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東方兄妹記  作者: 面無し
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取り逃がし・救助方法

今回はいつもと描き方が違います。

詳しくは前話のあとがきを読んでください。

「逆流なんてどんな不幸だってんだよ、この野郎!」


 凍結されてからしばらく、周囲の時間を元通りにした俺は、悪態をつきながら周囲の空間を元通りにしている最中だった。

さっきまで淡雪がいたところにはもう何もいない。ただ、強力な妖力が道みたいになって外に通じているし、消えたという線はないだろう。

 大方、暴走が止められなくなったから妖力で凍った空間をぶち抜きながら進んだんだろう。それが目の前の妖力でできた道であり。、それが示すのは、淡雪の状態がもっと悪くなったということだ。


「さっさと行かないといけないか、それに、逆流の原因も調べないといけないしな」


 そんなことを言いながらさっさと作業を終わらせる。自由になった体をほぐしながら、色濃く残っている妖力の道をたどっていった。

 周囲の空間は妖力の道以外は時間と空間両方が凍ってしまっていてガラス越しによく出来た模型でも見ているようだ。実は全部本物で、生物も植物も生きたままだと知っているからか、剥製を見ているようで結構不気味だ。

 妖力の道は真っ直ぐ森の方へと続いていた。そして、その方角を知って、俺は一気に音速まで足を早めた。 道の先は、姫ちゃんの方へ向かっている。そして、その方角から、姫ちゃんの使う白色のあの武器特有の生命力っぽい物を感じた。

 姫ちゃんがあの武器を使っているということは、蛇はずいぶんと強敵だということが伺える。そして、暴走している淡雪があっちに行ったというのはどうにも嫌な予感しかしない。


「最近はずいぶんと嫌な予感が連続するじゃないか」


 道を突き進みながらそんな文句を言った。



    ****


「なるほど、あなたのカラクリがわかってきましたよ」


 間を一切開けずに飛んでくる漆黒の槍の対処を紫さんに任せ、私は切っても切っても再生する蛇を攻撃すると同時に調べ、観察していました。

 そして今、丁度再生のカラクリがわかってきた。これまたずいぶんとややこしい仕組みになっている。私が神様だった時もそうだけれど、世界というものはどうにもややこしいのがお好きなようだ。


「どういう仕組なの?」


 飛んでくるやりをスキマに全て吸い込みながら、紫さんが聞いてきた。少々呆れ顔なのはこの攻撃が鬱陶しすぎるせいだろう。周囲三百六十度からの攻撃はさすがに私だってうんざりだ。

 さて、そんなことは置いて、私は紫さんに説明を始める。


「順番を追って話しますね。

 まず、私達が今のような頭を抱えることになった原因です。それは、ミジャグジ様の残りカスであるはずのあの蛇が、私達が予想していた残りカスのスペックをはるかに超えていたからです。

 物理攻撃を無効化し、マイナスと相反する生命力というプラスの攻撃を受けても再生し、周囲一体をうめつくすような穢れの柱を出現させ、その穢れを槍という固体に変えて飛ばしてくる。正直に言って、そこら辺にいる祟り神なんて紙くず同然、上位の祟り神であるミジャグジ様以上のスペックです。

 この並外れたスペックが私達が対処に困った原因です。

 次に、この並外れたスペックを出している力の源が何処に有るか、です。これはすごくわかりやすいんですが、しっかり理解していないとすごく難しく感じちゃうのでよく聞いてください。

