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271.ゆるやかに深まる仲

「はぁ……リシアお姉さん温かい……体温高ーい……おまけにふわふわ……お肌スベスベ……凄い……!」

「ぴぇ……ちょっと恥ずかしいかも……」

 狭いベッドの上で、私とティアラちゃんは無理矢理詰め込まれたように、ほぼ抱き合うような形で横並びに寝転んでいた。

 先ほどからティアラちゃんが興味津々に私の身体を触ってくるからくすぐったくて仕方がない。胸を揉んだかと思えば太ももを撫でてきたり、なんとなく痴漢に遭っているような気分になる。

 別に嫌な気持ちにはなっていないし、ティアラちゃん可愛いから別にいいけど。このベッドでは銀髪赤眼美少女無罪が適用されるので何をしても無問題なのだ。

「ねえリシアお姉さん……」

 と。私の体を触るのを辞めたティアラちゃんは、私の目をじっと見つめ私の名前をそっと呟く。

 何か問いかけるような声色だったから、聞きたいことでもあるのかなと思ったけれど、予想に反して彼女は黙り込んでしまった。

  それでも視線を外しはしないので、私はなんとなく彼女を撫でてみる。見つめてくる瞳が、顔が、なんて言うかもう全部が可愛かったから思わず。

 するとティアラちゃんはほんの少しだけ目を細め、気持ち良さげに小さなため息をつくと、それと同時に目を見開き、改めて私をじっと見つめ始めた。

「リシアお姉さんって……エイジお兄ちゃんの事、好きなんだよね?」

「ぴぇえ!?」

「え、なんでそんなに驚いてるの……?」

「だってそんな急に……!」

 キョトンとした顔で、寝ながら器用に首を傾げるティアラちゃんから私は、思わず顔を逸らしてしまう。あまりにも恥ずかしくて。

 ていうかなんでティアラちゃんが知っているんだろう、私がエイジを好きなこと。

 そんなに態度に出てるかな? でもそうだったらエイジにバレてるよね?

 もしかして知らない間にティアラちゃんにも話してた? ヤバい自信がない。クティラちゃんには話したというか、全部打ち明けて協力関係だけど。

 まさかクティラちゃんが喋った? 可能性はある、可能性はあるけどあくまで可能性。あまりクティラちゃんを疑いたくはないから、この話はおしまい。

「あのねリシアお姉さん……私がお姉ちゃんが好きなのは知ってるよね……」

「え……あ、うん……」

 突然、クティラちゃんが好きだと告白するティアラちゃん。知ってることだからどう反応すればいいのかわからず、うまく返事が出来なかった。

 もしかしてティアラちゃんのクティラちゃんに対する好きと、私のエイジに対する好きが同じ、と言う話をしたいのかな? 似てるようで違うと思うけど、私たちの好きは。

「私ね……リシアお姉さんとお泊まりするのは楽しいの……だけどちょっとね……ほんの少しだけ……お姉ちゃんに会いたいなぁって寂しくなっちゃうんだ」

(え、何それ可愛い……)

「……リシアお姉さんは思わない? エイジお兄ちゃんに会えなくて……寂しいと思わない?」

「……え?」

 問われた、聞かれた質問を上手く理解できず、私は一瞬フリーズしてしまう。

 わかるはず、誰でもわかるはずの質問がどうしてか、私には理解できなかった。理解できなかったと言うか、理解したくないと言うか、考えたくないと言うか──

 無意識に意識しないようにしていた、私のちょっとした闇が垣間見えて病みそうになるというか──

「あ、リシアお姉さん……やっぱり寂しいと思ってるんだ」

 ニコッと微笑み、何故か私の頬をプニプニ突いてくるティアラちゃん。

 彼女の指摘が図星すぎて、恥ずかしくなって、恥ずか死しちゃいそうになって、私は必死に彼女から顔を背ける。

 それでもティアラちゃんのプニプニは止まらない。プニプニーっと、プニプニっと、めちゃくちゃ私のほっぺをプニプニしてくる。

「私たちお互い寂しがり屋さんだねー……二人で一緒に居るのにね……」

「……あはっ。そうだね……変なの」

「ねー……」

 私たちは見つめ合いながら、自分たちが変なことを言っているのを自覚しながら、互いに相手を小馬鹿にしつつ、自分に呆れつつ、小さく笑い合う。

 なんか、よくわかんないけどちょっとだけ、ほんの少しだけだけど、ティアラちゃんと仲良くなれた気がする。

 それが嬉しくて、私の胸はほんの少しだけ、ポカポカーっと温まり始めた。

 それと同時に思う。エイジとサラちゃんを守るのが第一だったとしても、結果として、必死に戦ってこの子を守れてよかったなって。こんな天使の笑顔を見れたんだから、あれだけ傷ついて頑張った甲斐があった。

「……んにゃ? リシアお姉さん、なんか嬉しそう?」

「んー……えへへ……なんでもないよー」

「……にゃ」

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