第16話:女魔導師、試験の開始
「えっ?ええ??急にどうしちゃったの。変な格好しながら謝っちゃって・・・」
急な私の土下座に、お姉さんは困惑を隠せていなかった。
あっ!そうだった。ここは異世界なんだ、土下座って文化がないのかも。
だとしたら、土下座と言う行為が一体どんな意味を持っているのか、説明しないと。
「は、はいっ!これは日本と言う国に伝わる、深い謝罪の意を表す際に行われる礼です。
私はとある高貴なお方のお屋敷に居候させていただいている身でして・・・。
使っている化粧品やお肌の手入れに関しては、一切、何も、分からないのです。
黄・・・ご質問にお答えできぬこと、どうか、どうか、平にご容赦をっ!!」
殺されたくない、殺されたくない、殺されたくない、殺されたくない、殺されたくないっ!!!
私は地面に額を擦り付けながら、何度も何度も謝罪する。
ゴブリンダンジョンで私は、この世界と地球の大きな差を学んだ。
それは、弱肉強食が絶対の社会。死にたくなければ、強い者の怒りを買ってはいけない。
特に、私は地球だと色んな人に直ぐ怒られていたから。
つまり、私はこの世界では人一倍気を使わないといけない。
「え、ええ。そこまでしなくてもいいわよ。
分からないなら、普通に分からないって言ってくれればいいのに」
「えっ?」
私は、戸惑いを隠すことが出来なかった。
地球にいた時、分からないと言ったら「馬鹿が」とか「無能」とか言われて怒られていたから。
分からないのは、勉強不足の私が悪いって、そう言われてきたから。
お姉さんの反応に、凄く驚いてしまった。こ、こう言う時は、どうしたらいいんだろう。
「皆様方、そろそろ試験が始まります。ご準備はよろしいですか?」
戸惑っている内に、試験開始の時間が来てしまった。
私達はアドラーさんの指示通りに動いた結果、見事に試験会場が分かれてしまった。
どうしよう、お姉さんに何か言った方がよかったんだろうけど、何も言えなかった。
うぅ。仕方ない、今は試験に集中しよう。もし不合格になったら、師匠に殺される(涙)。
まずは、魔法適性と保有魔力量の検査、だったよね?
~ 一次試験:魔法適性及び保有魔力量の検査 ~
魔法適性の検査結果:闇・特A/光・なし/火・D/その他(風・水・地)全てがE。
保有魔力量の検査結果:A-
~ 二次試験:魔法理解の測定(筆記試験) ~
後日に出た結果:990/1000点
検査も、筆記も問題なかった、はず。次は実技試験。
試験官との実戦形式の試験。要するに試験官と戦う。
ああ。緊張する。師匠以外の魔導師との初の戦闘。・・・師匠は言ってた。
魔獣と違って、戦略・戦術を有する魔物や人間との戦いは高度な心理戦が要求されるって。
気を引き締めないと。いずれ、魔物や。もしかしたら、人と戦うことになるかもしれない。
その時、私に人を殺すことが出来るかは分からないけど。
少なくとも、殺されない程度の力はつけておかないと。
「ミオ・シノノメ様、4番の試験場へ向かってください」
そうこうしていると、呼び出しがかかった。いよいよ、最終試験だ。
検査も、筆記も自信があるわけじゃない。だから、実戦も全力で挑む。
不合格になって、師匠に殺されないためにも!!
私は大きく深呼吸をすると、4番試験会場へと向かった。
そこには、闘技場。いや、魔法の訓練場かな?が広がっていた。
石造りの会場はとても頑丈そうだけど。魔法に耐えることは出来るのかな?
ま、まあ魔導師管理委員会の管理する場所だし、問題ない、よね?
それより、会場の真ん中に立っている男の人。彼が試験官っていうのは分かる、けど。
滅茶苦茶強そう。なにより、表情が滅茶苦茶怖い。目力だけで殺されそう。
いやいや。東雲澪しっかりするんだ!師匠の怒った表情と比べると、そこまで怖くない、はず。
ううん。やっぱり怖いものは怖い。うぅ。魔導師ってもしかして、怖い人ばっかりなのかな?
だとしたら、就職先を間違えたかも。でも、今更転職も出来ないし。
うぅ。はぁ。馴れるしかないのかな~・・・。




