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異能者恋物語  作者: 蒼月憂
第4章 波乱万丈! ドタバタ学園祭 ~ 準備期間編 ~
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第44話 出し物論争勃発!?

 学園祭準備期間に入って3日目。今日から段々と話し合いの時間が増える。後半の本格的な準備に向けて、今のうちに決められる事をドンドン決めていく予定だ。


「――じゃあ、早速始めるわよ。実行委員、前に出て」


 LHRが始まると桜先生は早速そう言って、サオと朔夜が前に出た。


「では、まず昨日の実行委員会から伝えられた、学園祭の概要について話します」


 どうやら、話し合いの指揮はサオが取るみたいだね。朔夜はサポートかな?


「当日の出し物ですが、2つの部門があります。それぞれコンテストがあって、主に売り上げとアンケートでその勝敗を決めます」

「部門は模擬店部門と展示・実演部門だ。模擬店には、飲食以外にゲーム関係やお化け屋敷なんかも含まれている。展示・実演は演劇や実験発表、展示発表が主に含まれる」

「また、部門とは関係なく個人の出し物をしたい方は、別途で実行委員会に申請をしてください。ここまでで質問はありますか?」


 サオと朔夜が軽く教室を見渡す。今のところ、誰も質問はないみたい。


「では、出し物で何か意見はありますか?」


 この質問には次々と手が挙がっていく。サオが順に指名して、朔夜が各意見を黒板に書いていく。5分もしないうちに結構色々と意見が出ていた。


「――今のところの意見はゲームセンター、焼きそば、フルーツパーラー、カレー屋、バーガー屋、甘味処、お化け屋敷に占いの館か……」

「この感じだと模擬店部門で飲食系になりそうだね。でも……」


 一応意見が出るたびに全体の意見を聞くんだけど、反応がいまいちなんだよね。どれも楽しそうだし、美味しそうなんだけどしっくりこないって感じかな。


「この中から決めるのは至難だな」


 黒板を見つめる朔夜が顔をしかめてそう言う。サオも同じ意見みたいで肩を竦めている。


「そうだね……。他に何かありますか?」

「はい」


 改めて聞けば、手を挙げたのは佳穂だ。


「カフェなんてどうかしら? 雰囲気は昔ながらの喫茶店みたいな感じで」


 おぉ、カフェ好きの佳穂らしい。それに、なんとなくクラス中の反応も良さそう。


「佳穂らしいね。では、この意見はどうですか?」

「意義ないでーす!」


 今までと違って、クラス中から声を揃えて賛成の意見が上がった。みんな、挙手をしながら声を上げたからサオが一応数を数えている。まぁ、数えずとも今までで最も多く手が挙がっているのが分かる。

 どうやら過半数を超えての賛成みたいで、満場一致での2-Aの出し物は佳穂が提案したカフェに決定した。私も結構カフェが好きだから、楽しみだな。

 そこから早速次の話し合いに入ろうとすると、徐にアンジュが手を挙げた。


「サオリ!」

「どうしたの? アンジュ」


 呼ばれたサオは驚いたようにアンジュを見る。同時に、アンジュはその場に立ち上がった。


「当日の服装は制服じゃないとダメなの?」


 服装かぁ。確か、毎年の学園祭は半数が制服で残りはなんか色々な格好をしていたような気がするけど、どうなんだろう?

 考えていると、朔夜が手にしている資料を捲っている。


「……当日の登下校は制服の着用が義務付けられているが、あとは基本的に自由だ。ただし、飲食店は必ずエプロンを着けるようにと決まっている」

「そうすると、制服にみんなでお揃いのエプロンを着ける事になるかな?」

「……それイヤ!」

「「えっ?」」


 唐突な拒否にサオと朔夜が目を丸くする。クラス中の人も驚いたようにアンジュを見ている。もちろん私もだ。嫌って、アンジュは何か意見があるのかな?


「せっかく留学して初めての学園祭(フェスティバル)なのよ。もっと思い切り楽しみたいわ。制服じゃなくて、もっと工夫しましょうよ」


 確かにただ制服にエプロンじゃ、ちょっと味気ないよね。それは他のみんなも同意見らしくて、頷く姿がちらほらと見える。


「制服が嫌って事は、何か他に服装の意見があるのかな?」

「喫茶店風のカフェでしょう? それなら女の子はウエイトレス、男の子はウエイターでどうかしら?」

「あら、良さそうね」


 アンジュの提案に真っ先に反応したのは桜先生だ。クラスのみんなも好感触だ。


「じゃあ、当日の制服はそれで決定します」


 サオが言うと、クラス中から拍手が上がった。満場一致だね。


「それじゃあ、次に準備班を――」

「ちょっと待って」


 次の話し合いに入ろうとしたら、隣のアレックス君が手を挙げて立ち上がった。言葉を遮られたサオは目を丸くしている。


「どうしたの? アレックス君」

「俺からも1つ提案があります」


 アレックス君はそう言って、チラッとこちらを見た。正確には私の隣にいる匡利の方を見ている。すると、ちょっと意味ありげに笑った。この笑みは……何か、悪戯みたいなことを思いついた顔だな……。チラッと匡利を見れば、怪訝そうにアレックス君を見ている。そんな視線もお構いなしに、アレックス君は前に視線を戻した。


