温厚者の怒りは……
オリキャラ達の能力に質問などありましたらいつでも聞いてください。
私の目の前に退魔師たちが降り立つ。
器用なことに、基本この国の退魔師は空中を飛べるようだ。
霊力がそこそこないとできない芸当なのだが、そこは気にしない。
「おい、お前、さっき妖怪といたな?」
退魔師達の中で一番派手な服装の男が私に向けてそう言った。
彼の服には金銀の装飾がそこかしこに付いている。
そんなに身分が高いことをアピールしたいんでしょうか?
顔は普通ですが私に変な目を向けているのでどこか感じが悪い。
「いましたね。それがどうかしました?」
変に言い訳をしても無駄だ。
どうせ最期は気絶させるのだし、肯定してしまおう。
冷たく言い放ったつもりだが、男は気づかなかったようで、
相変わらずの表情で私にその不快な視線を向けてきた。
そのうえ、男は言質をとったことで優位に立ったとでも思ったのか、
更に私を上から下まで舐め回すように視線を向けた後でこういった。
「お前、この国だとそれは死刑になるなぁ」
どうせそれで私に夜伽の相手でもしろと言い出すのでしょう。
残念ですが私は零くん以外と夜伽をするつもりは永遠にありません。
「まぁ、お前が私の相手をするというなら……」
「遠慮します。私は夫がもういるので」
予想通りのセリフを言い切る前に断る。
すると、私に言葉を切られたのが不服だったのか、
男はまぶたをヒクヒク痙攣させて周りの者に命令した。
「捕らえろ。おい女、今夜を楽しみにしていろ。
素直に俺の相手をしておけばよかったと思わせてやる」
私の周りを退魔師たちが取り囲む。
彼等はまたかとでも言うように呆れた顔をしている。
あの男は何人もこういうことをしているのだろうか。
そうであるならば、他の女性達の仇もとらなければならない。
私は男に向けてこういった。
「じゃあ私もおんなじ風に言わせてもらいますね、
金ピカ男、これからの生涯を楽しみにしてください。
素直にひどいことせずに生きていればよかったと思わせてやりますよ」
「ほざけ!」
彼の叫びと同時に周囲の退魔師たちが私に襲いかかる。
あるものは霊力弾を放ち、あるものは強化した肉体で私を襲ってきた。
まずは足の速い弾丸を風でそらす。
「せいっ!」
「遅いです」
次に、殴りかかってきた男達の内、
最も速く殴りかかってきた男を掴んで別の男にぶつける。
次の男には霊力弾を逸らしてぶつけておいた。
三人目は一際大きい人物だった。巨木のような腕から出される拳を流し、
その勢いのまま地面に彼を叩きつけた。
「この程度ですか?」
そうつぶやいた私に影がかかった。
見上げると、そこには男が一人、彼は特大の霊力弾を抱えて笑っていた。
「喰らえ!」
彼が霊力弾を放つ。
さすがにこの密度の弾丸は風では逸らせない。
しかし、逸らせないなら破壊すればいい。簡単なことだ。
私は地面から巨大な刺を出してそれを貫き霧散させた。
「なにっ!?」
驚きながらも着地した男に私は一足で近づいた。
彼が目の前に接近した私を見て目を見開く。
私は驚く彼の顔を見ながら、彼の鳩尾をおもいっきり突き飛ばす。
容赦なく鳩尾を押された彼は青ざめた顔をしながら後ろに倒れた。
「この霊力もらいますね」
霧散した特大霊力弾の霊力を吸収する。
すこしコツが居るが、まだ常識の範疇だから大丈夫だろう。
「じゃあ、返しますね」
吸収した霊力を霊力の波動として拡散する。
周囲にいた男達の内、結界を張れた者以外が一気に吹き飛び、
目もくらむような攻撃の嵐が止んだ。
「結構スキッリしましたね」
ほとんどが気絶してさっぱりした周囲を見渡す。
結界を張った男達と一緒に金ピカ男も一応生き残っている。
金ピカの男は未だに下卑た視線だが、他の目線は明らかに違っていた。
「お前、本当に人間か?」
私が今まで見せた芸当。地面からの刺の出現、霊力の吸収、
霊力の波状放出。すべてが彼等の技術にはまだなかったのだろう。
彼等の目は未知を見る目になっていた。
人は未知を見ると、一番どうとでもなりそうな理由を付けたがる。
私は彼等の答えが妖怪になるんじゃないかと予想した。
「まさか、妖怪じゃないだろうな?」
まさしく予想通りの答えだった。
彼らの未知に対する答えとして無難なもの『妖怪』として結論づける。
そうしたほうが理解できない物に対して不都合を受け入れなくて済む。
