火の鳥
次々回くらいからならクオリティが戻るかもです。
つまるところ今回も低いですごめんなさい。
俺の隣でカボチャが笑う。
崩れる世界の中で、黄色い体をゆらゆら揺らす。
「カラカラカラ」
「お前強いなぁ」
問答無用で世界を崩しているが、速度は自由だ。
だからこそさっきの最後の勝負もできたわけだが。
「なぁジャック」
俺が声をかけるとカボチャは口をはてなマークに変えた。
そんなこともできるんだな、面白い。
「この後はどうするんだ?」
その問いを聞いて、カボチャは地面を見る。
地面に紫色の炎で字が浮かんできた。お前器用だな。
『負けたし多分帰ります。てかあの主人も霊力が少なくて嫌だったんです。
あなたが懲らしめてくれて、連れてこられなくなったら最高でしょう?』
「なるほど、あれ? じゃあ主人に力があればいいの?」
『もちろんです、召喚された者たちは術者から霊力をもらってそれを糧とします。
戦闘で使う霊力がもらう霊力より大きい場合それは損です。あの主人はくれる霊力が小さい』
ふむふむ、この方々にもいろいろあるようだ。
『もらった霊力が大きければ戦闘で力を使ってもおつりがあります、万々歳ですね』
「じゃあお前は霊力さえもらえればいいわけだ」
『つまりはそうなります』
地面から目を放してカボチャを見ると、カボチャは目まで笑顔だった、
いやはや、カボチャのくせに表情が豊かだ。
「よしきめた」
カボチャがはてなマークを浮かべる。
「お前を俺の使い魔にする」
そう言うと、目の前のカボチャから顔が消え、何もない空中のカボチャになった。
そして三秒ほどたつと、顔にびっくりマークが浮かぶ。
「よし決めた、今決めた、気まぐれまぐれだが、
お前を今日から俺の使い魔にする!」
相手のものを自分のものにする技『独占私情』
名前の通り、私情によってすべてを独占できる優れものだ。
「はい終わり!」
さて、使い魔にするの台詞から、終わりまでが一つの台詞だと思ってくれ。
俺の能力は万能すぎるのでな、これくらいの契約なら簡単に俺のものにしてやるぜ。
「カランカラン」
ジャックは目を丸に、口をびっくりマークにして驚いた。
よし、では戻ろうか。
「じゃあ早めるよ、また向こうでねジャック」
「カラン」
ジャックの箱を打ち鳴らすような声が響いた。
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「とまあ、そういういきさつでジャックが仲間になったわけだ」
「カラン」
「随分と無茶しましたね」
「そんなのよりお父さんが規格外すぎるよ……」
大男祭りの部隊の中央で、俺はこれまでのいきさつを思い出した。
姫ちゃんはジャックの記憶を読んだようだ、呼白はもう驚かなくなってきたな。
目の前の気絶した男は放っておいてもいいのだが、このままだと周りにも面倒なことが起こる。
だって、目の前で触手が出たりとか前代未聞がいっぱい出たんだからな、
普通の試合だったと思わせないとだめだ……爺さん以外は。
「あの人は記憶改変聞かないんじゃないかと思うね」
というより俺の場合顔に出てしまうだろう。
さて、この男から霊力を回収しよう、俺の霊力はまだこの男の中だ。
俺は霊力を回収するために、倒れた男の頭にしゃがんで手を当てた。
その時だった、男を中心にもう一度人が地面に描かれた。
「!?」
「兄さん、諏訪子さんクラスが出ますよ!」
姫ちゃんにそう言われる、これは生物召喚系のもののようだ。
気絶している男が人を発動できるわけがないはずなのだが……
霊力が勝手に起動したのか? 肥大化した霊力ならあり得る話かもしれない。
「俺も気絶したら勝手に起動するかもね」
「どうします?」
いや、もともと自分の霊力じゃないから、拒絶反応みたいなものの可能性もあるな。
長く生きてるけど学門の方に根を詰めた経験はないからよくわからないな。
「観客の記憶は弄る必要があるね」
