豊聡耳にあいに……
俺達の介入により、戦争は知っているよりも速くに起きてしまった。
大体四百年くらいの差だろうか、そして、それにより日本の中での歴史に変動が起きたようだ。
ざっくりわかりやすくどうなったかを言うと、歴史が三百年前倒しになった。
卑弥呼や、聖徳太子、蘇我馬子、おそらく弥生の時代(だけだと思いたい)の人物たちが、
俺の知っている史実よりも三百年も前の人物になってしまったのだ。
世界介入で世界にご作動か何かがないかを調べてたらたまげたものを見つけてしまった。
さて、まぁ変わってしまったものはしかたがない。
この際だから聖徳太子にも会ってこよう。……というわけで。
「久々の音速飛行機だ」
神社の境内に音速飛行機を出した。
空間倉庫内にしばらく眠っていたので、今さっき整備を終えたところだ。
今からやることは簡単、空を飛んで聖徳太子に会いに行くだけ。
十人の話を同時に聞く超絶人間、豊聡耳と呼ばれた耳を保つ人物がどんなものなのか、
少し面白そうだから見に行かせてもらおう。と、そういうことだ。
「おはよーう、っておお!?」
後ろから我がライバルの声が聞こえる。振り向くと予想通りの人物がいた。
境内に上がってきた創は俺の音速機を見て驚いたようだ。
そして、男子特有の機械への憧れで目をキラキラと輝かせた。
「零、これ音速機だよな、創ったんなら教えろよなぁ……おお、これ天の弓か!」
俺の音速機のの武装に興奮する創。
自分でもやり過ぎたと思うほどオーバースペックな武装の音速機だ。
本日この飛行機に乗る人員は四名の予定だ。
俺の家族三人と、天、その四人で今回は聖徳太子に会いに行きます。
「さて、我が姫はまだかなぁ」
そう言って拝殿の方向を見る。
今日は朝早くに神社に来て、姫ちゃん達は拝殿に入っていった。
なんでも女性陣だけで諏訪子に用があるのだとか。
そういえば、今日は諏訪子を見ていない。
この間の女性陣の会話で何かあったらしいが……それのせいか?
まぁ俺には関係のないことだからいいか。
「兄さん、お待たせしました」
可愛らしい我が女神の声と共に拝殿の扉が開く。
出てきた姫ちゃんはこの国に来てから使っている毛皮の服を着て、
今日は腰まである長い髪を後ろにまとめて出てきた。
揺れるポニテが美しい………。
「待ってたよ姫ちゃん、今日も可愛いね」
「ありがとうございます兄さん」
「おと、零さん。それ今日の朝から六回目だよ」
姫ちゃんの背後からひょっこり出てきた呼白がそう言った。
長い髪はそのままに、前髪から除く赤い瞳が可愛らしい……自慢の娘さ!
よし、後は天を待つだけだ。じゃあその間にこの眼の前の芸術を写真に取らねば……。
「ふへへへ」
空間倉庫からカメラを取り出し二人に撮るからねと言いながらレンズを向ける。
いざ取ろうとシャッターを押した瞬間、レンズの向こう側におよびでない虹色の翼が現れた。
「よう、またせたな……って、あれ? 零、なんか震えてないか?」
パシャリ、カメラが機械音を立てる。
虚しさ、絶望、俺の中に大きな穴が開いた気分だ。
姫ちゃんの写真を撮りそこねた、しかも愛娘と写っているものを。
目の前の天狗に、目の前の、クソ弟子に、
「なぁにやってくれとんのじゃボケええええええええええ!!!」
カメラを放り投げて俺は怒りのまま天にそう叫んだ。
驚いた顔の天、だが、構うものか、このまま出発だボケ。
「えっ、っちょ、先生!?」
天へと近づきその襟首を掴む。
そのまま地面を引きずりながら音速機に引きずり込んだ。
暴れても構わない、席に無理やり縛り付けて笑顔で言ってやる。
「シャッターチャンス逃したんだ。
今回なにか問題あったら全部お前が解決してね☆」
天は顔を青くして縛り付けられたまま平謝りしだした。
「ごめんなさい! それだけは勘弁して下さい!」
ハハッ黙れ、問題解決だけで許してもらえることに涙を流して欲しいくらいだぜ?
