第4話 宣戦布告
宇宙からの侵略者、そして内部から崩壊を始める地球連合。
平和の象徴であった将軍は氷の底へ沈み、かつての友は野望に狂った牙を剥きます。
全ての希望が潰えたかのように見えるこの青い星で、たった一つの誤算――。
それは、誰もその居場所を知らない銀色の人機「メモリア」の存在でした。
策謀と裏切りが渦巻く銀河の片隅で、今、反撃の火種が静かに燃え上がります。
メモリアが起動する数ヶ月前ー。
地球の衛星軌道上では、ライコウ共和国の総統が冷徹な声明を全チャンネルに強制介入させていた。
「愚かなる地球の民に宣言す。貴様らに存在価値は無い。腐敗した地球の愚民共を消滅し、この青い星を我が手に収めてみせようぞ!」
傍らには、異星人軍の将、ベベノムが歪んだ笑みを浮かべて立っている。
「ライコウ軍と我ら外惑星人は同盟した!我々は 地球を滅ぼす悦びを、共に分かち合おう事で一致した!寄って、連合軍諸共吹き飛ばしてやる!覚悟すのだな!」
こうして、地球平和が崩れてることになるが、地球連合も内部分裂の危機に瀕していた。
南極大陸、地下1000メートルに位置する極秘監獄「コキュートス」。
そこは、かつて地球連合の守護神と謳われたレオン将軍が、冷たい鎖に繋がれている場所だった。
「……ミナゴ、貴様の狙いはそれか」
レオンは、モニター越しに突きつけられた
「新地球連合軍」の発令書を一瞥し、低く呟いた。
「新たなる総帥ミナゴ将軍に就任する事を承諾した。」
目の前で歪んだ笑みを浮かべているのは、
かつての側近、ミナゴだった。
「時代は変わるのですよ、レオン将軍。平和解決などという甘っちょろい幻想は、ライコウ軍の火力の前に消し飛びました。今、民衆が求めているのは救済ではなく、敵を焼き尽くす圧倒的な力……つまり、私なのです!」
ミナゴは、将軍を裏切り、ライコウ軍に虚偽の情報を流すことで、軍を蔑ろにしてると密告し、投獄させて、彼を失脚させた。すべては、連合のトップに君臨する野望が、この男には、あったのだ。
「貴様には、この冷たい氷の下で、私が地球を、そして銀河を手中に収める様を見届けてもらいましょう!フハハハッ。」
ミナゴが去った後、レオンは暗闇の中で静かに目を閉じた。
(……真矢博士。残された希望は、あの子とメモリアだけか……)
一方、地球連合軍の本拠地である空中要塞「エンペラー」は、ミナゴの手によって「新地球連合軍」の旗印が掲げられていた。
かつての守備隊は再編され、兵士たちの瞳からは生気が失われている。
そこに駐機されているのは、
連合の主力量産人機「バル」が配備されている。
しかし、その一部は真矢博士の預かり知らぬところで、ミナゴ独自の非人道的な強化が施されようとしていた。
ミナゴ「真矢博士、メモリアの行方はまだ掴めないのか?」
司令室に呼び出された真矢博士は、白衣のポケットに手を突っ込み、気だるげに首を振った。
「…さぁね。あの子はもう、ただの機械じゃない。生きた兵器…私にだって、居場所なんて分からないのよ…」
(…こいつらに、メモリアを渡せないわ。レオン将軍無事でいて…。)
真矢の瞳が、一瞬だけ鋭い眼差しを帯びるのだった。
ご一読いただき、ありがとうございます。
今回は、メモリア起動から遡ること数ヶ月前の世界を書きました。
英雄レオン将軍の幽閉、そしてミナゴの裏切り……。個人的には、真矢博士の「ただの機械じゃない」というセリフに、彼女とメモリア(ユナ)の深い絆を込めました。
主力人機「バル」に施される非人道的な強化とは何なのか? そして、氷の下に眠る将軍が再び立ち上がる日は来るのか?




