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301.孤独……孤独……孤独……?

(……お兄ちゃんとリシアお姉ちゃん、帰ってくるの遅いなぁ)

 テレビの音だけが聞こえるリビングで、私はソファーに座りながら、膝に乗るティアラちゃんを軽く抱きしめながら、ふとそう思った。

 今日、お兄ちゃんとリシアお姉ちゃんはデートに出掛けていた。当然私は、私たちはそれにこっそりついて行った。けれどバレたら怒られるからと、二人よりも早めに帰ったのだけれど──

(こんなに開くかな時間……二人とも帰る雰囲気になった直後に急いで先回りして帰ったとは言え……こんなにズレるかなぁ……)

 なんだか少しだけ、心配になる。

 リシアお姉ちゃんは強いし頼り甲斐があるし、しっかりしているから安心できるけど、問題はお兄ちゃんの方だ。

 いや、でも、リシアお姉ちゃんと一緒ならお兄ちゃんも大丈夫か。私はそう思い直し、改めて、小さくため息をつく。

(……まだかな)

 何だか、凄く久しぶりな気がする。お兄ちゃんもリシアお姉ちゃんも居ないリビングが。

 ちょっと前にもあった気がする。確かその日にティアラちゃんがやってきたんだっけ? じゃあ、先週の話かな。

 あの時と違って私は今、一人ではない。膝にはティアラちゃんが乗っているし、クティラちゃんも姿が見当たらないけれど一応家にはいるはず。

 なのにどうしてこんなに寂しさを感じるんだろう。孤独とか、一人ぼっちとか、そう言う寂しさではなくて、もっとこう──

 ──一人だけ置いてかれちゃったような、寂しさ。

(……なんか……なんかだよ……上手く言語化できないけど……なんか……辛いなぁ)

 私はほんの少しだけ、将来の自分を考えてみる事にした。

 将来私は、どうなるんだろう。仕事は多分大丈夫、何も思い描いていないけれど、とりあえず大丈夫だとは思う。問題は住む環境だ。

 お兄ちゃんとリシアお姉ちゃんは多分だけど、社会人になったら直ぐに結婚して同棲を始めてそのまま一生一緒に過ごすと思う。普段の雰囲気からして。

 じゃあ私はどうなんだろう。自分で言うのは少し恥ずかしいけれど、私はリシアお姉ちゃんに好かれているし、お兄ちゃんに大事に思われている。はず。

 私はそんな二人が大好きだ。そんな二人と一緒に暮らすのが大好きだ。毎日を共に過ごすのが、とても大好きだ。

 だけどそれが出来るのって、今だからだよね。学生のうち、だけだよね。

 二人が結婚したらさ、私って、正直邪魔だよね。お兄ちゃんはともかく、リシアお姉ちゃんは優しいから一緒に暮らそうと提案してくれるかもだけど、でも、流石にそれはどうなの? って、私は嬉しく感じてもそう思ってはしまう。

 だって、リシアお姉ちゃんとお兄ちゃんは夫婦──一応まだ確定したわけではないけれど──なんだから。いつか子供が出来るだろうし、夫婦二人っきりだからこそ出来ることもあるだろうし、結婚したからこそ、暮らし方も変わると思う。

 そんな中に妹だからと言って、仲良しだからと言って、私が一緒に居てもいいのだろうか? 多分、ダメだと思う。

 いつかこんな暮らしも終わる。幼稚園の頃から続いていた私たち三人の仲良し暮らしは終わる。私も、もう高校生だし、お兄ちゃんたちは来年──ていうか再来年──卒業だし、もう目の前に近づている。

 そろそろ将来を考えないとだよね。そろそろ、終わっちゃうんだから。

「……んにゃ? サラお姉ちゃん、どうしたの? ぎゅっとしてきて……」

「……あはは。ごめんねティアラちゃん、ちょっと……抱きしめさせて」

「……にゃ? いいけど……私からも抱きつこうか?」

「えへへ……うん……ありがとね、ティアラちゃん」

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