 端的に言えば、世界からあの蛇は穢れの供給を受けています」


「待って、急にスケールが大きくなったわね。

 世界っていうのはこの私達が住んでる地球のこと?」


「いえ、地球ではなく、平行世界の一つみたいなレベルでの世界です」


「これまたずいぶんとおかしな奴が出てきたわね。

 ごめんなさい、続きを教えてもらって大丈夫かしら?」


「わかりました。端的に世界からっていうのは説明が難しいので簡単に例えて説明しますね。

 まず、無限に穢れという水が湧き出る水源を思い浮かべてください。それが世界そのものが保有する穢れです。

 次に、水源から川を伸ばして、湖を作ってください。そして、その湖から水を引き上げているのがミジャグジ様たちのような祟り神です。

 川の広さは一定ですから、ミジャグジ様達がどれだけ力を出そうとも、つかえる穢れは湖の分だけです。信仰を集めると、この湖が大きくなるので、つかえる力が増します。

 あの蛇の場合は、水源そのものから水を汲み上げていると思ってください。無限に水が湧き出るので、出そうと思えばいくらでも力を出せるのが目の前にいる蛇です」


「零みたいな奴ね。倒せるの?」


「もちろん。兄さんを倒すのに比べれば、とっても簡単です」


「零に換算されてもいまいちぴんとこないわね…。

 でも、倒せるのなら問題ないわ。さっさとやっちゃいましょう」


「ええ」


 早速行動を開始しようと蛇に手を向けたその時、蛇の向こうから、急に真っ黒な影が飛び出し、ノイズのような咆哮とともに、蛇を押しつぶした。

 影が淡雪さんだと気づいたのは、彼の能力によって凍結する一瞬前だった。


    ****


「目ぇ醒せやボケぇ!」


 強化した身体能力に物を言わせて、淡雪を後ろから蹴り飛ばした。吹き飛ぶ奴に構わず、周囲の凍結の解除にとりかかる。

 凍結した時空を戻すと、まず姫ちゃんが俺のもとに走り寄り、紫は少し遅れてスキマで移動してきた。二人に何が合あったのかを説明し、吹き飛ばした淡雪と、淡雪が押し潰した跡であろうクレーターに目を向けた。

 淡雪は吹き飛んだ先でもう復活済みだった。体の崩壊で体中がひび割れて、ひびから妖力が外に漏れ出しているなんてずいぶん痛々しい姿だが、それでも一応まだ生きている。もうひとつ言うなら、能力の暴走も有るようで彼の周囲が異様に遅く見えることぐらいか。俺の説明を遮ることもできたのにしないということは、まだ一応意識は有ると見ていいだろう。

 蛇の方は……半分倒せて半分生きてるってところか。クレーター中央部には体の半分から上を動かす蛇が見えた。姫ちゃんの装備から察するに、穢れを利用した相当な再生能力持ちだったんだろう。それが再生していないということは、傷口を淡雪に凍結されたらしい。時間が凍結してしまえば再生しようにも時が立たないのだからしょうがない。


「残念だったな、これで王手だ」


 蛇に向けて嫌味を吐きながら、足を進める。が、倒すのは結局かなわなかった。倒そうと手をかけた瞬間に、蛇が自分を構成している穢れを逆流させて別の場所へ逃げていったからだ。どうせなら詰んでおくんだったと後悔している。

 自分を含めた水全てを源流に戻した状態、と姫ちゃんなら説明するだろう。おそらく、今は別の祟り神の場所にいるはずだ。

 目の前には穢れの柱がまだ残っている、今なら浄化できるはずだ。

 淡雪も、穢れを浄化すれば俺がどうにかしてやれるだろう。


「姫ちゃん、柱の方の浄化お願いしていいかな? 淡雪の方は俺が何とかしてくるからさ」


「分かりました。気を付けてくださいね」


 そんなふうに言い合って俺は淡雪に近づいていく。近づくに連れて、周囲が凍結して俺も動きにくくなっていく。


「どうだ、まだ大丈夫かな?」


「九割九分九厘ダメ。妖力の抜け落ち方が半端じゃない。

 能力の暴走のせいでそれ一つに集中できないし、流れだす妖力を止めるための妖力がもう無いからながれだすのも止められない。

 全部抜けて消えるのを待つのみって感じかな」


「あー、それはずいぶんとヤバイな。

 能力の暴走は俺の方で何とか出来るとして、問題は妖力の方だな。

 無理やり増幅させてもいいんだが、それをすると思想の具現化である妖怪の場合、体が耐え切れなくて弾けちゃうかもしれないんだよなぁ。

 補給するにしても、流れだす方を止めないとどうにもできないし…」


 頭を抱える俺に、淡雪は半ば諦めたような表情で話す。


「零に対処できないなら僕に方法はない」


「方法は……」


 俺の言いかけた台詞は突如頭上に現れた穴から現れ、俺の顔を盛大に踏みつぶした三人の顔ぶれに遮られた。

 急に現れた三人は唖然とする淡雪を前に言った。


『救う方法はある!!』

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