「学園祭は、学園全体でやるんだよね?」

「うん、そうだけど……」

「それなら、同じような出し物をやるクラスがあるかもしれないんだよね?」


 その言葉にサオは隣に立つ朔夜の方を見る。朔夜はクイッと眼鏡を上げるとアレックス君に顔を向けた。


「確かにどのクラスとも全く被らない、というのはかなり難しい。だが、中学から大学部までかなりの数があるんだ。この際、それは仕方ない事と言える」

「サクヤの言う事は尤もだね。だからこそ、俺はこのクラスでしかできないある事を提案するよ」


 このクラスでしかできない事? そんな都合の良い事、何かあったかな……。この疑問はクラスの誰もが思っている事だ。すると、アレックス君は心底楽しそうな笑みをニッコリと浮かべた。


「ほら、このクラスにはファンクラブができる程の逸材が勢揃いしているじゃないか」

「それは……」

「ケイト、アキトシ、サクヤ、セイジ、レイ、マサキ。この6人の人気は絶大だ。その彼らを思いっきり前面に出してはどうだろうか?」


 アレックス君の言葉に、教室中がざわざわとした。名指しされた匡利たちは不審そうにアレックス君を見つめる。サオは困った顔をしてアレックス君を見た。


「えーっと……アレックス君は何か方法を考えているの?」

「そうだな……」


 サオが聞くと、アレックス君は考えるそぶりを見せた。でも、なんとなく表情からすでにアレックス君の中で決まっているような気がする。すると、思った通りアレックス君は口元にニヤッと笑みを浮かべて匡利たちに順に目を向けた。


「せっかくだから、女装なんてどうかな?」

「えっ……」


 あまりに予想外過ぎる提案にサオが絶句した。それは他のみんなも一緒で、急に教室がシンと静まり返った。女装か……。似合いそうだけど、嫌がりそう~!

 匡利たちの反応を想像していたら、一番に我に返ったらしい慶人が立ち上がってアレックス君を振り返った。


「おい、アレックス! ふざけた事を言ってんじゃねぇぞ!?」

「失礼な。俺はいたって真面目だよ、ケイト」

「女装だとか言っている時点でふざけているだろうが!」

「良いじゃないか。似合いそうなんだし」

「そういう問題じゃねぇ!」


 あぁ~、アレックス君も似合う事を前提に提案しているんだね……。でも、そう言われても嫌なものらしく、誠史たちも頷いている。匡利だけは何の反応もないけど、見る限り思考が追い付いていないのか完全に固まっている……。

 クラスの反応は見てみたいと興味が湧いている人が半分、慶人の反応からして止めた方が良いと思っている人が半分って感じかな? この感じだと、決定権は桜先生かな。

 サオも同じ事を持ったのか、桜先生の方を振り向いている。


「せ、先生。どうしましょう……?」

「そうねぇ……」


 サオと先生の会話で決定が先生に委ねられたと気付いたクラス中が先生に注目する。しばらくして、先生がニッコリと笑みを浮かべた。


「良いんじゃないかしら? 私は賛成よ」


 この一言にアレックス君は小さくガッツポーズをする。一方で慶人が抗議をしようと口を開きかけたけど、先生の表情を見た途端にその勢いは萎んでしまった。物凄く楽しみにしている先生の顔を見たら何も言えないよね……。


「えっと、じゃあ決定……という事で……」


 慶人たちの様子を伺いながらサオが恐る恐るとそう言う。同じ実行委員の朔夜は顔を引き攣らせながら、多分実行委員会に提出するらしい紙に記入していた。……頑張れとしか言いようがない。


「――それじゃあ、今度は当日までの準備班を決めたいと思います!」


 気分を変えるべく、サオは明るい声を上げた。朔夜も気持ちを切り替えたのか、資料を捲っている。


「飲食関係の出し物の場合、当日の販売・提供の仕方にいくつかのパターンがある」


 朔夜の説明によると、どうやら3パターンあるらしい。

 1つ目は、当日に全てを作るパターンだ。ある程度の仕込みは必要とするけれど、材料を切ったり混ぜたりするくらいで事前準備はほとんど必要としない。この方法は、野外で屋台の様な出し物をする場合に選ぶ事が多いみたい。

 2つ目は、当日までにほとんどの調理工程を済ませるパターンだ。当日は仕上げの火入れや盛り付けのみになる。例えば、グラタンなら器に盛り付けるところまで済ませておいて当日は焼くだけにする、パフェなら当日は器に盛り付けるだけになるように材料を全て用意する、という風になる。この方法はどの出し物でも選ぶ事はできるみたいだけど、当日に調理実習室の使用許可が必要になるし、結構争奪戦になるみたいだね。

