コラボ話 東方人衛伝
予告通り、コラボです。
読みたくない人は飛ばしてください。
今回は人衛伝の霊斗くんがコラボです。
「問題です! 自分の世界が暇で暇で仕方ない場合、どうすれば良いでしょうか!?」
「はい、師匠! 暇つぶしを見つければいいです!」
「正解! 国下くんに十点!
次の問題! 手頃な知り合いに暇つぶしができる相手がいない場合、どうしますか!?」
「はい、主さん! 別の世界などから引っ張りこんじゃえばいいです!」
「正解! 尾都さんに十点!
三問目! その暇つぶし相手が弱すぎては意味が無い! 一定の強さを一を呼び寄せるにはどうする!?」
「はい、先生! 主人公属性で呼び寄せちゃえばいいと思います!」
「正解! 天くんに十点!
最終問題! 今までの問題の答えすべてを可能にするためには!?」
「はい、兄さん! 兄さんが能力を使えば万事解決です!」
「正解! 姫ちゃんに十点と可愛いから五百点の追加点を与えます!」
「「「「じゃあ、後は全部お任せします!」」」」
「任された! じゃあ連れてくるぜ!」
そんなおふざけのノリで今回の犠牲者は呼び出された。
****
「やぁ、少年。この間ぶりだね」
俺は目の前で呆けたように口を開ける少年を見てそういった。
まぁ、呆けるのも仕方ないとは思う。いつぞやの優一然り、突然現れた扉にいきなり引きずり込まれたんだから。
さて、目の前に倒れているこの少年だが、優一と同じく、別の世界の主人公くんだ。先日別件で優一をからかいに言った時に知り合った少年で、名前は博霊霊斗。名前の通り博麗神社で神主をやっている。
俺は目の前の少年の顔を覗きこんで声をかける。少年は驚いたように叫んだ。
「あっ、零! お前だったのか」
「おう、俺だぜ。急に引き込んで悪かったな。暇つぶしがしたかったんだ」
要件を聞いた霊斗は苦いものでも食ったような表情をした。そんなに嫌だっただろうか。
前回あった時も一応バトったりはした。だが、そんな顔をするほどの力で戦っていないと思うんだがな。いや、でも総括で見てみれば俺はノーダメージで、あの時の一戦は俺の一撃で全て吹き飛ばしたんだっけ。まぁ終わらせ方がえげつなかったし仕方ないのだろう。
「やるのか?」
「大丈夫。今回はそれなりに手加減するさ。
俺は自分の体以外につかえるのは霊力だけっていう縛りでもいい」
「本当か? ならいいぜ」
俺の話を聞くととたんに勝機が見えたようで、霊斗は快く暇つぶしを快諾してくれた。
起きなと言って彼を起こすと、彼は周囲にいる俺の知り合い達に気づいたようだ。
「零、こいつらは?」
「俺の弟子たちだ。そこらの大妖怪よりかなり強いぞ」
霊斗は関心したようにうなづきながら弟子たちと挨拶を交わしていった。
ここで勝手に考察するなら、この三人の中で、霊斗と最も相性が悪いのは天だろう。あいつは速いだけだからな……まぁ、速すぎるのが脅威なんだが。
よし、今日は三弟子とも戦わせることにしよう。拒否権は……なしでいいだろう。
「さて、挨拶は済んだか? じゃあ、まずは腹ごしらえだ」
俺は霊斗を居間まで連れて行く。そこでは姫ちゃんがせっせと料理を並べており、テーブルの上は料理でいっぱいだ。
姫ちゃんは俺達が入ってくると、霊斗に気づいて笑顔で挨拶した。
「あっ、お久しぶりです霊斗さん。後ちょっとだけ待っててくださいね」
「あ、はい。ありがとうございます」
霊斗は姫ちゃんの挨拶に笑顔で返した後、テーブルを見ては関心したように息をついた。
「本当、前回のあった時も思ったけどさ。姫ちゃんって本当になんでも作るよな」
