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影(闇)の勇者は不安定  作者: ヒーズ
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第18話:議論・壱

「それで、ミオ・シノノメはどうだった」


書類を処理する手を止めることなく、兄は弟に質問する。


「そうだね~。一人の魔導師として意見するなら、

彼女が勇者だったとしても異常と言わざるを得ないだろうね。

たった1年の修行で、二級魔導師。国家に警戒される存在となったんだから・・・。

俺でも、あのロドリゲス学園長の下で6年程修行を積んで、やっと三級魔導師だから。

闇魔法の適性が特A、保有魔力量がA-な上、未だ成長限界に到達していない。

初の魔導師試験で二級を受け、筆記を990/1000、実技を満点で合格。

ハッキリ言うなら、彼女は二人目のレオちゃんって考えるのが妥当だと思う」


弟の言葉を聞いて兄は手を止め、難しい表情をしながらため息をつく。

魔法の心得がない者でも、今の話を聞けば、彼女が特異な魔導師であることを理解できる。

もし、彼女がこの世界の住人であったなら、これはただの朗報でしかない。だが・・・。


「兄上、いよいよ大事になってきましたね」


弟も、自分達プッセン王家がどのような危機に直面しているかは理解していた。

二級魔導師として、ある程度の権力を手に入れた彼女がもし、召喚師らの行いを公にすれば・・・。


「現在、私は独断でこの件に関して調査を進めている。

そして、彼女に正式な謝罪を行えるように、密かに準備も行っている。

現状、彼女に取れる対応策は、影から見守り、不審な人物を近寄らせないことだ。

まあ、ハーゲンドルフが常に傍にいるらしいから、王城に住まう私達よりも安全と言えるだろう。

それはさて措き、一度、彼女と密かに会う必要があるだろう。

だが、ハーゲンドルフは彼女が勇者であることに気が付いてういるようでな。

我らに取り返されまいと、色々と対策を行っている。

全く。魔法のことになると、王家をも敵に回すことを厭わない、厄介な相手だ。

兎に角だ、目下取れる対策を全て取っている。後は、彼女がこれ以上名声を得ないことを願おう」



~ 数日後。王城。対魔王軍対策会議 ~


〖此度の対策会議の出席者一覧〗

・プッセン王国現国王:カール・フォン・プッセン

・プッセン王国第一王子:パウル・フォン・プッセン

・プッセン王国第二王子:ウルリッヒ・フォン・プッセン

・プッセン王国宰相:ギルベルト=ディーロ・フォン・アーレンス

・プッセン王国近衛騎士団長:ドナルド・フォン・バールケ

・プッセン王国魔導師長兼9魔将:レオポルト・フォン・ハーゲンドルフ

・プッセン王国9魔将・一級魔導師『盲目の魔女』:メルル・ロ・フォン・ロドリゲス

・プッセン王国9魔将・準一級魔導師『膨魔の魔女』:アイシャ・フォン・クロフォード

・プッセン王国9魔将・準一級魔導師『鉄壁の魔導師』:エドワード・ヴォ・フォン・ヴェルトフォルト

・プッセン王国9魔将・準一級魔導師『白銀の姫君』:クロリアーナ・フォン・プッセン


〖諸事情により、本会議に欠席する者〗

・プッセン王国9魔将・一級魔導師『水の令嬢』:エミリエ・フォン・エッテンバウワー

第六騎士団と共に、北東部に出現した魔獣の大群の対処へ赴いている。

・プッセン王国9魔将・一級魔導師『探求者』:ロイド・ハイドリヒ

所在不明につき、連絡が取れずやむを得ず欠席となった。

・プッセン王国9魔将・準一級魔導師『光の使徒』:イザベル・デ・カルナローズウッド

南西部の魔獣討伐へ赴いているため、本会議には欠席するとのこと。

・プッセン王国9魔将・準一級魔導師『風牙の詩人』:アーノルド・アレクサンドロヴィチ・コーネフ

冒険者業を優先するために、本会議には欠席するとのこと。


(※プッセン王国9魔将:プッセン王国最高峰の魔導師9名のことを指す。)



「まず、皆、忙しい中余の招集に応じ、集まってくれたことに感謝する。

さて、では早速ではあるが本題に入るとしよう」


国王が発言を終えると、近衛騎士団長が立ち上がる。


「それでは失礼して、私が本会議の議題について説明させていただく。

現状、我々は魔王軍と名乗る魔物共と国際緊張の状態にある。

国境線の警備に当たっている騎士団によると、

いつ戦闘状態に突入しても不思議ではない、とのことだ。

我らには勇者という戦力があるが・・・。

ロドリゲス学園長、勇者御一行はどこまで成長なされたのでしょうか?」


すると、目を包帯で覆う茶髪の女性が立ち上がり、軽く頭を下げる。


「はい。ケンヤ・トミギ様は既に中級魔法を扱える領域にまで達しており、

来年までには準三級相当の魔導師に育つかと。

トヨヒサ・サナダ様とタカツグ・ワシミネ様も下級魔法は完璧です。

アオイ・イイノ様とアカリ・マツナガ様は初級魔法までしか覚えられていませんが。

この世界の魔導師を基準とするならば、皆様、とても優秀と言えるでしょう」


彼女の発言を聞いた近衛騎士団長は、暫く考えに耽った後、彼女に尋ねる。


「では、勇者御一行は2、3年以内に魔王と戦えるようになる、という認識で構わないでしょうか?」


近衛騎士団長の問いかけに対して、彼女は申し訳なさそうな顔をしながら首を左右に振る。


「いいえ。最低でも5~6年は掛かるでしょう。彼らには『初級・下級・中級・上級・特級・弩級』の

全ての魔法を覚えていただきます。彼らの才能ならば、上級までは難なく習得するでしょう。

ですが、特級・弩級ともなると、高度な魔法理解、最低でもA-以上の魔力、

精密な魔力操作が要求されます。それらを習得するには、最低でも数年は掛かるでしょう。

それに、学問としての魔法と、実戦用としての魔法は、大きく異なります。

戦う道具としての魔法を教えるのにも、それなりの時間が必要なのです」


彼女の言葉に最も早く反応したのは、国王であった。

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