「まぁそう言えるかもしれません」
「やはりか!」
そして、そう認識してくれるのはこちらとしてもありがたい。
先ほどの攻撃で生き残ったということは、彼等はそこそこ強いだろう。
「今なら手加減はいりませんね」
基本能力である『形作る程度の能力』ならば、
おそらく彼等には手加減しなくてもいいだろう。
手加減して気絶させるのはなかなか難しいと久々に思いました。
「さて、では行きますよ?」
私の言葉に男達が身構える。
私は未だ張られている彼等の結界に刺を打ち付けた。
岩が結界に当たり砕け散る。意外と強度もあることが確認できた。
なら、あの結界に彼等をぶつければ気絶させられるだろう。
「なら、結界内に攻撃を入れないといけませんね」
私は地面に注目した。
空中ではないから地面に結界はないのでは?と、そう思ったからだ。
霊力察知の結果、案の定、結界は一枚たりとも張られていなかった。
「好都合」
私はつま先で地面を打つ。同時に、男達の足元から大きな柱を作った。
急速に大きくなる柱にもう一枚結界を張る間もなく柱に飲み込まれた。
術者が気絶して、制御車がいなくなった周りの結界は次々に消えていく。
最終的に、目の前にはあえて残しておいた金ピカ男だけが残った。
「……」
呆然としている男にゆっくりと近づいていく。
「ねぇ」
「ヒィ!?」
私が声を発すると、変な声を発して尻餅をついた。
汗を盛大に流し、涙目で私を見つめるその姿は、
先ほどまで私に下品な目を向けていた輩とは思えない弱りようだった。
「あなた、今までひどいことをしてきたんですよね?」
「………」
男の前に立ってそう問う。
彼は何も言わずにただ震え、ガチガチと歯を鳴らしている。
「答えないんですか?」
私は彼の前にしゃがんで問う。
すると、彼の震えは止まり、歯も鳴り止む。
しかし、次の瞬間には顔が青白くなって私に向けられた視線が固まった。
「聞いてるんですよ? 質問に答えてください」
彼は未だ答えない。このまま答えないなら強硬手段しかない。
「答えませんか?」
再度聞くが、彼の反応はないままだった。
「仕方ありませんね」
私は手を出して彼の額をつかむ。
彼は動かなかった。
「強硬手段です。下卑た目線のお仕置きだと思ってください」
私は能力を開放して一段階上にランクアップさせる。
零くんと同じになった能力で、記憶を読み取る技『思い出日記』を使った。
彼の過去を覗き見て、今までにしてきた全てを見させてもらった。
これも思った通り、何人もの女性、時には少女までも、
彼の牙にかかってその身を喰われ、泣いていた。
「……」
記憶の中の彼女たちがなく姿を見ていられなくなり、技を消す。
「あなた、本当に下衆ですね」
男の頭に手をおきながらゆっくりと穏やかに男に言う。
恐怖なのか、それとも実はもう気絶しているのか、彼は何も答えない。
が、私にはそんなことは関係無かった。
「お仕置きですね」
私は微笑を浮かべながら彼の頭から手を放した。
彼は白目を向けてそのまま倒れた。実は気絶していたようだ。
「植物生産の技『植育生体』」
彼の足元に種を植える。急速にそれは成長し食人植物になった。
今では珍しいこの植物、知っているものは少ない。
さて、食人植物は人間にとって危険だ。だが、枯らすのはかわいそう。
……彼へのおしおきだ、私は彼の体に色々と細工をし、
彼と食人植物を、地面ごと別空間に閉じ込めた。
「食べられる気持ちってどんな感じなんでしょうね?」
正直想像したくもない。しかも生きたままはなおさら。
私は椅子を空間倉庫からして腰掛け、能力を解く。
「何時頃に出しましょうか……二百年後くらいですかね」
そう呟きながら、能力を解いたせいで重く苦しい体を椅子に預ける。
「零くんがきたらおんぶしてもらいましょう、
最近は夫婦の日も抱っこしかしてもらってなかったし、いいですよね」
そんなことをいいながら空を見上げる。少しまぶたが重く感じた。
さっき天さんが妖力を出したから人はしばらく出てこないだろう。
このまま零くんが来るまで一眠りしましょうか。
「零くん……早めに来てくださいね」
そういいながら私は意識を手放した。
今回はヒメちゃんの怒りを書きたかったのですが、
思った以上に書きづらかったです。
今回はいつにもましてキャラが不明瞭になっていたと思いますが、
これからも精進していきますのでよろしくお願いします。




