第28話:自己紹介
「あっ。えっと。その、ミ=ロ・セーニャ・フィリフィナ・チーです。13歳です。
あっ。えっと、私の住まう森での成人は果たしているので、安心、してほしいです。
その、私のことはセーニャと呼んでください。
師匠、アイシャ・フォン・クロフォード様の下で、魔法を学びました」
白銀の髪に、独特な服。民族衣装かな?でも、13歳で私と同じ二級魔導師なんだから、凄いな。
あっ。でも、彼女の故郷ではもう成人してるんだよね、子ども扱いは失礼かな?
凄く可愛い。同僚もいいけど、お、お友達になれたらいいな。
「紳士淑女の皆々様、ごきげんよう。私はルシアン・モルゲンブリック!
風より軽やかに、月影より静かに、そしてあなたの心を掴むのは、一瞬の幻。
この帽子の中には、夢と驚きと、少々の秘密が詰まっております。
私はかつて『ルナ・ミラージュ(月の幻影)一座』)という旅芸人一座に身を置き、
舞台と街道の上で青春を過ごしました。年の頃は・・・まあ、まだ二十代。
呼び名はお好きに・・・ですが、舞台の上では、どうぞ『幻魔の紳士』とお呼びください!!
さあ、このハットから飛び出すのは!何でしょうね?」
そう言うと、彼は帽子を取りクルリと内側を上に向ける、
すると数羽の白い鳩が紙吹雪と一緒に飛び出してきた。
凄い、どんな魔法をつかったのかな?全く分からない。
私がジッと彼の帽子を見ていると、彼は笑いながら話かけてきた。
「魔法ではありませんよ。私は魔導師でもありますが、本職は奇術師なので」
うっ。考えていることを見透かされてしまった。
とりあえず、私は頭を下げて謝っておいた。
「オットー・フォン・シュタールクランツだ。
魔導師としては王立魔導学園首席卒、二級魔導師だ。
無駄な馴れ合いは好まない。任務に必要な時だけ話しかけてくれればいい。以上だ」
あっ。ちょっと怖いかも。それに、仲間と距離を置きたがるタイプの人だ。
あれ?腰に剣を提げてる。魔力が切れた時の、護身用かな?
そっか。魔導師は魔力がなくなったら無謀になるもんな、
何か自衛用の手段を一つくらい持っててもいいのかも。
「あ、えっと・・・ノエル・ツァオバーヴァイヒです。こんな見た目ですが“男”です。
魔力量は多めですけど、たまに魔法があらぬ方向へ飛んで行っちゃいます・・・。
師匠はカトリーナ・エーベルヴァイン様です。『月光の書記官』って呼ばれる方で、
魔導書や魔法の分析の達人です。
えっと、足は引っ張らないように頑張りますので、よろしくお願いします」
正直、驚きを隠せない。だって、この子、どこからどう見て可愛らしい少女にしか見えない。
えっと。女装ってヤツかな?前にクラスメイトの子が言ってたアレかな〖男のコ(娘)〗。
女性ものの服に、長い髪の毛、黒いリボンでツインテールを作ってる。
でも、本人が男だって言ってるし。う~ん。詮索は、よくないよね。
「じゃあ次はあたしの番ね。フィリス・ウィンセントよ~。
黄金の魔女って言う忌々しい二つ名があるけど、私の前では絶対にそう呼ばないでね~。
ああ、私の前以外でもそう呼ぶ時はしっかりと周囲に人がいないかを確認してからにした方がいいわよ。
クソ爺・・・師匠のことについては、あんまり触れないでもらえると嬉しいかな~。皆、よろしくね」
フィリスさん。相変わらず無言の圧と言うか、ちょっと怖い。
でも、同僚?になった以上、一緒に働かないといけない。
怒らせないように、細心の注意を払いつつ、仕事をすることにしよう。
「俺か?俺は、フィリナ・ウィンセントだ。レディだから年齢は言わねぇぞ。
それと、喧嘩を売るってんならいつでも買ってやるが、
姉貴に変なことしたら本気で殺すから、覚えとけよ」
うぅ。やっぱり、この人怖い。あまり、関わらないようにしたいかも。
「さて、自己紹介も終わりましたし。そろそろ、向かいますか?」
魏さん?がそう言うと、皆が頷いて、飛行魔法を発動する。正直、この先が思いやられる。
皆さんと会うのは今日が初めてなのに、危険な仕事を一緒にさせられる。
上手く行かなかったら、死ぬかもしれない。
でも、感覚が麻痺してるのかな?怖いっていう気持ちよりも、緊張が勝ってるかも。
・・・いや、今は無駄な魔力消費を避けるために、魔力操作に集中しよう。
師匠は信頼できる付き添い?を用意したって言ってたし、大丈夫なはず。
それに、今回の仕事が終わったら、皆さんと少しは打ち解けられるかもしれないし。
そう言えば、師匠とかお屋敷で働いている人達以外と話すのはいつ振りだろう。
人と話す練習をしないとかも。・・・ダンジョンについたら・・・えっと・・・。
そうだ、セーニャ?ちゃんと話をしてみよう、この人達の中だと、一番話しやすそうだし。
飛んでいる間に、何を話そうか考えておかないと。