「これでも世界中を旅行したんでね。姫ちゃんなら大抵のものが作れるさ。
そっちは? 霊夢の料理の腕の方は悪くはないんだろう?」
「ああ、まぁ、悪くはないし、美味しいが、古今東西のレパートリーとなるとな」
「まぁ、それは仕方ないだろう」
霊夢は幻想郷住人だ。基本和食のみだし、それが普通だ。霊斗もわかっているだろうし口には出さんが、たぶんそういうことだ。
さて、料理の方の準備はそろそろ終わりそうだし、先に席について皆でしゃべりだす。最初に霊斗に話しかけたのは国下だった。
「でさ、霊斗は強いのか?」
「えっと……俺の世界の基準でいいなら、それなりに」
「へぇ、へぇええええええ」
「な、なんだ急に」
国下は明らかにテンションを上げて、顔が笑顔になっていく。こいつのことだ、俺が霊斗と戦わせてくれることをわかっているんだろう。楽しみで仕方ないのだ。
「いいねぇ、いいねぇ、師匠、あんた最高だよ」
「そりゃあどうも」
じゃあ、次は私と尾都が霊斗に話しかける。
「呪術とかって興味あるの?」
「呪術かぁ、俺は基本エネルギーをぶっ放すだけかなぁ」
霊斗はやはは、と軽い感じだ。
音はふーんと目を光らせると、少し霊斗を見回して、少し不思議がる霊斗を見ながら言った。
「そう、博霊だし、そっちもいけるかと思ったんだけど、どうも夢想封印系列までが専門かしら?」
霊斗はその発言が図星だったようで、口を開けて驚いた。
「そ、そうだ。よくわかったな」
「だって私だもの」
「えっ、あっ、うん。そうなのか?」
筋が通っていないのに筋が通っている気がする尾都の超理論。
霊斗はよくわからずに混乱しているようで、目を白黒させている。俺から言えることといえば。
「霊斗、考えるな。尾都の言っていることに理屈を求めると長くなる。尾都の言ってることは大体正しいから無条件で信じるのが正しい」
「そ、そうか」
さてと、そんなことを話している内に姫ちゃんが俺の隣に座っていた。会話の邪魔すると思ったんだろう、今まで黙っていてくれたらしい。
「いただこうか」
「はい、みなさん召し上がってください」
「じゃあ、遠慮なく。いただきま~す」
「「「いただきま~す」」」
****
腹ごしらえも終わったところで、姫ちゃん以外の全員には戦闘用の特別会場に移動する。
さて、移動中に俺の弟子たちについて知らない人には教えておこう。
尾都は元祖九尾の狐。三人の中でも特に莫大な妖力と圧倒的な術式能力で攻めてくる。
天は天狗の元頭(現在隠居)。超高速の連撃で敵は姿すら見れずに衝撃波の嵐に殺される。
最後に国下、鬼の頭領で、鬼神の二つ名が有る。術もすごくないし、速くもないが、その一撃は陸を沈め、海を割る。
俺の規格外な弟子たちを、今日も宜しく頼む。
と、そんな内に会場についた。
「今回はここでやる。俺の物理防御の盾なんかもつけてるからミサイル程度は屁のようなもんだが、せいぜい会場を破壊しないようにしてくれよ?」
「会場を破壊? そんな強度の会場をぶっ壊すなんて物騒なこと出来るわけ……」
「えっ、いつも見たく暴れちゃダメなの?」
「私の究極術式発動できないの?」
「俺が全力で飛べないんだがそれは……」
「できるの?」
唖然とする霊斗に俺は頷いた。この三人なら余裕できる、だって俺の弟子だから。
「だって俺が師匠だから」
「それは理由になるのか?」
「なるのさ」
笑顔で言いながらさっさと地面を蹴って宙に浮く。続くように弟子たちが上がってきて、三人で不敵な笑顔を向けながら霊斗に言った。
