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東方兄妹記  作者: 面無し
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嫁会談

これは、戦争が終わってしばらくした後の昼下がり。

男どもが外に出て行っている間に話された嫁達と神による会話である。



「あーいつ見ても姫ちゃんの肌に嫉妬するわー」


そう言ったのは零のライバル、創の嫁であり姉の廻だった。

彼女も現代の女性からすれば魔法でも使ったのかと言われるほどきれいな肌なのだが、

本人からすると目の前にいる少女、自分の弟のライバルの嫁、神姫の肌に敵わないらしい。

自分の腕と神姫の腕を見比べてため息を付いた。


「そんな、私なんてろくに手入れしてませんし……」


「手入れしてなくてそれなの!?」


恥ずかしそうに俯いた神姫の一言に優奈が驚きの声を上げた。

毎日欠かさず肌の手入れをしている自分の肌と神姫の肌を見比べ頭を抱える。


「これが庶民と元神様の違い……か」


「そんなこという優奈も神なのに?」


ため息まで吐いていた優奈の隣から諏訪子が声をかける。

その諏訪子のセリフに気づいたように神姫が声を上げる。


「そうです、優奈さんいつの間に神様になったんですか?」


そう、零と神姫が知っている優奈は人間だったのだ。

故にこの国で初めて会ったときは生きていることに首を傾げた。

神力が勘j着られたことからその疑問は晴れたが、いつそうなったのかまでわからなかった。


「いつだったっけなぁ……確か十五人目産んだくらいだったかなぁ」


「「十五!?」」

「多いねぇ」


女二人が驚愕の声を上げ、神が流すように軽く言った。

神姫が彼女と別れた時、彼女はまだ十五位だったはずだ。

目の前の彼女はどう見ても二十少しかそれより下にも見えそうな外見だ。

そこまでに一体どうやって十五人も産んだのか、廻と神姫にはそれが疑問だった。

簡単よ、と優奈は言って続ける。


「神になったのが十九歳、別れたのが十四歳。

別れた後の一年目に双子、その次の年に四つ子、その次の年に三つ子、

その次また三つ子、その後双子産んでその時に神様になったの」


平然とした顔で言う優奈に背を向けて、神姫と廻はヒソヒソ話しだす。


「双子や三つ子や四つ子ってあんなホイホイ出来るんですか?」


「うーん、普通有り得ないと思うんだけどなぁ」


「ですよね、私のとこ二人いますが……年子ですよ?」


「うち双子、だけどそんなホイホイ出来るなら日本の人口おかしくなるわよ?」


「ですよねぇ」


背を向けた二人が首だけで優奈の方を振り向く。

背を向けられたことに驚いていた優奈は、今度はに向けられた視線にビクつく。


「あの……なにか問題でも?」


「優奈さん、今までに子供何人産みました?」


神姫から投げられた質問。

ビクついていた優奈は慌てたため少し声が上ずっていた。


「えとえと、たしか……別れてからだったら……二千かそこらだったはず……」


そこ答えを聞いて二人はまた話し始めた。


「二千!? 二千ってどういうことですか!? 人間としてありえるんですか!?」


「大丈夫よ、十五人目で神になったってことは、

あとの子は神の体で産んだのよ、神の体はどうとでもできるわ」


戦うにしては論外な力を持っている二人だが、価値の基準は現代の一般人。

目の前で疑問もなく自分の出産人数を言った神と、それに動じない神とはまた価値観が違っていた。

そしてしばらく無言になった二人、頭のなかで今までを整理しているようだ。

そして、


「まぁ、神様なら仕方ないですよね」


「そうよね、私達もできるもんね」


自分の価値観を書き換えるという手法で解決した。

笑顔で優奈たちの方に向き直った彼女たちはどこか吹っ切ったような雰囲気があった。

そこを、いままで特に大きな口を出さなかった諏訪子が話題を変える。


「そういえば、皆はなんであの人達に惚れたの? 優奈から順番に教えてよ」


「えっとですね……」


諏訪子が発したのは女たちにむけて当然の質問。

優奈の夫国下は、豪快だし、顔は職人おおじさん風で格好いいところが女に人気だ。

しかし、喧嘩バカの筋肉バカで、師匠を倒すためだと修行に明け暮れ、

仲間を大切にしているが、自分が疎かになり自分が着る服のセンスはボロボロ。

現代の高校生が会ったなら、暑苦しい人というの第一印象になりそうな男だ。

そんな男に何故惚れたのか。


「照れた時の顔が可愛くて……」


頬をピンクに染めながらそういった優奈の顔は緩みまくっていた。

自分のセリフで国下の顔を思い出したのか緩んだ顔が一層緩む。

さいごには自分の顔を覆って俯き悶だした。


「やだっ、だーめぇ! そんな可愛い顔しないでぇ!」


「熱いねぇ」


「骨抜きとはこのことですね」


「そうよね、可愛いわぁ」


悶える優奈を見てお茶をすする三人。

諏訪子の質問は次に廻へとわたった。


「廻は創のどこに惚れたの?」


「全てよ」


間髪入れずに答えが返ってくる。

諏訪子は少し間をおいた後もう一度聞いた。


「どこに惚れたの?」


「全てよ」


またしても即答で答えが返る。

廻は胸を張って息を吐き、ドヤ顔でこういった。


