83.お使いお茶会女子会アフタヌーン
「一人で買い物? 私も買い物しにきたんだー」
右手に持つ買い物カゴをヒョイっと持ち上げ、見せつけてくるアムルちゃん。
中にはたくさんのお菓子が入っていた。ていうかお菓子しか入ってなかった。
「アムルちゃんは……今帰り?」
「うん、そうだよ。まあ、制服だからわかるよね……あはは」
少し恥ずかしそうに、空いている手でほっぺを掻くアムルちゃん。
なんか、女の子全開な仕草をナチュラルにしていて、つい可愛いと思ってしまった。同性をもキュンっとさせるアムルちゃん、意外とあざとくて侮れない。
「アーちゃんか……私も話したいな」
と、突然そう呟くとクティラちゃんは小さな体で可愛くぴょんっと、私の方から飛び降り空を浮きながらどこかへ飛んでいってしまった。
「あ、待って……!」
私は思わず追いかけようとして手を伸ばしてしまう。そんな私を、アムルちゃんは不思議そうな顔で見た。
「何してるの? リシアちゃん」
首を傾げながら問うアムルちゃん。
彼女には飛んでいくクティラちゃんは見えていない。認識阻害、と言うものをクティラちゃんが使っているが故に。ぬいぐるみサイズのクティラちゃんが動いたり喋ったりしているところを見られたら大変だからね。
確か、アムルちゃんはクティラちゃんがミニサイズになることを知らなかったはず。
だからここは上手く誤魔化さなくてはいけない。私がクティラちゃんに向けて手を伸ばしたその理由を。
「あー……っと、虫がいたから追い払ったの」
「へえ……独特な追い払い方だね」
変わらず不思議そうな顔をしつつも、理解できたとアピールするかのように頷くアムルちゃん。上手く誤魔化せたようで安心。
それにしても、クティラちゃんはどこに行っちゃったんだろう。
と、その時。アムルちゃんの背後に見覚えのある銀髪赤眼美少女が見えた。
(え……? あれクティラちゃんだよね? 何で大きくなって……というか何で元のサイズに戻ってるんだろ?)
エイジ曰く、確かエイジとクティラちゃんが元の姿に戻るタイミンングはわからない、と言う話のはずだ。なのに、まるで故意に戻れるかのように、都合よくクティラちゃんは今、元のサイズになって帰ってきた。
どんどん私たちの元へ近づいてくるクティラちゃん。アムルちゃんの横を通り抜け、彼女は私の隣へとやってきた。
そこで彼女はくるりと回転し、アムルちゃんを見てニヤリと笑う。
「あれ? リシアちゃんだけじゃなくてクティラちゃんもいたんだ」
「その通りだ! 私もいたのだ! 久しいなアーちゃん。学校ぶりか?」
「アーちゃん言うなし」
ペチっと、クティラちゃんの頭を叩くアムルちゃん。
はあ、とため息をついてから、アムルちゃんが呆れるように言う。
「それにしてもクティラちゃん、何で午後居なかったの? 愛作くんも一緒に居なくなったからクラス中大騒ぎだったよ?」
首を傾げながら問うアムルちゃん。それを聞いたクティラちゃんは何も答えずに、プイッとそっぽを向く。
数秒、数十秒、一分。沈黙の時間が続く。
(クティラちゃん……この子、ガン無視でやり過ごそうとしてる……!)
絶対に答えてやらないと言う意志を感じたのか、アムルちゃんは右左とキョロキョロした後、私を見てきた。
私はなんとなく頷く。すると、アムルちゃんも頷いた。
「とりあえず……クティラちゃん、リシアちゃん。この後時間ある? あるならちょっとお茶しない?」
と、アムルちゃんが人差し指を立てながら聞いてくる。
それと同時に、私とクティラちゃんはほぼ同時にお互いを見た。
「どうするんだ? リシアお姉ちゃん。私はアーちゃんと仲良くなりたいからオッケーだが」
「アーちゃん言うなし」
「どうしようかな……」
私もアムルちゃんと仲良くなりたいし、断れない性格なのもあって断りづらい。
けど、エイジに頼まれたお使いもしなきゃだし。
私は手に持つエコバッグを見る。確かこれ、保冷バッグにもなったよね?
お菓子はレジ袋買って入れるとして、お肉は保冷バッグに入れとけば多分、大丈夫かな。
「うん……大丈夫、多分大丈夫。お茶しよう……アムルちゃん……!」
「やたっ! じゃあとっとと買い物済ませよっか!」
パンッと、両手を合わせて微笑むアムルちゃん。とても嬉しそうだ。
そんな彼女を見て、私はふと思い出した。
そう言えばサラちゃんに早く帰ってきてって、言われていたことを。
(うぅ……ごめんサラちゃん……遅くなります……)




