日常の二人
今回は黙視が弟子になっての零と神姫の普通の日常。
零SIDE
「『百火龍燐』」
手のひらに約十億度の業火を作り出す技☆
くらって生きてたのはいないよー、現に周りが蒸発してるし。
「あの、それをどうしろと?」
「妖力で防げ」
ああ、すまない、状況説明すると、晴れて弟子になった黙視の特訓(死ぬこともあり)中。
今は妖力の壁で俺の攻撃を防ぐ特訓中(十三回目)。
「無茶言わないでください!」
「あ、そーれ」
手のひらの業火を球体にして放る。
俺がなんでダメージ無いのかって?通常強化に熱耐性強化つけてるから。
「『六重結界』!!!」
門が締まるようなガンッと言う音を立てて黙視の目の前に六重の結界が広がる。
黙視がイメージを受信することで、通常より速いスピードで学んだエルン特製の結界だ。
まだエルンと比べると未熟だが、それでも六重に重ねられるだけ成長が速い。
「だが、甘いぜ」
六重の結界は炎球を弱めはしたものの、破られてしまった。
気付いてないのかなぁ?実は始めたばかりのころは
十億度なんてアホな数字じゃなかったんだ。
いやはや、呑み込みが早いから上げたら、
防げないような数字になっちゃた☆
「さぁ、防がないと死んじまうぜ?」
「さっきより厚くしたのにっ!」
はっはっはぁ!この業火はエルンの六重だって貫いてやらぁ!
「『創城の壁』!」
「え?」
一枚の壁が現れる。
厚さ、複雑さが先ほどとは比べ物にならないものになって。
「お前それをどこで!?」
壁が炎球を無傷で弾く。
温度が下がっていたとはいえ、
この炎を無傷で防ぐ壁は一つしか見たことがない。
「姫さんの記憶を参考にさせてもらった」
「やっぱりか!」
あの壁は俺と同じ論外の、
転生者で姉馬鹿の、俺と喧嘩できる数少ない一人の技じゃないか!
本物とだと不完全だが、
「これは…本気出しちゃおっかなぁ」
「嫌な予感しかないんですが…?」
久々のあいつの技にいつもよりテンションが高くなる。
実際はレプリカのようなものでオリジナルより弱いだろう。
でも、だからどうした!
「受けてみやがれ、俺の持ち技最中最大貫通力の技だ!」
黙視が構えるのと同時に、地面から一本の刀が出てくる。
藍色の柄に金色の鍔、漆黒の刀身。
名前は『紅夜』俺が持つ武器の中で、五本しかない刀の一本だ。
その切れ味は…俺の手持ち中最大。
その技は、これから放たれる。
「『刀穿』」
刀を後ろへ引き、突き出す。ただそれだけ。
だが、ただそれだけの動作だけでよかった。
この技は貫通最強、範囲もそれ相応の狭さだ。
だがそれでいい。
突き出された刀自身は俺の前までしか進まない。
しかしその斬撃、いや、衝撃はそのまま突き進む。
原理は簡単だ、学校の振り子の授業を思い出してほしい。
いくつもの振り子をつなげて置き、端の振り子を動かす。
動いた振り子は隣の振り子にぶつかり、衝撃がもう反対の振り子まで伝わるというもの。
それを空気で起こしただけ、何の不思議もない。
「貫け」
衝撃は壁へとつながり、壁は強い衝撃に耐えられず
衝撃が当たった部分に穴をあける。
貫通した衝撃波そのまま空気を伝わり黙視へと刺さる。
「がはっ」
衝撃はさらに進む。
黙視を突き抜け地面を突き抜け、最終地点は地面の奥深く。
もしかしたら地球も貫通してるかもしれない。
「うあ」
黙視が倒れそうになる。
急いで自分を転送して駆け寄る。
「大丈夫か?」
「大丈夫、さすがだね、零」
衝撃が強すぎただけだよ。
と黙視は言った。
怪我は大丈夫だ、能力で治せる。
精神的なものは記憶消すとか以外には癒す意外に知らん。
「あの壁は薄い?」
「いや、十分だよ、俺の攻撃だから貫通したようなもんだ」
だが、あの壁は連発できないだろう。
俺の予測では黙視では一日に三枚ほどしか無理だろう。
「六重も練習したからね、今度は何回もできるように頑張るよ」
