269.女の子に癒されて
「さてとリシアお姉さん、服脱いで!」
「なんで!?」
唐突なセクハラに私は思わず、驚き叫び声を上げてしまった。
そして全身を襲うのはピリピリビリビリズキズキとした痛み。叫ぶだけでこんなに痛むなんて、結構ヤバいかも。
──じゃなくてじゃなくて。私の怪我よりも気にするべきはティアラちゃんのセクハラ発言だよ。
どうして急に脱いでなんて言ったのかな? もしかして血を吸いたいとか? 普段なら別にいいけど、流石に今日は身体がボロボロだから断ろうかな。
「ふふん……っ。この部屋に入った時から、いや! この部屋に入る前から私、気づいてるんだよリシアお姉さん!」
と。驚くだけで肯定も否定もしない私に痺れを切らしたのか、ティアラちゃんは姉のクティラちゃんよろしく、腰に両手をつけながら、自信満々のドヤ顔を披露しながら私をビシッと人差し指で指す。
「えっと……何に?」
思わず首を傾げながら問う私。するとティアラちゃんは舌を可愛らしくチッチッチッと鳴らしながら、私を指していた人差し指を右左と交互に振りながら、やけに楽しげに話し始めた。
「リシアお姉さんさ、怪我してるでしょ! それも結構ヤバい感じのガチヤバ怪我!」
「ぴぇ……えと……まぁ……」
気づいてたんだ。ていうか気づかないわけがないよね。全身切り傷だらけで所々赤いし、顔も人に見せたくないくらいボロボロ、おまけにベッドから一歩も動けない弱り様。それらを見て察せられない人はいないと思う。
とりあえず隠す必要はなさそうだし、隠そうとしても誤魔化せないだろうし、私は小さく頷き彼女の指摘を肯定。するとティアラちゃんニコッと微笑み、今度は手のひらを差し出して──
「じゃあ、脱いで♡」
「だからなんで!?」
また出たティアラちゃんのセクハラお願いに私は、全身が痛むと知っていながらつい叫んでしまう。
あ、ヤバい。痛い。凄く痛い、死んじゃうくらい痛い、泣きたくなるくらい痛い、ものすごく痛い、めちゃくちゃ痛い。
「えっとねぇ……リシアお姉さん、忘れちゃった? 私ってば結構すごいヴァンパイアなんだよ? お姉ちゃんの方が凄いけど……そんな凄いお姉ちゃんの妹が凄くないわけがない! だから脱いで欲しいのリシアお姉さんに!」
「……なんで?」
「あ、理由言うの忘れてた……あのねリシアお姉さん、私がその怪我、治したげるっ!」
「……ぴぇ?」
自信満々に言うティアラちゃんに対し、私は思わず首を傾げてしまう。
あ、今、首がビキって言った。
「つまりねつまりねリシアお姉さん! 魔法だよ魔法! ふふん……私はまだお子様ヴァンパイアなのに魔法が使えちゃう凄いヴァンパイアなの……! だから治してあげる事ができるの! リシアお姉さんを!」
「え……そうなんだ……」
「うんっ!」
満面の笑みを浮かべながら、私を救うと言ってくれるティアラちゃん。
凄い。この子本当に天使みたい、ていうか天使だ。絶対天使だ。可愛いし、いい子だし、可愛いし、優しいし、可愛いし可愛いし可愛いし。
思わず胸がきゅんっと弾んでしまう。それと同時に痛みが走った。最悪。
「というわけでリシアお姉さん! 脱いで?」
「あ、うん……はい……よろしくお願いします……!」
私はティアラちゃんに指示に素直に従う。だって治してくれるって言うし、それが無くても可愛いからなるべく拒否したくないし。
ふぅ、と一息ついてから。私は上体を起こして、腕を上げて、服を──
「あう……っ!」
「わぁ……リシアお姉さんフリーズしちゃった……大丈夫?」
「だ、大丈……V」
「……リシアお姉さん。脱がしてあげるね?」
「……お願いします」




