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254.ちょっとした悩み事

「ねえサラ……」

「んー……」

「サラ?」

「んー」

「サーラー」

「んー……」

「……とりゃ」

「へっ!?」

 お昼休み。私は何故か、一緒にお弁当を食べていた友達に突然、デコピンをされた。

 された箇所が微妙にズキズキ痛むから、そこを手のひらで押さえながら私は友達を見る。

 友達は箸を手に持ちながら、ほんの少しだけ頬を膨らませ、ジッと睨みつけるように私を見ていた。

「えっと……」

 何か怒らせるようなことしたかな? 何も思い浮かばない。だから弁明ができない。

「サラ……絶対私の話聞いてなかったでしょ?」

「へ……? あー……あ……あー……」

 そういえば私、話しかけられていた気がする。一応返事はしておいた気はするけど、話は全く聞いてないからテキトーな返事か。そりゃ怒るよね。

「ごめん……ちょっと考え事してて」

 私は手に持っていた箸を弁当箱の上に置き、両手を合わせて頭を下げ友人に謝罪。

 すると友達は小さくため息をつきながら、お行事悪くビシッと、持っていた箸で私を指してきた。

「サラにしては珍しいじゃんそんな事……一体全体何考えてたの? 一切合切私に話してみ?」

「え、やだ……」

「即否定……」

 言えるわけがなかった。私が考えていたのは、お兄ちゃんの事だから。

 なんやかんやで気まずい雰囲気は無くなって、元の関係性に戻れた気はするけど、それでもやっぱり、以前よりも私は彼を強く意識してしまっている。

 だってあの日あの時あの瞬間、私とお兄ちゃんは確かに愛し合っていたのだから。互いを思い、互いを満たし、互いを求め、互いを受け入れたあの瞬間は。

 思い出すだけで恥ずかしくなってくる。忘れたいけど忘れたくない記憶。だから余計に脳裏に居座り続けて、私を羞恥心で苦しめる。

「……サラ、彼氏でもできたん?」

「……へ!? か、彼氏!?」

「その反応……答えじゃん、答え出してるじゃん」

「違うよ……! 急に変なこと言うからビックリしただけで……!」

「……ほんとかなぁ?」

 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、友達は持っている箸を私を突くように動かす。

 実際私には彼氏なんていないし出来ていない。でもこの雰囲気、この感じ、何を言っても誤魔化しだと捉えられると思う。

 だから私は思わずため息をついてしまう。これから始まるのはきっと私イジリ。ちょっと憂鬱になる。普段はどっちかと言うと私が友達をイジる側だから、立場変えられて仕返しされても仕方ないっちゃ仕方ないけど。

「それでそれで? どこまで行ったの? A? B? それともCまで!?」

「え、何そのABCって……」

「知らーん。この前お父さんの持ってる古い漫画で出てきたから言ってみただけ」

「……えー」

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