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東方兄妹記  作者: 面無し
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紅夜

次回はコラボの話になります。

次々回は物語内の時間が数ヶ月ほど飛びます。


コラボしてくださるのは『省られた少年少女』さんです。


 五本の武器を携えた敵。その強さはまさに凄まじいの一言につきる。

 剣の力、雷の力は以前にも一度無効にされたことが有る。雷神の武御雷にはかすりもしなかった。その武御雷が「今度の相手は俺を打ち負かしたものの師匠らしいな」なんて言っていたのだ、雷天は防がれるであろうことを予測していたし、実際防がれたときも、凄さに驚きはしても防がれたことに驚きはしなかった。

 だが、。もう一つの剣の力によって、姉の天照さえ手こずらせる雨の力を受けていながら、なぜこの男は、


「いいね、いいよ。かなり楽しい」


そうも余裕でいられるのか?

 やたらと振り回される剣を抜けて、零の胴を斬る。何もなかったかのように迎撃が来て、避けた後で彼を見ると、傷はなかったかのように綺麗に消えていた。

 回復力にやきもきしながら考えを続ける。戦況的には俺が圧倒的に有利だ。先程から攻撃が当たっていないし、今のところ迎撃にも問題はない。彼の力で変動を続ける岩の棘達を足場にし、荒れる風達を受け流す。問題はないはずなのだ。だが、目の前の彼を見ていると、この有利な状況は本物ではないのだろう。

 零の剣の内、白い剣に一撃を加えると、風が変動し、一気に吹き飛ばされた。次に土色の剣に近づこうとすると、剣の周りに言わがまとわりついて防御が出来上がっていた。攻撃しても意味はなさそうなので一旦下がる。

 さっきのことから、風と岩はあの剣の内、土色の剣と白色の剣、それぞれ『がいあ』、と『えあ』といったか、その二本の能力だ。なら、後の三本は?


「さて、そろそろガイアとエアの考察は終わったかな? じゃあ本番だ。四本全部、しっかり味わってくれ。


 零が微笑んだ。それと同時に、周囲の岩や風もやみ、彼の周りとやたらと回っていた四本の剣が動きを緩められ、また彼の背中に翼のように展開された。状況としては周囲の脅威が消えてこちらに優勢なったようにみえる。が、俺の背中にはどうにも悪寒が走ってしかたがない。逃げなければ何かが来る。総予感させるものがあった。

 が、俺は逃げない。こんな強敵を前にして逃げられるわけがない。武神とは武を振るうから武神なのだ。逃げればそれは武神ではない!


「さぁ、何が来る?」


 俺は身構えた。零は、聞こえないはずの声が聞こえたかのように満面の笑みを浮かべると、


「不可避の攻撃が来るぞ」


そう言って指を鳴らした。

 音が聞こえた直後だった。赤色の剣が閃き、零の上空に跳んだかと思うと、巨大な炎が彼の上空に出現した。そして、今度は白色の剣がその炎の中に飛んでいき、次の瞬間には巨大な炎の龍が零を守るかのように出現していた。

 あの龍に当たったら死ぬというのは直感で分かった。それだけの熱量が俺を襲っていたし、何よりあの龍から発せられる殺気は尖すぎる。

 俺は頭を回して龍への対処を考えた。おそらくあれは剣の力で作ったもの。なら、剣をあの龍から外せば終わりだ。だから、あの龍の中の剣を攻撃すればいい。……だが、問題は触れたら危ないのに、触れないと対処できないことだ。


「どうする?……どうする?」


「おい、終わりじゃ無いぜ?」


「!?」


 例の言葉に俺は固まった。そうだ、まだ後二本残っているのだ。

 零が指をもう一度鳴らした。土色の剣が地面へ刺さると、舞台が岩で覆われた。そして、土色の剣に並ぶように空色の剣が地面に刺さると、岩の壁を透明な氷が覆っていった。岩で作られた天井には小さな窓ほどの穴が多く空き、そこから光が入っている。

 冷や汗が落ちる。あの穴は小さすぎて出られない。舞台を覆う壁に剣を当ててみるが、あっけなく弾かれた。この脱出不能の部屋であの龍の相手をする? 龍は零を守っているのだから零に攻撃はできない。かと言って龍を戦闘不能にさせることはできない。


「打つ手……なし……か」


 そこまで頭に出たところで、いや、と続ける。まだ俺は負けていない。対処の方法が今の自分にないなら、対処の方法を今から作ればいい。

 私は武神だ。武神は力だけでない。八岐之大蛇を倒した時も、力で敵わないならと酒を飲ませた。武神は戦いの神だ。策を練るのも武神の力。今回も何か策を貼ればいい。

 考えろ、私の持ちえる力でできる最大の策を。


「あった」


 頭に浮かんだ策に俺は笑みを浮かべた。そして、目の前で待っていたとでも言うように腕を広げる零に向かって笑みを向けた。

 私の保つ力は二つだ。雨を操る力『雨天』と雷を操る力『雷天』、天叢雲剣に宿る力であり、私の強力な武器だ。雷天は雷を敵に落とす技。雨天は神力を雨に変える技だ。この二つが私の奥の手であり、戦闘で危ない時はこの二つで切り抜けてきた。だが、他にもできることは有る。

