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東方兄妹記  作者: 面無し
23/138

~弥生~諏訪の神

さてと、二千年くらい前と言うことは、

今は弥生時代ということになる。

米作りが日本に伝来し、貴族…まぁこの場合は

豪族と呼ばれるものがいた時代だな。


「姫ちゃん、此処の座標はわかる?」


人里に入って二日目の朝五時、

能力で相手の言語を理解し、

家の主がその日に亡くなった空き家を拝借(一人暮らしだったらしい)

呼白も入れて、家の準備を済ませたところだ。

朝五時だし子供は就寝中。


「日本ですね、黙視さんの方に庭ごと引っ越したはずです」


「そうだったか、懐かしいなぁ

黙視も入れていろんなところ行ったもんなぁ」


「ここは…長野県のあたりですね」


「へー」


此処の人によるとこの地域では、祟り神のミシャグジ様とやらがいて、

それを操れる力を持った諏訪子と言うのを祭神として奉っているらしい。

なお、この村に住むには神様に顔見せしないといけないらしい、

よそ者が来たのだから当然の処理と言えるだろう。


「なぁ姫ちゃん、話が変わるけど、

俺達はいつ顔を見せに行けばいいんだ?」


「今日でもいいんじゃないですか?」


「おっけー、じゃあ今日で」


「わかりました」


そんな簡単でいいのか、と言いそうだが

簡単でいいのだよ、俺だからな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「うーん」


朝の七時ごろ、新しく我が家に仲間入りした

お嬢様のお目覚めだ。


「ふあぁ」


真っ白な髪に真っ黒なワンピースを着ている幼女。

その眼はルビーのように紅く、顔は人形のように整っている。


「おはよう呼白」


「おはよう、おと…零さん」


…うん、お父さんって呼んでって言ったのに呼ばれないんだ、悲しいね。

いいもん、いつか絶対お父さんって呼ばせるもんね!


「顔洗ってこい、洗ったら出かけるぞ」


「…どこ?」


「神社」


「へ?」


不思議そうな顔をする呼白。

と、そこにあいさつ回りに行っていた姫ちゃんが帰ってくる。


「呼白ちゃん、神様に顔見せしないといけないので神社に行きますよ」


「…そう、おと…零さんの説明じゃわからなくて」


「酷い!」


まぁいいや、ということで呼白には顔を洗いに行かせた。

家の外に出て待っているとお隣の爺さんが出てきたところだった。


「「おはようございます」」


「おお、お二人さん、おはよう」


腰が曲がっている人だが、

この時代に病気にならず生きている人と言うのは珍しい。

此処の近辺でも物知りじいやとして慕われているそうだ。


「今日は一家でお参りかい?」


爺さんが聞いてくるのに俺が答える。


「そうです、よそ者ですから

顔見せ位はしておかないといけません」


普段、俺は丁寧に話さない。

そこら辺のおじさんとかなら普通に話す。

でも、こういう外見が爺さんの人には

目上という感覚が抜けず丁寧になってしまう(俺の方が年上なのにだ)。


「そうか、気負付けて行きなさい。

あの方の外見を見ると驚くと思うが、あの方は立派な神様だからの」


「驚くんですか?」


姫ちゃんが首をかしげる。


「あの方は見た目が幼いんだ。

だから、前に子供に神様か疑われたことがある」


「ここの神様って祟り神でもありましたよね、

その子は何かされたんですか?」


「うん? 怒られただけだよ、

後、神様の証明に境内に小山を作って見せなさった」


爺さんはなつかしそうに目を細めた。

小山を作る…土を操る能力かな?