「「「ようこそ、主人公くん。今日は楽しんで、もとい楽しませてくれよ?」」」
「いいね、全力でやらせてもらうよ!」
霊斗も、どこか不敵を匂わせてそういった。多分隠し球でも有るんだろう。期待しておこうと思う。
****
さて、くじ引きだ。どこかのこの世界の管理者のせいで、誰との戦闘をカットするかがこの九時で決定されてしまう。因みに、カットされるのは俺、尾都、天、国下、姫ちゃんの内から三人。姫ちゃんか俺は、どちらかが選ばれた時点でもう片方が脱落だ。
「「「行くぜ!」」」
「いきます!」
「いくわよ!」
『せいっ』
クジの結果は、俺と国下が掲載されるぜ。(実際にくじ引きしました。BY作者)
というわけで、国下りが霊斗の前に進み出る。
「じゃあ、初戦は俺だ。師匠の前に肩慣らし程度にボコボコにされていってくれ」
「ボコボコは確定なのか?」
「ああ……当たり前!」
国下はいきなり飛び掛かった。奴なりの開戦の合図だ。反応できなきゃ死ぬぜ。
まぁ、霊斗なら大丈夫だろう……たぶんね。
****
師匠が連れてきたという別世界の主人公。そいつの得意分野は肉弾戦で、己を強化して戦うのがいつものことらしい。
さて、現在の戦況だが、少年の攻撃を俺がすべて躱している。因みに、反撃はなしだ。
「少年、そんな攻撃じゃいつまでたっても当たんないぜ?」
「くっそ、すばしっこい!」
最初の一撃を躱してみせた少年の反撃を交わしながら俺は挑発して見た。が、言葉の効果は薄い。それよりも、ちょこまか避けまわっているのほうがうざったいらしい。
彼の動きは武術やら何やらの技術を短期間だけ教わった人間の感じだ。師匠のように喧嘩技術でないから動きに無駄はない。が、どうにもまだまだ型にはまっていてそれを昇華しきれていない感じだ。
「少年は誰かに戦い方を習ったりしたのかい?」
「え!? ああ、いちおうそれなりには」
「ふーん、期間が短かったんだろう。まだまだ動きが硬いぜ」
そう言いながら飛んできたパンチを手で受け、勢いを殺さずに少年の体を引き倒した。
「あでっ」
自分の勢いそのままの衝撃はかなりのものだったのだろう、結構つらそうだ。
全部の攻撃が躱されている姿や、倒れる姿が、なんだか師匠にボロ負けしていた過去の自分を見ているようで、微笑ましい物気分になっていると、少年は何故か不満気な顔になっていた。
「おいおい、どうしたんだ?」
「お前、攻撃してこないのは手抜きか?」
ああ、そういうことか。その答えならある。というか、師匠によく言われた。
「いや、手抜きじゃないよ。これは手加減だ」
余裕たっぷりで言ってやると、少年は更に不満そうになった。
今回の少年は察しが悪いのだろうか? 力量差が読めていないのか? それとも空気よめないだけか? いや、何にしても手加減を抜くととんでもないことになる。
「手加減浮きでやってくれよ!」
不満そうな顔にどう帰そうか悩んでいると、霊斗少年の方から催促が来た。念の為に聞いておく。
「いいのか?」
「いいとも!」
念には念を入れてもう一度聞いておく。
「本当にいいのか?」
「大丈夫だって!」
しつこいだろうが、もう一度。
「後悔しないか?」
「そんなに相手にしたくないのか!?」
不服そうな少年の声に俺は首を横に振った。戦うことは楽しい。少年との手合わせは楽しい。ただ、自分が攻撃をしてしまうと、すぐに終わってしまって楽しくなさそうなのだ。
まぁ、でも彼がいうならしかたがない。手を出そう。
「わかった。三秒後に、反撃を開始する。初撃とは段違いだが、いいよな?」
「当然!」
