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東方兄妹記  作者: 面無し
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四剣

すいません。須佐之男とはこの話で決着の予定でしたが、

筆ならぬキーボードが乗ってしまったので、次回に持ち越しです。

申し訳ありません。次回を楽しみにしてもらえたら幸いです。

 兄さんと須佐之男さん、二人が出した武器を見て、今まで私の隣で二人の戦闘を映画の鑑賞会のように気楽に見ていた二柱が二人の出した剣に目を見開きながら静かに声を上げた。


「この威圧感……生半可な妖怪や人間なら気を保っているのも至難のものだ。災厄の化身ともいわれた大蛇から出てきたっていうだけあるね。

 おそらくだけど、あれさ、私の祟とか跳ね除ける防御武器の類でもあるよね。

 ……高矢は零の方に興味があるみたいだけど。」


「ああ、私としては零さんがだした武器の方が驚きだ。

 あれだけ迫力のあるものがすぐそばにあるのに、全くその気配が色あせていない。術の類の力は感じないけれど、零さんのことだどうせあれ等も外見だけの武器じゃないんだろう。

 私の勘だが、あの四本全て何かの能力持ち、あの刀は……実は刀じゃなかったりして」


 諏訪子さんの天叢雲剣の的確な評価。そして、相も変わらず鋭い高矢さんの兄さんの武器に対しての予測。どちらも正しい。兄さんの武器に関しての予測はもうさすがとしか言いようがない。

 須佐之男さんの天叢雲剣は、大蛇の力の反動から、諏訪子さんの評価のとおり、須佐之男さんが持っていれば大抵の災を跳ね除ける強力な干渉防御の効果も有るはずだ。諏訪子さんのほどの祟り神でも、力は相当強くしない限り効かないだろう。

  兄さんの武器も、たしかにあの背後の四本の剣はただの武器ではない。兄さんが自分の能力を使って創りだした武器だ。それぞれが固有のシンプルな能力を持ち、その能力はシンプルだからこそ強力だ。そして、武器としての強度もお墨付き。

 そんな武器の解説を考えながら、私は目線でこちらに疑問を投げる高矢さんに向けて答えた。


「正解ですよ。あれは普段は刀の形と機能をしているだけで、兄さんが全力で使う場合は別の形です。

 まぁ、今回はそちらは使わないでしょう。あの武器で全力を出せば、私達もただじゃすみませんから」


「零さん……どれだけ物騒なもの持ってるんだろうね」


「数えきれないほどですよ。

 呼白ちゃん、物騒なものは正しく使うことさえできれば大丈夫です。正しく使わないから、あの武器は悪だとか、あっちゃダメだとかいう論争になるんです。

 でも、人は間違えるからこそ人なのかもしれないですけどね」


 そんな事を言いながら目の前で激戦を繰り広げ始めた二人を見る。

 今日の勝者はおそらく……


   ****


 須佐之男の剣が俺の刀にそらされ、俺のそばを通り抜けていく。俺の剣も剣の腹を蹴り上げられて、大きく空振ってしまった。

 先程から戦況は大きく変わっていない。いや、同時に多くの武器を使える分俺のほうが有利といったところだろうか。

 俺の背後に浮かせた剣は、俺の意思に従って相手を攻撃する。つまり、今の俺は五刀流であると言って間違いではない。自分でも反則気味の戦い方だとは思うが、気にしなくてもいいだろう。だって、目の前の相手はこれに対応しているのだから。楽しければいいのだ。

 さて、まともに攻撃が当たらないせいで、俺の剣は能力を全く生かせないままになっている。いや、このままでも別に能力を使うことは出来るのだが、まぁ十中八九あの剣で振り払われて終了だ。今の須佐之男に剣の能力を当てたいなら、直接打ち込む以外にはないだろう。