「創を最初に見た時から確信したわ。私はこの人に恋をしたってね。

いつの間にか愛おしくて仕方なかったのよ、

初恋なのに燃えまくり、付き合い始めなんて離れると寂しくて気が気じゃなかったわ」


「創の笑った顔、可愛いわよ」そう付け加えて彼女は笑った。


「いいねぇ、一目惚れって憧れるよね」


諏訪子は素直にそういった。

神の外見に定形はない、一応男にもなれる。

それでも諏訪子は女の姿を好み、中身も女のそれだった。


「それで神姫は?」


諏訪子は今の話にほっこりしながら神姫に聞く。


「全部です」


諏訪子の問に神姫が答えた。

答えは廻と全く同じ、意味も同じだった。


「いつの間にか、と言うより最初から好きだったんですよ。

最初に転生の話を持ちかける時に、ベッドで横たわる兄さんに恋しちゃいました」


「姫ちゃんかわいい!!」


「えへへ」と照れながら微笑む神姫に廻が飛びついた。

神姫を己の胸に埋めて頭を撫でる廻。されている神姫も嫌ではなさそうだ。

ここにあの夫がいたとしよう。おそらくこの瞬間をカメラで撮りまくっている。

そしてそれは彼らの嫁アルバムに収まることになるだろう。

しかし、彼らはここにいない……はずである。

さて、そんな二人を横目に、優奈が諏訪子に質問を投げた。


「諏訪子さんは高矢さんのどこに惚れたんですか?」


「へ?」


諏訪子が素っ頓狂な声を上げる。

ニコニコ笑顔の優奈は諏訪子に言った。


「だって、諏訪子さん高屋さんにベタぼれでしょ?

私達に理由を聞いたんですから、当然教えてくれますよね?」


「えーっとぉ……」


諏訪子が口をもごもごさせて答えに詰まる。

じゃれていた二人も正気に戻ったのか諏訪子の方を向き笑顔になっている。


「ほ、ホラ、私神だし人間に惚れるなんてそんなこと……」


「膝の上を一日中占領するんでしたっけ?」


「!!」


否定を言おうとしたところに神姫が意図的に追撃を入れる。

諏訪子は固まって神姫を見た。


「どうして……知ってるの?」


「実は、天さんから聞いちゃいました」


「……」


神姫の発言に諏訪子は唖然と口を開けて動かない。

自分が想い人に向けて出した要求がまるまる知られているのだ。

しかもこの流れだと高矢が承知したことも知っている。

そして、高矢が諏訪子に対して普通にしゃべっていることも知っているだろう。

諏訪子はどうにも言い逃れできない状況に立たされた。


「……分かった、話すよ」


諏訪子が観念したというふうに首を振りながら言った。

他の女三人の眼が光る。


「それでそれで、何があったの?」


「相思相愛ってことは何かあったんですよね?」


「しかも神と人間の禁断の愛、なにもないわけ無いわよね?」


彼女たちの気迫に押され、諏訪子は少し縮こまってしまう。

そして俯きながら語り出した。


「その……あのね、最初は気に入ったくらいの子だったんだけどさ、

諏訪子様、諏訪子様ていって懐いてくるのに親みたいな気持ちになって、

大きくなっても私のそばに居てくれたし、八方美人だったのに嫁も取らないし、

しかもその理由が私が大事だからとか言い出すし、見てたら親目線が変わっちゃってね。

ほんとに、いつの間にか忘れられない存在になっちゃった」


えへへ、と照れ笑いながら体を前後に揺らしだす諏訪子。


「高矢は高矢で自分がどう思ってるかは教えてくれないんだ。

私も、言おうと思ったことはあるけどやっぱり言えないの。

だって私神様だし、一人の民に本当はえこひいきしちゃいけない、

最初に高矢を気に入った時点で私は神様じゃなくて、そこらにいる女の子さ」


そして、そこまで言ったところで諏訪子は顔を手で覆う。


「あー、私何言ってんだろう。民に何恋してるんだろ。

しかもそれをばらしちゃうなんて……あああ~~」


意外と恥ずかしかったのだろう。

諏訪子は俯いてそっぽを向いてしまった。

しかも、


「こっち見ないでね」


としっかり皆に言って。

そんな諏訪子の証言を聞いた三人は……


「いいなぁ物語の中みたいなストーリー……」


「禁断っていうなら私と兄さんも一応禁断ですけどね」


「高矢さん愛されてるわねー」


順番に優奈、神姫、廻の順だ。

三者三様の感想だが、全員いい話だと思ったことに変わりはないようだ。

そして、照れたからといってそっぽを向く事を許す彼女らではなかった。


「「「諏訪子さん」」」


「!?」


三人がそっぽを向いた諏訪子の背に一気に接近する。

びくりと肩を跳ねさせた諏訪子はゆっくりと後ろを向く。

諏訪子の顔は笑顔だったが、そこには嫌な予感が混じっていた。


「何?」


諏訪子が三人に聞いてみる。

三人は笑顔でこういった。


「「「根掘り葉掘り、高矢さんとのこと聞かせてね」」」


「……」


諏訪子はさっと立ちあがって逃げ出す。

しかし、ここにいる三人、特に神姫と廻の二人から逃げられるはずがなかった。


「『おいでませ亜空間』」


廻がそう呟く。諏訪子は目の前に現れた不思議な穴に飲み込まれた。


「じゃあ、行きましょうか」


廻が他の二人にそういうと、神姫と優奈はは笑顔で頷いた。

次の日、顔を真赤にして過ごす諏訪子を高矢は見たそうだ。


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