「じゃあ、三、二、一、零」
カウントの終了と同時に、少年の拳を避けて懐に入り、一発ぶち当てた。少年の腸が一気に吹き飛んでいった。
「えっ?」
「早く再生しろよ? おっつかなくなるぜ」
そう言いながら少年の手を握る。上半身だけになった少年を、投縄のように振り回して、壁へと放り投げた。足がまだ再生せず、両手だけの少年は空中での方向転換ができずに壁に衝突した。
少年は頭でも打ったのかふらふらと立ち上がる。両足の方は再生できているし、勝負は続行できそうだ。
「大丈夫そうだね、じゃあ次の攻撃行くから」
「くっそ……速っ」
立ち上がった少年に今度は軽く散髪拳を出してみる。二発は撃ち落されたが、一発が少年の右肩に入る。少年の手が、弾けた。
「あっぐっ」
少年が激痛に顔を歪ませる。まさか師匠のように痛覚を遮断していなかったのだろうか。ということはかなり痛かっただろう。まぁ、止める気はさらさら無いが。
「そい、もう一発」
「くっ」
胴体へ蹴りを一発突っ込む。腕と同じように体が弾け、ズタズタになりながら少年が吹き飛んでいく。
まだ彼は再生するだろう。次で決める。
「トドメだ」
吹き飛んでいく少年に向かって駆け出し、右手に力と妖力を溜める。
壁にたたきつけられ、まだ再生途中の少年お頭にめがけて、拳を振り下ろそうとし、
「勝負あり」
という師匠の声で止めた。拳の前では振り下ろす風圧で半ばめった打ちにされたような顔の少年が白目をむいていた。
「あら、攻撃はじめたら楽しくなっちゃってさ。少年、すまんね」
俺は気絶しながらも回復する少年を担ぎ上げ、尾都の方に放り投げる。
目で合図すると、尾都は仕方ないわねなんて言いながら回復術をかけ始めた。
「少年、起きな。勝負終わったぜ」
頬をッタ記ながら少年に覚醒を促す。薄目を開けた少年は次の瞬間ガバリと起き上がると周囲を見渡し、俺の顔を見て一言だけ気の抜けたように言った。
「あんた、強いんだな」
俺は笑って返した。
「俺が強いんじゃあない。少年がまだまだ弱いだけだよ。
もっと強くなりな。たくさん強くなって、次回戦うときは俺と本当に格闘できるようになってくれ」
「おう、わかった」
少年は頷く。そして、あっと声を出して体を隠し始めた。
「服っ! そういえば戦ってる途中で服なんかなくなってたんだ!」
「ああ、すまん。俺のせいだね。うちの鬼の衣をやるからそれを着な。
俺も着てるやつだが、次に俺とやるときはそれにしてくんな。じゃないとまた服が消えるぞ」
「お、おう。そうする」
少年はいそいそと着替え始めた。そして、尾都に気づいて顔を真赤にすると、手洗いの方にかけていった。
微笑ましいものである。
「じゃあ、天。次はお前だぜ」
「おう。まぁ俺のは載らないんだけどな」
「いいじゃないか。クジだよ」
「はいはい、まぁせいぜい世界の広さを教えてやりますとも。
師匠に相性が良いと言われたからって、それが必ずしも勝てるとは限らないってね」
****
「やぁ霊斗、俺の弟子たちはどうだった?」
三人との勝負を終えた霊斗に、俺は聞いてみた。
霊斗はいあままでを振り返るように目を細め、顔を青くし、目を逸らし、悟ったように言った。
「……世界は、広いな」
それが、妙に面白くて、俺は大笑いした。まさか悟ったようになるとは思わなかったのだ。
腹を抱えていると、霊斗はなんだよと頬をむくれさせた。
「いやいや、ごめん。まさかあそこまであいつらが手加減なしでやるとは思わなかったんだ」
「結局三人目までで手加減らしきものをしてくれたのは国下だけか。