 ふいに、須佐之男が大きく剣を振りかぶった。何かしてくるだろう。俺は四本の剣から土色の剣を持った。防御のために、地面に能力を打ち込んでおく。


「雷天!」


 須佐之男がそう叫びながら剣を下ろすと空に閃光が走り、雷が空を覆った。

 俺は地面に打ち込んだガ剣の能力を発動する。地面はその能力により隆起し、舞台を突き破って一枚の壁を作る。

 須佐之男の剣は俺が作った壁にぶち当たると、空に閃光が走り、雷撃が放たれ壁に打ち付けられた。雷鳴と同時に起きた衝撃に俺は少し後ろに後ずさってしまう。

 俺を守ってくれた壁は、雷撃によってところどころ焦げ、須佐之男が剣先で少し押すと、灰の塊のようにボロボロと崩れて風に飛ばされていった。


「おおう、かなりの威力。俺に当たらなくても、剣に当たれば感電死するかもね。

 もしかしてさ、剣を当てずに倒す攻撃だったりする?」


「ああ、これは攻撃がまともに当たらない敵のための攻撃だよ。

 まぁ普段は切り札みたいに使っているのだが、お前に出し惜しみはしないほうが良さそうなのでな」


「ああ、出し惜しみはしない方がいい。出し惜しみすると……死ぬよ?」


「面白そうだ」


 もう一度須佐之男が剣を振り上げる。俺はそれに対して土色の剣を白色の剣に持ち替え、迎撃の体制に入った。

 振り下ろされる剣に合わせて剣を打ち合わせる。衝撃で俺の手は根本から吹き飛び、須佐之男は少々後退した。

 先ほど見たものと同じ閃光が走り雷鳴が轟いた。しかし、俺が焼けることはなく、代わりに、俺の背後の床が焼け焦げていた。

 してやったりと須佐之男を見ると、須佐之男が驚きで目を見開着ながら聞いてきた。


「お前……なにをした?」


「出てきた雷を斬撃で弾いた。俺がやってもおかしくないだろう?」


 俺の答えに須佐之男はそうだな、簡単に納得した。理屈を重視しない奴は簡単だ。こうやって俺の適当な説明でもだいたいなんでも納得してくれる。

 まぁ、単純に楽しめるからいいだろう。


「さてと、そろそろ奥の手だしな。第二の切り札くらいは作ってるとふんだんだが?」


 俺の言葉に須佐之男はあからさまに目をそらした。わかりやすい。


「隠せてないぞ」


「……仕方ない。第二の切り札を見せようか」


 ため息を付いた須佐之男は、呆れ混じりの表情でそう言うと、剣を掲げてまた叫んだ。


「雨天!」


 声に合わせて、今度はすさまじい雨が降ってきた。ただ、不思議なことに衣服や地面がぬれる気配はない。

 周囲を確認する。周囲はかなりの神力が充満していた。おそらく、雨は神力による蜃気楼のような幻なんだろう。俺に対してかけているのではなく、周囲の景色を変えているから、俺にも通じているわけか。

 この雨の効果はおそらく目くらましと気配遮断だろう。

 濡れない激しい雨が顔を打つ。須佐之男の第二の奥の手は確かに厄介なはずなのに、自然と笑顔が出てしまう。ついでに、声も。


「ああ、やっと、まともに本気で戦えるってわけか」


 ここからは最大限に剣の能力を使わせてもらう。

 まともに打たせてもらえなくて不満だったのは目が見えていたからだ。目が見えないならまともに打てなくて構わない。ところかまわず打ちまくって楽しませてもらおうか。

 背後に浮かぶ剣達は全て何かしらの神話に出てくる名前が付いている。名前に恥じない力を体験してもらうことにしよう。

 右足を踏み抜く、土色の剣…ガイアの力で周囲に岩の棘を無差別に作り出し、舞台を思い切り破壊していく。手応えはない。おそらく棘を足場に跳んでいる。

 次に、白色の剣…エアの力を発動させる。豪風を発生させそれを乱し、強烈な乱気流を周囲に作ってみた。手応えはない。まぁあの筋肉だし、これくらいの暴風は移動の邪魔にはなっても攻撃にはいらないだろう。

 空中に浮かせた剣を自分の想像に任せて無闇矢鱈に振り回す。そろそろ攻撃してくるだろうからだ。と予測したからだ。

 案の定、しばらくすると、剣に衝撃が入った。さて、楽しませてもらおうか。


「エア、ガイア、エクスカリバー、クラレント。俺愛用の四剣の力、見せてやろうじゃないか」


 俺は衝撃に向かって、空色の剣と赤の剣を向けた。

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