「優しいかただよ、構えずにね」


「「はい」」


「おか…姫さん、おと…零さん

洗い終わった…終りましたよ」


ん、呼白が顔を洗い終わったようだ。

準備はすまっせたし、さっさと行ってこようかね。


「行ってきますおじいさん」


「じいさん、行ってきます」


「はい、行ってらっしゃい」


爺さんは笑顔で送ってくれた。


零が去った後、

物知りじいやは独り言をつぶやいた。


「あれから何年たったか、わしも老けたのぉ。

あのころは素直じゃなかった、あの女の子も、

何時か素直に二人を呼べると言いの」


じいやはからからと笑った。


―――――――――――――――――――――――――――――


家から出て数分。

神社へは距離がある、往復で歩けば日帰りになる距離。

まぁ俺には関係ないけどね。


「『転送』」


瞬間移動を見られないために移動しただけだよ。

歩きで行く気はさらさらない、疲れるからな。


「神社前ー神社前です」


電車のアナウンス風に言ってみる。

正確にいる場所を言うと、神社前の林の中だが。

さて、ここから神社を見てみると随分大きい。

この時代の神社としては大きいものだろう。


「さて、行ってみましょう!」


「…うん」


姫ちゃんと呼白は準備万端なようだ。


「でわ、れっつごー」


いざ行くぞ! と、林から出て神社の鳥居をくぐる。

入った瞬間、俺達を包む空気が変わった。

重苦しい、いかにもこの先に居る者の大きさを表すような空気。


「へぇ」


その空気に感心の声が出る。

久々の大きな気配に、相手を畏れさせるためだけに作られた、

その気配に。


「畏れさせないと信仰してくれないものなぁ」


「随分と気配が濃密だと思ったら、鳥居を境に

気配を圧縮してるんですね、道理で重いわけです」


うんうんとうなずく姫ちゃんの横で、呼白が神社を指さす。


「おと…零さん、あの神社何か白いのが出てるよ」


白いもの? 俺には見えない。

試しに姫ちゃんにもアイコンタクトしてみるが、

見えないと言いうように首を振った。


「どんな感じのなんだ?」


「白い…炎?」


なるほど、白いのは神力か。

霊感と言うものが全くない俺と姫ちゃんには見えないわけだ。

能力で発現させる以外に視覚化させる方法を知らない。


「分かった、神の力だね、

建物から漏れ出てるってことは、相当強い証拠だよ」


現実で視覚化しないかし、大きすぎるわけじゃないようだね。


「さ、行こうか」


二人の手を引いて拝殿へと向かう。

神社は拝殿の向こうに本殿があり、ご神体がある。

まぁこの気配だと神本人がいそうだけどな。


「ふうん」


拝殿の前までくると、監視されているような感覚がした。

おそらく神様最大のテリトリーである神社の土地、つまるところの神域は、

自分の好きなだけ把握できると言うことか。


「よそ者ですから警戒してるのでしょうか?」


「いや、おそらく見てるだけだ、

人間が神に勝てるはずがないと自信を持っているはずだよ」


それにしても、拝殿だけでも驚きのデカさだ。

あ、俺御供え物とか持ってきてないじゃないか。

ヤバいな、どうしようか。


「お供え物どうしようか」


「…作れないの?」


呼白が心配顔で見てくる。

その手があるね、作ってしまえばいい。


「作れるね、何を作ろうか」


「私たちは仕事をしてるわけじゃないですしね…」


「!」


よし、消えない炎でも作ろう。


「消えない炎でよくないか?

あれなら簡単に作れるし、ケースに入れておけば引火の心配もない」


「わかりました」


二人から手を放し、手で器を作る。

炎を作り出す技『炎念点受』

そう頭の中でつぶやいたと同時に

手のひらの上に赤い炎が出来る。


「よし、永遠を与える技『永年盛者』」


永遠を与え消えなくする技だ。

そのままケースを出し(『製造皇帝』という技)、その中に火を入れる。


「よし、お供えお供え…ってどうやるんだ?」


そう呟くと周囲一帯に反響するように声が聞こえた。


『置いてくれれば大丈夫』


「「「!?」」」


その声は幼い少女のものだ。

だが、こんな芸当をやってしまうことから、

此処の神様と言うことだろう。


「あんたがここの神か」


『うん、諏訪子っていうんだ、よろしく』


陽気な声だ。

呼白が俺の方にピッタリと引っ付いてくる。

姫ちゃんは本殿を見透かさんと拝殿を睨む。


『不思議な力を使うんだね、関心したよ』


「それはどうも、まぁもっといろいろできるけどね」


そう言うと、現代では賽銭箱がおいてある部分の奥の扉が開き、

そこから本殿への通路が見える。


『へぇ面白そうだね、見せてよ、

生で見てあげるからさ』


声の主がにやりと笑ったように感じた。

爺さんが言っていた幼いと言うのは声で分かるが、

この神様自身の年齢は結構あるようだ。


「いいですとも、約三十五億年間使い続けた技を見せてあげるよ」


『え? 三十?』


俺を含めた三人を本殿内に転送する。

本殿の中は普通の家のようになっていて、

中央に囲炉裏とその上につるされた鍋がある。

目の前には特徴的な帽子をかぶった

少女の神様が座っていた。


「やぁ諏訪子とやら、神谷零という」


「神の前にいきなり飛ぶなんて珍しい芸当をするね」


にやりと笑う諏訪子の目がきらりと光る。

彼女が右手を挙げると、今まで神社内だけだった気配が、

一気に本殿に集約される。


「ひっ」


呼白が俺にしがみつく。

青ざめ、涙目になっている少女の頭を撫で、『激魂歌』を発動する。

増幅する霊力に周りを破壊させないために無理やり自分の中に抑え込む。

抑えきれない霊力が俺の気配として周りに放出された。

それによって諏訪子の気配が中和され、呼白の顔が少し元に戻る。


「お前は本当に人間か?」


そう問うてくる諏訪子にうなずく。


「もちろん、どこにでもいる普通の人間だよ」


そう言って笑うと。

諏訪子がいい笑顔になった。


「良いじゃないか、初めて私と張り合える存在にあったよ。

腕試ししないか人間? 神と戦えるい一機会だよ?」


意外と好戦的? なようだ。

だが、こちらも戦いを持ち込まれたらやるしかない。

売られた喧嘩は買うのだ、負けると確定していない限り。


「に、兄さん! け、喧嘩しちゃだめですよ!?」


気付いたように姫ちゃんが慌てて言う。

久々の強敵である以上、喧嘩自信を病めると言うのは選択肢から消えてしまった。

しかし、愛しき姫ちゃんの願いは聞き入れたい。


「うーん、腕試しだから殺さないって、だめ?」


「殺さなくても酷いことするでしょう?

呼白ちゃんもいるし…道徳的に悪影響です!」


そう叫ぶ姫ちゃん、呼白への道徳影響を出されると弱い。

だが、そうしていると呼白が俺のコートの裾をぎゅっと握ってこういった。


「れいさ…お父さん、頑張って」


「呼白ちゃん!?」


こういわれては仕方がない。

お父さんは娘の願いを聞かないといけなくなった。


「だめかな?」


困った表情で姫ちゃんを見ると、

姫ちゃんが少し赤くなった。


「…少しだけですよ」


「ありがとう、そういう姫ちゃんが大好きだよ」


「私も兄さんが大好きです」


ふふふ、と笑って諏訪子の方に向き直る。

諏訪子は待ちわびたかのように立ち上がるとふわりと宙に浮く。

神力を放出して飛んでいるようだ。


「さあ、やろうか人の子よ、神の力を見せてやろう」


「いいとも、やろうか土地神よ、人を超える人の力を見せてやるよ」


伝承中の神VS神より前に、

神VS人の大戦がはじまった。

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