いや、途中で国下もやめたしなぁ、あれは俺がやめさせたんだろうけど」
「ま、自分の強さがわかってよかったんじゃない? まだまだお前は強くなれるよ」
「うん。それでさ、零は今からでいいのか?」
急に霊斗から発された闘気に、思わず顔が不敵に笑う。その顔を崩さず、言った。
「いつでもいいぜ、あの三人に師匠と呼ばれる俺の力を見せてやるよ。手加減付きでね」
「いいね! じゃあ……開始だ!」
霊斗の拳が眼前へといきなり迫る。俺は、それを避けずに受けた。
霊斗が息を呑む。前回のように俺が吹き飛ばなかったから。
俺は微笑みながらいう。
「国下とガチンコで殴り合えるんだ。前回のが全力じゃないに決まってんだろう?」
「そのとおりだな……行くぞ!」
霊斗が一度距離を取る。そして、拳を構えながら前かがみに俺へ向かってきた。
国下が霊斗はそれなりに戦い方の心得があると言っていた。なら、俺よりも技術はあるはず。
霊斗から軽い左が放たれる。右手でいなすと右手が飛んできた。それを受け止め、蹴りを放ってみる。が、それは受け止められ、大ぶりに空中へと投げ出された。
「じゃあ、あんた相手に温存は必要ないよな! 霊符『夢想霊砲・極』」
空中の俺に向けて、霊斗から虹色の霊力で出来た光線が襲ってきた。
光線は太い、自分の体以外に霊力しかつかえない今、避けることはできない。
「なら」
ごく少量の霊力を残し、残りを全て霊力を右手へ込める。俺の霊力は常人より少し大い程度。それでも、圧縮すれば込めればそれは大きな武器となる。
避けれないなら迎撃する。この光線を貫いてしまえばいい。
残した少量の霊力をやりくりし、光線に向けて姿勢を整える。そして、右手を大きく振りかぶり、眼前の光線に向けて思い切り振りぬいた。
霊力の奔流を拳が貫いていく。俺の前で弾けるように、光線が割れて消えた。
大きく息をついながら地面へと着地する。霊斗が目を白黒させながらいって来た。
「あり?」
笑顔で答える。
「あり」
霊斗は苦い顔をしながらもまた俺に突撃してくる。今度は何が来る? と体術に備えて身構えた直後、霊斗の手に剣が出現した。
不意のことで対応しきれず、後退はしたものの斬撃を受けて胴体が切り離されてしまう。
そして、ずり落ちる胴体へ向けて、蹴りが迫り、もう一度空中へ。
「今度は逃がさない」
空中から霊斗を見ると、霊とのもつ剣が光輝き、どんどんその大きさを増していく。エネルギーが剣の形をしているだけというのは分かったが、アレはかなりの量だ。まさに、海すら割れる。
先程と違い、チャージがある分まだ対処はできる。回復をしながら、俺は剣に合わせて技を発動できるように構えた。
霊斗の気合の声とともに剣が空中を薙いでいく。
「ぜああああああああああ!!!!」
その剣に合わせる形で叫んだ。
「『激魂歌』!」
俺の声とともに残された少量の霊力が量を爆発するように増し、そのエネルギーが体から溢れだす。俺はそれを無理やり操り、俺を包む球のように展開する。溢れる力の流れはそれを割らんとするエネルギーを受け止め、飲み込み、完全に、防いだ。
再生したからだとともに霊力で浮遊しながら、技名の続きを呟いた。
「奔流『球』」
「あれを防ぐのか……」
霊斗が息を上げながらショックだとでもいうように俯いてそう言った。
さっきの技はかなり強力だった。破られたからとショックを受ける必要はない。さきほどの俺の防御はエネルギーを圧縮したものだ。だから、さっきのエネルギーが剣のサイズまで圧縮されていればもしかしたら割られていたかもしれないのだ。
