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276.陰キャドリーム

「……学校ってつまらないと思わない? 私はつまらない……だって将来日常的に使うものは義務教育で習っているから……興味のない分野を教えられてもつまらない……大人になったらそれはそれであの時もっと勉強をしておけば……そうなるかもだけど……でも今有用性を見つけられていないからやる気は出ない……そしてそれは教えてくれない……だから余計にやる気が出ない……だからつまらない……そう思わない?」

「えっと……」

「……友達がいれば別なのかもしれないけれど……居ないし。どうして私に友達が居ないのか……それは私が原因なんだろうけれど、学校の教育にも問題があると思う。他責? そう……そうかもだけど……大人たちの教育と大人たちが作った環境で今の私があるのだから、他責もクソも無いと思うの……。……話は戻して、学校の教育にも問題があると言う話。……私はね、義務教育にコミュニケーションとファッションを増やすべきだと思うの。ものすごい中途半端な英語とか……正直よほど変な考えを持っている人以外基本みんな同じ答えになる道徳とか……知ったところでその道に進まなければだから? となる理科とか……。偏見と独断ではあるけれど……そんなものよりもコミュニケーションの仕方を私は教えて欲しかった。ずっとわからないから……どうやって友達を作ればいいのか、どうやって初めて出会う人とやり取りをすればいいのか、目上の人に使う言葉とか、当たり障りのない相手を不快にさせないメッセージの書き方とか……。結局この世はどんな環境にいてもどんな仕事についてもコミュニケーション能力が無ければダメ人間……役に立たないクズ……必要性のないゴミ……。コミュニケーション能力が低い私は学校に居場所が無い……友達が少しでもいれば狭い空間でも楽しめたのかもしれないけれど……居ないのだから居座る場所は無い……。あは……匿名掲示板もSNSもそうだよね。必死にみんなと同じ物を叩いたり……繋がりたいハッシュタグを使って、いいねをしたりされたりをして……自我をなるべく消して好かれる人を演じないとそこに居場所は作れない……。知ってる? インターネットと現実世界って何の違いもないし、上位も下位も無い壁なんてどこにも無い全く同じ世界なんだよ。現実世界で居場所を作れない人間がインターネットで違うムーブ出来るわけないじゃん……あはは……私のフォロワーね……明らかに詐欺なエロ女アカウントが五人くらい居るだけ……フォローは百超えてるのにねー……」

「……そうなんだ」

「……ファッションも教えて欲しかったなぁ。私……外に行く時の服ね……アニメのキャラクターが印刷された一見安っぽいシャツしか無いんだぁ……何それ? って感じだよね。オタクキモっ、て感じ? でも好きなんだからしょうがないじゃん……どう言う服装がいいのかわからないから自分の好きな物を着るしかないんだけど……結局私みたいな窓際隅っこ陰キャオタクは服に興味を持てず……好きなキャラがプリントされて服を申し訳程度に買って……そのアニメやゲームのイベントに行くでもないのにそれが好きなんですと主張して……もし急にファッションチェックとかさ、テレビの企画でされたら私、恥晒しだよね。どうしてその服を? と問われてもこのキャラクターが好きで……としか答えられない。優しい雰囲気を出している人……人にはなるべく優しくしようと考えてる人は人間外見が全てじゃないよって言うけれど……そんなわけがない。奇抜なファッションをしている人がいたらみんな一目で変な人かなぁ……って思うに決まってるじゃん。会社の面接に行く時だってアニメキャラシャツなんて着れるわけがなくて……ちゃんとスーツ着ないとダメじゃん……。見た目ってすごく大事なのに……どうして義務教育ではこう言う見た目が好かれるよ、正しいよと教えてくれないの? 友達がいれば自然とわかる……とか宣う人もいるけれど、それもコミュニケーション能力が義務教育で培われていないから無い人は無くて友達出来なくて……ほら……ね? 義務教育って全然ダメじゃん……義務なのに人間として社会で自然に生きれる力をつけさせてくれないじゃん……私みたいな半引きこもりのモンスターを作り出してるじゃん……。私、自傷癖は無いから義務教育のせいにするね……実際半分くらいそうだろうし……自分の言葉だから自分にとっては説得力があるだけなのかもだけどね……」

「ちょっとわかるかも……ちょっとだけだけど……」

「……だから私はこうして夢を見ているの。いつからこうして自由に夢の中で意思を保てるようになったのか……自在に操れるようになったのかわからないけれど……できるから……出来てしまうから……私は夢を見るの……普通の人たちと同じように素敵な夢をね……」

「えっ……と……?」

「……人は誰もが夢を見ている。自分にとって都合のいい夢に酔いしれてそこを目指して、クソみたいな現実世界を……醜いリアルから逃れている……。推しのために私は生きていると思い込みたくて、推しは私のおかげで生きていると思い込んでいて、必死に推しに貢いだり……。自分はまだ本気を出していない、まだ自分には隠された力がある、自分の凄い力をわかっていないあいつらはバカだ……なんて、ダメな現状をダラダラ生きて何も変えようともしない自分に希望を持たせたり……。転生すれば都合のいいハーレムが待っている……自分は悪くないこの世界が悪いと世界に責任を押し付けて、都合のいい世界に逃げ出したいと……それを満たしてくれるアニメや漫画を見て……。みーんな夢を見ているの……私も今言った夢を見ている……見ていた……。でも結局は夢だから……現実では無いから……現実逃避でしかないから……いつかは覚めてしまうから……まだ寝ていたいと見ていたいと……眠るの……瞑るの……そして夢を見るの……ずっとずっとずっと……逃れるために見続けるの……」

「……えっ……と……?」

「……まだ教えてなかったね。私の名前は夢見館(ゆめみやかた)ルル。嫌な現実から目を逸らすために目を閉じる……夢見るままに終わりを待ち続ける半分死んでいる人間……。私がどういう人間かある程度わかったよね……話を聞いてくれてありがと……じゃあね……出て行って……二度と来ないで……今回が三度目次は四度目……言ったよね……仏の顔も三度まで……って」

「……あの──」

「……指を鳴らすね。バイバイっ」

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