 そして最後の3つ目が、当日までに全て作っておくパターンだ。この場合、当日は盛り付けるだけか提供するだけになる。この方法だと事前準備がかなり大変なんだけれど、当日はドリンク以外給仕に集中できるし、調理実習室を利用しない分どの場所でやる事になっても時間ロスとかが軽減される。それから、事前に作るから可能な限りメニューの種類を豊富にできるのも特徴らしい。


「――以上が当日の販売・提供のパターンになるが、うちのクラスの場合はパターン2かパターン3が良いだろうな」


 朔夜がそう言うと、男子の1人が手を挙げた。


「どっちのパターンも事前準備がかなり多くなると思うけど、作った物は当日までどうやって保管するんだ? パターン3なんて種類が多ければ多いほどかなりの量になると思うけど……」

「いずれの場合も希望を出せば、容量が(中)から(大)のマジックバッグを学校側から2つまで貸し出してもらえる。生徒の私物を用意する場合は、事前申請で許可を貰えば使用できる」


 へぇ、なるほどね。マジックバッグ(中)を2つだけでも倉庫並みの容量だろうし、相当数を用意していても保管できそうだ。


「じゃあ、当日までの準備班を決めたいと思います」

「衣裳係は必要じゃないかな? 天宮くん達の衣装もそうだけど、みんなが着る物もできたらオリジナルでお揃いが良いと思うし」

「調理係も必要だな。当日までに結構な数の用意がいるだろうし」

「内装も考えないといけないよね。この際、看板とかインテリアも考えた方が良いと思うし……」

「そこまで拘るなら、BGMとかも拘った方が良いんじゃないか?」


 手を挙げつつ、クラス中から色んな意見が飛び交う。結構、みんな拘りたい感じなのかな?

 しばらくして桜先生が手を挙げた。すると、一瞬で教室が静かになった。


「先生から提案なんだけれど、係は衣裳係・調理係・内装係の3つにしましょう。内装係はさらにインテリア班や大道具班などに分けるの。それで基本は各係で決めるけれど、定期的に話し合いなどで報告をし合い、みんなからの意見を聞いたらどうかしら?」


 桜先生の意見にクラス中から賛成の声が上がった。桜先生はそれを聞いて満足そうに頷いている。


「それで1つ大事な事なんだけれど、みんなの意見を聞く限り衣装とメニューにそれなりの技術がいると思うのよ。だから衣裳係は《裁縫》のスキル、調理係は《調理》または《製菓》のスキルを持っている人を集中させましょうか。できれば、そうね……レベル15以上は欲しいわね」


 そう言うと、クラスのみんなは顔を見合わせて少しざわついた。

 レベル15か……そうなると基礎的な事は一通りできて、プロとまではいかなくても一般的な技術力の中でも上の方だ。高校生なら日常的にやっていないと持っていないレベルだね。

 桜先生は具体的な数字は聞かずに、それぞれのスキルのレベルが15以上の人は挙手するように言った。すると、私・アオ・サオ・佳穂・紗奈ちゃんの5人は3つとも手が挙がる。実はそれぞれ差はあるけれど、私たちは《裁縫》も《調理》も《製菓》もレベル20を超えている。日常的にやっているのもあるけれど、昔はできなければならなかったからね……。その結果、私たちは他のみんなが決まってから、それぞれの人数を見た上で決める事になった。

 私たち以外に《調理》と《製菓》はそれなりの人数がいけど、《裁縫》は私たち以外に4人しかいない。その4人には念のため希望を聞いた上でそのまま衣裳係になってもらった。さらにレベル15まではいかないけれど《裁縫》のスキルを持った子が1人いて、その子が衣裳係を希望して裁縫係は決まった。それ以外の人は希望を聞いた結果調理係は9人、内装係は13人に決まる。


「さて……日向さん達はどうする?」


 私たち以外が決まると、桜先生が聞いてきた。


「できたら、衣裳係がちょっと少ないから3人、調理係は調理室の関係であと1人、内装係に1人が良いのだけれど」


 桜先生にそう言われて、私たちは軽く話し合う。


「この中で1番《裁縫》のレベルが高いのはサオだよね。なら、サオは衣裳係かな?」

「うん、良いよ」

「次に《裁縫》のレベルが高いのは……」


 私たちはササッと指で机にレベル数を書いた。すると、サオの次に《裁縫》のレベルが高かったのは私とアオだった。


「じゃあ、優と私が衣裳係だね」

「それなら私、調理係をやってみたいな」

「紗奈が調理係なら、私が内装係ね」


 話がまとまり、私とアオとサオが衣裳係、佳穂が内装係、紗奈ちゃんが調理係に決まった。


 その後は各係で集まってリーダーを決め、次の話し合いの日までに用意する物や考える事を決めていく。私たち衣裳係は満場一致でサオがリーダーになった。それから次までにウエイター・ウエイトレスの衣装デザインを考えてくる事になった。匡利たちの女装の衣装は追々だ。

 そこまで話し合ったところで授業終了の鐘が鳴り、LHRは終わった。



 そしてこの日1日、匡利たちは機嫌こそ悪くないけれど、ずっと鬱々と空気が重かった。その理由を知っているだけに私たちは苦笑いを浮かべるばかりで何も言えないのだった……。



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