「さっきのは技の性質的に俺のほうが有利だった。かなり強力な技だったし、そうショックは受けるもんじゃないぜ」
「そう言われても、目の前で破られちゃあなぁ」
霊斗が溜息を付きながら両手を前に出す。俯いていたせいで、霊斗の目が笑んでいるのを見破れなかった。
不意の攻撃に危険だとそう感じた時には手遅れだった。六つのエネルギーの塊が全て俺にむけて放たれた直後だった。
現在可能な防ぐ手は無い、くらうしか無い。……俺をエネルギーが飲み込んでいった。
****
少年の放ったエネルギーが師匠を飲み込んでいく。
「全能神技『スーパーノヴァ』……よしっ」
少年が笑顔でガッツポーズするのが見え、直後にエネルギーに包まれた中から現れた殺気がそれを全て根こそぎ奪っていった。
エネルギーが弾け、中から黒いコートを羽織り、目を爛々と光らせた師匠が現れた。
師匠が言った。
「試合は俺の負けだ。おめでとう。久々だよ、負けたのは」
「ああ、おう。みたか」
少年が表情を凍りつかせながらそう返す。当たり前だ。師匠のあんな殺気の前で、勝利の笑みは出せるわけがない。
そして、この後のことは予想がつく。少年は縛りプレイ中の師匠に勝った。じゃあ、次はどうなるか。に試合目だ。
「じゃあ、縛りを外して第二試合だ」
師匠が目を輝かせながら少年へと近づいていく。少年は、全速力で身を翻して逃げた。
少年お判断は正しかったと思う。師匠は負けず嫌いだ。二度目は縛りなんてしないだろう。縛らない師匠がどれほどの強さか、俺はよく知っている。
師匠が、俺の視界から消えた。直後、霊斗が、視界から消え、次に空中に現れた頃には。
「二回戦目は俺の勝ち、いいね?」
「う……あ……」
ところどころの再生が追いついていないほどに傷ついた霊斗と、いつもの傍若無人さで二試合目を決行した師匠の笑顔があった。
****
「いやはや、やり過ぎちゃってごめん」
「ああ、うん。大丈夫だ」
あれから霊斗が少し目線をそらすようになった。まぁ、少ししたら治るだろう。霊斗はいいやつのはずだ。
まぁ、最後の二試合目は俺も大人気なかった。俺が悪い。タコ殴りにした俺が悪い。
「前回のように記憶を全部流さなかっただけマシだと思ってくれ」
「ああ、うん。わかった」
相変わらず。目をそらす。大丈夫、大丈夫だ!
「じゃ、じゃあ、またな。また国下あたりでも遊ばせに行くから」
頷く霊斗を信じて、次の奴らに回す。
「また、来てくれよ。今度はちゃんと殴りあいしたいし」
「今度はちょうどいい手加減を覚えてくれると嬉しいかな」
「私の方はそうねぇ、今度は体をもっと改造出来るようになっていてくれると嬉しいわ」
「尾都と戦えるほど使うとなるとどれだけ先になるか」
「じゃあ、俺くらい速くなったら当たらないぜ」
「天ほど速くなるだけでも暴走しそうなんだが」
弟子たちが振る無茶ぶりを霊斗がいなしていく。
最後には、姫ちゃんが包みを持って現れた。
「はい、お弁当です。帰り道にでも食べてください」
「あ、ありがとう」
姫ちゃんの笑顔に少し照れながら霊斗が包を受け取った。羨ましい。
「終わった」
「ああ、うん」
だから目を合わせろ。怖くないから。
仕方ないと自分をなだめながら、平行世界への扉を作る。
「また遊びに来い。次は戦わなくてもいいから」
「おう。じゃあ」
霊斗は扉をくぐって帰っていく。くぐった直後に向こうから、
「零! この高さは何だ!」
と聞こえてきた。
笑顔で答える。
「高度五千メートルだよ。達者でな」
不満をいう霊斗の声が聞こえる門を、閉じた。
楽しかった。