勘弁してくれだって? もちろん、
「無、理☆」
「あんたの起こす問題って基本的に規格外なんだよ!」
「邪魔したお前が悪い」
笑顔を崩さず言ってやると、天は諦めたらしく俯いた。
「もういいです、あんたの好きにしちゃってください」
「じゃあそうするぜ」
俺は縛られた天をそのままに音速機の扉から顔を出す。
「お二人さん、乗ってくれ。
天に対処させる問題を早く多く作りたいからな」
「あんた鬼畜だ!」
扉の奥で何かが聞こえたが気にしない。
俺はさっさと機体を降りて、嫁と娘の手を取る。
「行こうか」
「はいっ」
「うんっ」
ニコニコ笑顔の二人に俺も頬が緩んでしまう。
さて聖徳太子……どんな人物なんだろうか、楽しみだ。
二人を連れて、先頭の操縦席に俺が乗り、その後ろに姫ちゃん、呼白の順で乗り込んだ。
天は呼白の後ろに縛ってあるから問題なしっと、準備完了だ。
まずは、戦闘機のステルス機能を使って周囲から見えないように細工した。
流石に国民全員にこの未来兵器を見せる訳にはいかないからな。
つぎ、聖徳太子に会うのはいいが、どこの国のどこらへんで生まれるのかはよく知らん。
というわけで、ナビゲーターを呼ぼうと思う。
「ヘイカモン、ジャック!」
俺の背後に能力で魔法陣を展開。
自身の使い魔であるジャック・オ・ランタンを呼び出す。
しかし、しばらく待ってもジャックは現れない。
「あれ、なんで?」
戦争時の武器変換は解いたはずだし、なんでだろうか。
不思議に思ったが、いつかは出てくるだろうと思って前を向く。
目の前が真っ暗になった。……目の前が真っ暗になった。
「なにやってんだジャック?」
俺は目の前に浮遊して視界を奪った元凶に声をかけた。
すると、真っ暗な視界に紫色の文字が浮かぶ。
『主よ、この間私は武器に変えられてね』
「ああ、あれか、面白かっただろう?」
新鮮な気分を味わえて喜んでくれていると予想した。
俺も自分で武器になってみたときは驚いたよ、手足がないからさ、
でも、あの状態でも意外と戦えるし、国下もいたし、楽しかったんじゃ……
『ちょっとあれは私の性に合わなかったよ』
「あらら……そうか、悪かった」
そうか、合わない奴も居るのか、創なんかも楽しいと叫んでたんだが……
まぁそうであるならしかたがない、素直に謝ろう。
『いいとも、だが、少し仕返しは受けてもらおう』
「何だよジャック、なんでもやってやるよ」
『次回戦うときは主が私の武器になって戦ってもらうぞ』
なんと主従逆転と来たか、なんとも面白い。
意外とやってみると面白いかもしれないな。
「いいとも、乗った。さて、邪魔だからどいてくれ、
それと、聖徳太子という人物のところまで案内してくれ」
『あっさり受けたな主よ……まぁいい、聖徳太子だな、分かった』
俺にかぶさっていたジャックがふわりと俺を放した。
戻った視界を確認すると、機体の前方に青い炎が道筋のようにポツポツ灯っている。
なるほど、この炎を追っていけということか。わかりやすい。
今回は滑走路がない(まぁ大体こいつを飛ばすときはないけど)。
だから、スタートダッシュは俺の能力で上空に打ち上げる。
まずはエンジンを入れ、念力を発言させる技『念々ころり』にて機体を持ち上げ、斜めに傾ける。
次に、空間を自由に闊歩する技『空中遊歩』を応用して機体の下から上空に向けての道を作った。
ラスト、先ほど作った道にそって、『念々ころり』で機体を空へ打ち上げる。
この三段方式、今回もうまく言ったようだ。思いきり投げたから今上空百メートルくらいだな
「速度上げるぜ」
エンジンを唸らせ翼を使い、滑空する機体を安定させる。
そののまま速度を上げて音速に到達させる。
「姫ちゃん、乗り心地大丈夫?」
「大丈夫ですよ、いつもどおりです」
「呼白は?」
「大丈夫だよ」
「分かった、じゃあこのまま飛ばすね」
ジャックは浮遊してるし大丈夫か、
さて、まってろよ聖徳太子!
「なぁ、俺さっきわざと放置されたのか?」
『おそらくそうですね、主を怒らせるとは中々ですねあなた』
「……遺書でも書いといたほうがいいかなぁ」
どこかで天狗が独り言をつぶやいてるようなのが聞こえたけど無視した。