「先にやってしまいましょう」
そうだね、先にさっさとそれだけやってしまおう。
『閉鎖禁錮』ある一定の空間を隔離する技。
観客たち全員を捕捉して別空間に隔離する、
そいつらはこちらから『間欠泉』操作できる。
記憶を操作する技である『欠如目録』で記憶を消す。
『催眠欲』催眠出にかける技で眠らせて終わりだね。
そして目の前の陣を見据えて笑った。
「ジャック、初仕事だな」
「カラカラカラ」
「お母さん私たちどうしよう……」
「兄さんがいますし……観戦しましょう、
妖怪との戦闘に役立つかもですよ」
「お父さんのは論外すぎて参考にならないんだけどね……」
まぁそれは仕方ない、さて、やろうか。
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兄さんがドーム状に空間を隔離した。
周りの人間が隔離され、残したのは私と呼白ちゃんだけのようです。
「兄さんも派手にやってましたからね、
これ以上やると本当に他の人からも敬遠されますよ」
そうです、兄さんは偶にちょっとやり過ぎなところがあったりします。
でも、そのあと失敗したなって苦笑いする顔が可愛いですし、
本当にダメな場合以外はいいと思います、だって兄さんですから。
そもそも、今回も記憶操作すれば大丈夫なので一応は問題ないはずです。
それよりも、目の前の陣が気になります。
「大きさは直径五メートルと言ったところでしょうか……
大きいですね、小型龍でも出てきそうな大きさですね」
「おと……零さんの霊力でやったにしては小さい気がするけど」
「術者のいない霊力はただのエネルギーです、
コントロールされていないので無駄にエネルギーを使ってしまってるんですよ。
そのだだ漏れ状態でも龍並みのものを召喚できるだけ、兄さんは流石です」
そうです、兄さんは強いのです。
前に男の人たちから助けに来た時の微笑、
花畑でそよ風に吹かれている兄さんの横顔、
布団の中で気持ちよさそうに寝ている兄さんの寝顔、
私の名前を呼んで向ける笑顔っ!!!!
あぁ、兄さん、愛してます兄さん!
「姫さんにやけてるよ?」
「もう~、兄さんたらっ、どれだけ私を骨抜きにしたいんですか。
ああっ! そう言えばあの時の後ろ姿も大きくて素敵でした、
それにそれに、あの時握った手の感触なんかもう、きゃー!」
「聞いてないね」
「はっ!」
「目覚めた」
そうです、こんなことよりも(こんなことじゃないですが)目の前の陣に集中です。
目の前の陣の文字は今回は日本語のようですね、何々……
『此処に召喚するは、火を纏いて空を舞い、限りなき力にて岩を持ち、
身を持振るわす旋律を奏でる七十二の柱の一柱なり』
七十二……悪魔ですか? 火を纏うって言ったらフェニックスあたりでしょうか?
それはヤバいですね、正直龍よりヤバいです、復活系は仲間にすれば強力なんですけどね。
「兄さん、これはやばいんじゃないですか!?」
「いいのいいの、心配無用、おそらくフェニックスだけど問題ない。
ああ結う奴らは拘束すれば後はどうでも調理できる。不死系は殺せなくとも消せるからね」
まぁ兄さんは負けないでしょうけど、やっぱり戦闘で待つ側は心配です。
「姫ちゃん、大丈夫、死んでも死なないし、
消えても消えない、だって俺は神様のお婿さんだからね」
「兄さん……」
「まぁ待っててよ」
そう言って兄さんが笑うと、陣が大きく光る。
閃光のような光に視界を埋め尽くされて目を閉じてしまう。
地面が砕ける音がして、鳥の鳴き声が聞こえる。
「ハローさんフェニックス」
兄さんがそう言うのが聞こえる。
真っ白な視界があけると、赤い剣に紫の火をともした兄さんと、
ジャックさん、そしてその目の前に、黄金に輝く火の鳥、
ソロモン七十二柱、三十七番『フェニックス』!
「永遠の終わりは覚悟できたかな?」
兄さんのその声に合わせるように、貫くような黄金の鳴き声が響いた。