 簡単な事だ。火を消すには雨、ものを見るには光がいる。剣の材料は……雷が通ることを俺は知っている。

 俺は駆け出した。同時に視界のない龍は俺を襲わんと周囲を目的なく襲っていった。

 俺の方にも迫ってくるが、それを剣を盾にしながら避け、まずは雷天を使い、龍に向けて落とす。剣が雷を通すなら、龍という以外に狙いをつけていない雷は剣を通過するはずだ。予想は、当たった。敵の体の中を上から下に突き抜けるはずの雷が、引き寄せられるように曲がり、龍の首の部分と、尾の位置をまっすぐに通過していった。

 俺は力を雨天へと切り替える。雨の力は空からだけもたらされるものではない。俺が剣へ新力を集中させると、剣を雨雲が包み、その周囲を水が覆った。嵐を纏わせた剣、これなら一瞬であれば、炎の龍を切れるし、熱に無防備な俺の身も守れるはずだ。

 意識を集中し、龍へと剣を向ける。勝負は一瞬、外すことはできない。零の視界は塞いでいる。当てられるはずだ。

 一撃目、竜の首にめがけた一撃は、纏った嵐の水を一気に蒸発させた。が、剣は止まらない、振りぬいたときに手応えを感じる。白色の剣が視界の端を飛び抜けていった。

 足は止めない。二撃めを形の崩れ始めた龍に向けて放つ。龍の尾に剣が到達すると、金属音とともに赤色の剣が弾かれ天井へと突き刺さっていった。

 龍が、崩れる。形をなくし、崩れさっていく。

 俺は零へと剣先を向ける。まだ油断はできない、彼はまだ一本剣を持っているのだから。

 零は笑顔だ。


「よし、四本をクリアしたか。本番はクリア、じゃあ裏ステージだ」


 そんな言葉とともに零が武器を振る。彼の視界を遮っていた周囲の神力の雨が、消えた。

 驚愕に己の目を見開く。周囲にあった神力を一薙ぎで振り払うような斬撃は見たことがない。

 零はそんな俺を見て、笑顔で言った。


「ここからは勝てなくて当然だ。負けてくやしがることはないぜ。

 ついでに言うと、この武器の名前は『紅夜』武器の種類は『刀』だ」


 零が黒い刀という武器を構える。その目はもう笑っていなかった。


「いや、負けるつもりはない。俺は勝つ」


 俺は宣言した。確かに強敵、だが俺は勝つ。武神だからだ。


「そう、でも」


 無理だよ。そう聞こえた。

 零の姿が消えたと思った瞬間。天叢雲剣が折れていた。そして、背後から俺の首元に黒の刃が迫っていた。


「お前に武器はもうないし、俺は一振りすればお前に勝てる。詰みだよ」


 わけが分からず放心し、剣の柄を取り落としていた。カラリと柄が落ちる音がする。俺はふと頭に出た疑問をぶつけてみた。


「何をした?」


 零は、くすくすと笑いながらいった。


「なに、ちょっとした小細工さ」


    *****

 後始末は全て俺の能力でどうにかした。こういう後始末に俺の能力は持って来いだ。


「俺は西へ渡るつもりなんだがついてきてくれないか?」


 そんな後始末の間に須佐之男にその話を持ちかけられた。

 西へ渡ること事態は悪くない、エルンや黙視のその後も知りたい。が、妖精の国にはまだ入ったばかりだ。まだやってみたいことがたくさん有る。例えば大自然の中で姫ちゃんを撮ったり、姫ちゃんを映したり、姫ちゃんといちゃラブしたり、姫ちゃんとピクニックしたりなどなど。

 そんな個人的欲求もあって答えにまどう俺の答えを決定したのは、予想はつくと思うが姫ちゃんだった。お上の鶴が一言言った。「エルンさん今どうしてるんでしょうね」と。

 俺の行き先が決定した。妖精の国への挨拶も早々に荷造りを済ませ、笑顔で出発する。

 ああ、そういえば連れが増えたっけ。


「さて、行こうか」


「なぁ束錬、お前本当に来るのか?」


「もちろんだ。お前にはかなわんがこれでも成長したつもりだ」


「ま、好きにしなよ。危なくなったら助けるしね」


「ああ、頼むぞ」


 束錬が増えた。まぁ実力的には問題ないだろう。西洋の魔法を見て回るのもいいことだ。

 さて、楽しい西洋旅行になるといいねぇ。



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