「おう、頑張れ」
今日はここまでにしようと俺の方から切った。
あの壁を作るのは骨が折れるだろうし、
何より俺自身もあの壁を破ることは出来るが
面倒くさい。
「帰るか」
「うん」
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姫SIDE
兄さんと黙視さんが修行中の間、
私と紫さん、幽香さん、エルンさんで料理をする。
監督は私です。
「ねぇ神姫」
鼻の頭にクリームをつけた幽香さんが
クリームの入ったボウルを思って言いました。
「なんですか幽香さん」
「なんで私たちおかし作ってるの?」
今気づいたみたいな顔で私に聞いてくる幽香さん。
私が答えようとすると紫さんがスキマから出てきました。
「あら、運動の後は甘いものよ、あとクリームがついてるわよ」
最近スキマからよく出てくる紫さん。
なんでも、スキマを速く使えるようになりたいかららしい。
「あ、ありがとう、あむ…で、なんで私達が作るの?」
「あら、殿方は女が誠意をもって迎えるのが常識よ」
奥の方でエルンさんが答えました。
「ふうん、まぁ仕方ないわね、
慣れてないけど作ってやろうじゃないの」
「幽香さん優しいですね」
「そう? ありがとう」
そのまま皆さんで料理を続けていると
紫さんが私の前にスキマを出しました。
「ねぇ神姫、あなたたち夫婦と同じような
夫婦の話を聞いたけど、その夫婦はどんな感じなの?」
スキマを通して質問をしてきた紫さん。
目の前の幽香さんも反応する。
「興味あるわね、何でも夫の方は零と互角らしいじゃない」
あの二人のお話ですか、懐かしいですね。
最後にあったのは約二千三百歳の時でしたか。
まぁ、偶に連絡はしてますけど…久しぶりに会いたいなぁ。
「そうですね、兄さんと戦える数少ない人間ですよ」
「どんな技を使うのかしらね」
エルンさんが奥の方で言う。
その答えは簡単です。
「兄さんとおんなじようなものですよ、
あらかじめ決めた技を任意に取り出して使います」
「へぇ」
「兄さんの『流星の尾』はもともと彼が作ったものですし、
彼が使う技には名前が違うだけの同じものもあります」
「似た物ってことね」
「そういうことです」
そうしていると、ピピピというタイマーの音がする。
私の持っているピンクのタイマーの音だ。
「クッキーが焼けたみたいね」
紫さんがスキマから離れる音がした。
「ケーキのほうはどうですか?」
ケーキのパンはエルンさんの担当だ。
エルンさんがひょこっと奥から顔を出した。
「もうすぐよ」
エルンさんが言ったところでまたタイマーの音がした。
今度は白色のものだ。
「あ、できたわ」
エルンさんがこちらに移動してくる。
パンケーキはこちらに魔術で送ってきた。
少しの時間差で紫さんの隙間からクッキーの乗ったお皿が出てきた。
「さ、四人で盛り付けましょう」
床にできたもう一つの
スキマから出てきた紫さんが言う。
「そうですね、やっちゃいましょう」
盛り付けをしてから十分後くらい。
お茶の用意が終わったころにお二人が帰ったきました。
「「ただい…おおー!」」
テーブルの上を見た二人の顔がぱっと明るくなる。
「「「「お帰りなさい、どうぞ召し上がれ」」」」
その後はお二人が食べながら、
私たちはお茶を飲みながら。
四人でお話ししました。
「姫ちゃん、おいしいよ」
兄さんがそう言ってくれてうれしかったです。
唇の端に少しだけクリームをつけた兄さんは凄く素敵で、
少し見とれてしまいました。
三人に聞くと真っ赤だったとのこと。
「姫ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
兄さんの笑顔のためなら頑張ります、奥さんですから!
話に出てくる夫婦は後々出ます…多分。




