!!あは、あははははははははは!!!」

由香里先生が唐突に爆笑しだした。

「わっ!!悪いっ!!きゃははははは!!

 笑ってない!!ひひひっ!!笑ってないぞうっ!!」


思いっ切り爆笑してんじゃんか…


「あーはっはっはっはっは!!!

 イヤ笑ってない!笑ってないってば!!」

他の先生の注目を一心に浴びながら、痙攣する程の勢いで笑い続ける由香里先生。

俺は再び大きく溜息をつくと、由香里先生が落ち着くまで黙って窓の外を眺めていた。





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